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Marginal Prince Short Story
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■アンリ×ハルヤ
■悪魔アンリ
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夜。アンリはケーキの箱を持って、ハルヤの部屋を訪れた。
箱の中には、チョコレートケーキが1ホール。

「ビターチョコだから、甘いものが嫌いな君にも、
気に入って貰えると思ったんだ」

ハルヤは少しだけ食べてみる。
濃厚なカカオの味。
甘さは仄かに感じる程度だった。

「あ。ほんとだ。甘くなくて美味しい」

「良かった。君と一緒に食べようかと思ってね」

「…ありがと。でもさ。アンリには物足りないんじゃない? アンリ、甘いの好きでしょ?」

「ご心配無く。甘さの足りないケーキを甘くする方法があるから」

「それは…砂糖を掛ける、とか?」

「いいや。ケーキ自体の味は変えないよ」

「…え?」

「理解出来ない? 支配欲が満たされるらしいよ。
 相手を汚すことで征服感が得られるんだって。面白そうじゃない?」

「…ごめん。何のこと言ってんのか、全然解らないんだけど…」

「では、試してみようか?」

「あ、うん」

アンリは唐突に、ケーキのクリームを指に付けた。
白い指にチョコレートクリーム。
それをハルヤの頬に撫で付けた。
硬直している人を見て、アンリは満足げに微笑む。

「美味しそうだよ、ハルヤ」

「ちょっと…何、してんの…?」

「成程。征服感はあるかもね。何処に塗るのかがポイントかな?」

「…まさか、最初からそのつもりでケーキを」

「気付くのが遅過ぎる」

肩を押してやると、あっけなく倒れた。
恐怖に染まっていく、チョコレートで汚された顔。
それに見上げられるのは、思いの外、愉快だった。

「…アンリ、何考えてんだよ…」

「ねえ? お喋りは此処までにしない?
君の声はこれからゆっくり聞かせて貰うんだし。僕も、もう待てない」

「…こんなの、おかしいよ…」

「そうだね。でも仕方がないよ、僕は悪魔の子だもの」

「…やっ…アンリッ」

両肩を押さえ付け、
チョコレートに近付いて行く。

「天使の顎より甘いかな?」

恐怖でぎゅっと瞑られた瞳を見ながら、
チョコレートを舐めた。

「甘い。これは悪魔の甘さだね」

「アンリ、もう止めてっ…」

「嫌だね。こんなに甘いチョコは食べたことがないもの」

僕はケーキからチョコレートを指に付ける。

「じゃ、次はココに塗ろうか?」


fin
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