忍者ブログ
Marginal Prince Short Story
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

■レッド×ハルヤ ハルヤ×レッド
シルヴァン→ハルヤ(シルヴァン、ごめんねっ!)
■ほのぼのデッド・プリンス。初のレハル小説です。
第1回投票第10位入賞、おめでとうございます。
-------------------------------------
「俺は、アルフレッド・ヴィスコンティ! レッドでイイぜっ?」

天才子役のハリウッドスター。彼の名前を知らない者は居ない。
その彼に、名前を呼ばれる日が来るとは思わなかった。

「なあなあっ! お前が、ハルヤ・コバヤシ!?」

僕が名乗る前から、何故か僕の事を知っていて。
少年そのものの笑顔で、僕の名を呼んだ。

「あ、はい。そうですけど...」

「俺ってラッキー♪ 美形バンドになりそうだぜっ」

「え?」

「ハルヤ、俺とバンド組もうぜ!」

銀幕俳優としての彼。
ライブで熱唱する彼。
寮のサロンで笑っている彼。
全てが、嘘偽りのないレッドだった。

「ハルヤ! またアボカドマグロ丼かよっ?」

「うん。そう」

「なんで、生魚なんか食べられるわけっ?」

「僕には、食べられない方が不思議だけど?」

僕がコレを食べてる時は、
決まってレッドが突っ掛かって来る。
生魚の言い合いも楽しい。君の言葉には悪気がないから。
別に日本を馬鹿にしているわけではない。
ただ自分が感じたままの疑問を口にしているだけだから。

彼の言葉は直球で。
彼の眼は、真っ直ぐにものを捉え、
思ったままの感情をぶつけてくる。
腹が立てば全力で怒るし、
楽しい時は大声で笑う。
物事の善悪は全て自分で決め、
まるで自分がルールブックと言わんばかりだ。
どんな苦境に遭っても、
その眩しい明るさを取り戻す。

