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Marginal Prince Short Story
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■シルヴァン×ジョシュア
■シリアス。アニメベース。アルフォンソ祭前夜。
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「じゃあ、舞台全体の演出はレッド。
衣装の最終調整はシルヴァンに任せるから、二人ともよろしく」

「おう!」

「了解♪」


今年のアルフォンソ祭では、僕が衣装係を担当することになりました。
気軽に引き受けたんです。ハルヤも手伝うと言ってくれましたし。

まだ何も知らなかったんです。
ソクーロフ博士から、その話を聞かされるまでは。


「暗殺計画があるようだ。
アルフォンソ祭に乗じて、実行される。
ターゲットは、この学院の生徒だろう」

「誰なんです?」

「確定的なことは解らない。候補が多過ぎる」


そして、真夜中のウーティス寮に近付いた男。
彼は間違いなく、ジョシュアの部屋を見ていました。

ロレートの王位継承権第一位。
暗殺対象としては、おそらく。
この学院で、最も価値の高い生徒。

ジョシュア・グラント。


彼を守ると決めた時。

僕の中に流れる血が、騒ぎ出すのが解りました。
守る対象が居ることに、こんなにも喜びを感じるなんて。

代々軍人の家系に生まれた自分。
全てを捨てて此処に来たのに。

これが『血脈』というものなのでしょうか。



アルフォンソ祭 前夜。

僕は、ジョシュアの部屋を訪れました。
手には、ささやかな言い訳を持って。

「すみません、ジョシュア。
今、お時間頂いてもよろしいですか?」

「うん。あれ、明日の衣装? 何かあったのかい?」

「実は、貴方の衣装、少し飾り付けを変更したんです」

「えっ、変更?」

「はい。明日、貴方がより美しく見えるように、
羽の部分を改良してみました♪
もしかしたら、少し重くなってしまったかもしれなくて…
着心地に問題が無いか、一度着てみて頂けませんか?」

「解ったよ。今、着てくるから、ちょっと待ってて」

「はい」


貴方の机には、数通の封筒が重なっていました。

深紅の封緘。
ロレートの紋章。
貴方が王子である証。

この薄い紙が、貴方にとって、どれほど重いことでしょう。
そして、近い未来、貴方は本当に。


「シルヴァン。着てみたけど、大丈夫だと思うよ?」

王の衣装を纏った貴方は、
何度見ても、王そのものでした。

「そうですか。安心しました♪」

「それにしても、立派な衣装だよね。俺では衣装負けしてしまうな」

「とんでもないっ! よくお似合いですよ、ジョシュア。
正直、想像以上で驚いてしまうくらいです」

「そうかな。ありがとう、素晴らしい衣装を用意してくれて。
今年の衣装係がシルヴァンで良かったよ。
衣装集め、大変だったよね。
今まで本当にお疲れさま、シルヴァン」

「ありがとうございます。
貴方に、そう言って頂けて嬉しいです」

「明日は、君が用意してくれた衣装に、恥じないように努めるよ」

「大丈夫ですよ、ジョシュア。
貴方は、この衣装が無くとも、既に纏っています」

「…纏ってる?」

「ええ。だから生徒代表も立派にこなすことが出来るんです。
もう持っているんですよ、必要なものは全て。
貴方に足りないのは、自信だけです」

「シルヴァン…」

「ああ、すみません。なんか僕、貴方に説教じみたことを…」

「ありがとう。シルヴァンはやっぱり大人だね」

「…大人? 僕がですか?」

「シルヴァンは、他の生徒達より、ずっと大人びているから。
君の発言には深みがあって、いつも考えさせられるんだ。
上手く説明出来ないけれど、達観している、と言うのかな?
君は皆よりひとつ高い所から、物事を見ることが出来るから」

「そんな…僕、初めて言われましたよ」

「みんなも言葉にしないだけで、きっとそう感じていると思うよ。
あ。衣装、まだ着たままだったね。
脱いで来るよ、汚してしまうといけないから」

「待って下さいっ!」

「ん?」

「あの…予行練習、させてくれませんか?」

「劇の?」

「いえ。パレードの」

僕は膝を落とし、王の前で首を下げました。
白い手袋を嵌めた手を取ります。


「誓います。命に代えても、貴方を守ると」


王の手に誓いを立てて、僕は笑顔に戻りました。

「どうでしたか、このアクション♪
明日のパレードで使えそうだと思いません?」

貴方は戸惑いながらも「ああ、うん」と頷いてくれます。

「…驚いてしまったよ、なんだか本当に従者のようで」

「当たり前じゃないですかー、我が主♪
予行練習のお付き合い、ありがとうございました」

「どういたしまして。じゃ、着替えて来るよ」


制服姿に戻った貴方から、王の装束を受け取ります。

「それでは、衣装は明日までお預かりしますね?」

「うん。明日はよろしく、シルヴァン」

「はい♪」


任せて下さい、ジョシュア。

この衣装は、決して赤には染めさせません。

大切な、貴方を守る為なら。


僕は明日、死んでも構わない。


「ねえ、ジョシュア」

「ん?」

「お祭りが終わったら、またみんなでパーティーしましょうね」

「打ち上げかい? 良いね。そうしよう」

「はい。楽しみです♪」



…駄目ですね、僕は。

死んでも良いと、誓ったばかりなのに。

やっぱり、また、貴方に会いたいです。


fin
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