僕には出来ないことばかり。
彼は当然のようにやってのける。
レッドが下手なのは、
面白い冗談を言うことと、嘘を吐くことぐらいだ。

僕とは全然違う、遠い遠い存在。
本当はそのまま出会わなかった筈だ。
なのに。今、君は僕の前に居て。
いつしか、それが普通だと思っている僕が居た。

「ねえ、レッド?」

「なんだ?」

「どうして、僕をバンドに誘う時、あんなこと言ったの?」

「あんなことって?」

「あの、ほら、『美形バンドになりそうだぜっ』ってヤツ。
シルヴァンが美形だっていうのは解るけど。
僕に向かって言うことじゃないでしょ?」

「はあ? お前は鏡を見たことが無いのかっ!?」

「え…? それは…あるけど?」

「じゃあ、なんだっ!? 文化の違いかっ!?
お前みたいな奴を『ヤマトナデシコ』って言うんじゃねーのかっ!?」

「…君、日本語読めない割に、変な日本語知ってるよね…
単語と意味の覚え方は、間違ってるみたいだけど」

「だって、シルヴァンが言ってたんだぞ!? ハルヤのことを言うって!」

「やっぱり、あの人が元凶か…」

「あっ! シルヴァンで思い出した!
ハルヤ! 来週のライブなんだけどなっ!?」

「え、うん」

「俺、すっげーイイコト思い付いたんだっ! 聞きたいだろっ!?」

「…言いたい、の間違いでしょ。で、何?」

「来週のライブで、シルヴァンの新曲を披露するっ!」

「シルヴァンの新曲って…この前、アカペラで聞かせて貰った曲?
『さっき出来た曲なんですけどね♪』って言われたアレ?」

「そう、ソレっ!」

「だってアレ、まだメロディーラインしか出来てないんでしょ?
ギターの編曲も楽譜も、まだなのに、どうやって来週のステージに…」

「楽譜ならココにあるっ!」

「シルヴァン、楽譜作ってたの?」

「いんや! 俺が勝手にギターコード、書いてみたんだ♪」

「…1回しか聞いてないのに? 耳コピだけで書けたの?」

「まあなっ。でもリフレインの多い曲だったし。
多分、これで合ってると思うぜ? 今夜から練習しようぜ、ハルヤ!」

「分かったよ」

「おっ! 今日はメンドクサイとか言わずに、素直に言うこと聞くじゃん?」

「…そんなにキラキラな目を向けられて、断る方が面倒くさいよ」

「よっし♪ あ! シルヴァンには内緒だぜっ? 本番まで絶対バレんなよ?」

「…えっ? 本人に秘密にしておいて、本番でいきなり歌わせる気なの?」

「ああ! 来週じゃ早すぎるとか言われるに決まってるからなっ!
ステージで歌うのが、何よりの練習になるだろっ!
お客の反応もすぐに分かるしっ♪」

「なんで、シルヴァンの曲、そんなにステージに出したいの?」

「え? ああ、えっと…
あっ! すっげーイイ曲だったから、早くみんなに聞いて欲しいんだよ!
曲もあったかいうちに食って貰わないとっ! お蔵入りにでもされたら困るからな!
んじゃ、ハルヤ。楽譜、読んどけよ? コードはテキトーに変えてもイイからさっ」

「はいはい…」

レッドが書いた楽譜を受け取った。


翌週。
僕はライブ会場のステージに立っていた。
今日のライブもラストに近い。
会場の熱気も最高潮だ。
僕は、彼等の笑顔をステージ上から見ている。

お客さん達は、僕達を見に来ている。
自分が『ステージ側』に居る自覚が未だに無い。
みんなが見に来ているのは、僕というより彼等だから。
いつもどこか他人事のように感じていた。
おかげで、あまり緊張しないで、此処に立てる。
この場所は、嫌いじゃない。
一応、元々舞台の上に立ってた人間だし。
歌い手の横顔を、一番近くで見られるから。

レッドが手を上げる。
「みんなー! 今日は来てくれてサンキュー!」
レッドは会場に声を掛けながら、手を背中の後ろに降ろす。

――俺が、手を背中に回したら、合図だぜ?

「今日は新曲を披露するぜっ!」

レッドの足が、リズムを刻む。
それに合わせて、ハルヤが弦を掻き鳴らす。

「えっ?」後方のドラムから、作曲者の驚く声が聞こえる。

レッドが、ドラマーを指差す。

「シルヴァンが作った曲なんだ!
んじゃ、ご本人に歌って貰おうぜ! 聞きたいよな、みんなっ!?」

レッドがマイクを差し出すと、客席から歓声が上がる。

「…仕方ありませんね」ドラマーがスティックを置いた。


ライブの帰り。
デッド・プリンスの3人は、タクシーに乗り込む。
後部座席に、レッドとハルヤ。助手席にシルヴァンが座った。

「今日はビックリしましたよー。急に僕の曲が始まるなんて。
僕に内緒にして、二人で打ち合わせしてたんですね?」

「まあね」とハルヤ。

「んもー。僕も呼んで下さいよー。
なんで僕だけ仲間外れにするんですかー、ハルヤー」

「僕に言わないでよ。全部レッドのアイディアなんだから。ね?」

ハルヤの肩に、とん、と何かが触れた。

「あれ? レッド、寝ちゃってる?」

「本当ですか? 寝付きの良い人ですね」

「さっきまで熱唱してたのに...」

「ねえ、ハルヤ?」

「あ、なに?」

「僕の曲。あの演奏を聞く限りでは、
結構前から練習してたんじゃないですか、二人きりで」

「ああ、うん。1週間くらいね」

「成程。なんとなく、レッドの意図が解りました」

「…意図って?」

「おっと!」アイヴィーが短く叫んで、車体が大きく揺れた。

前の車が急に車線変更したのだ。
アイヴィーがハンドルを素早くハンドルを切ったおかげで、衝突を免れた。

「悪ぃ。大丈夫だったか?」運転手が詫びる。

「大丈夫ですよ、アイヴィー。見事なハンドル捌きでした♪ ね、ハルヤ?」

「こっちは、あんまり大丈夫じゃないけどね」

「どうした、ハルヤ?」

「…信じらんない。レッド、なんで起きないんだろ?」

レッドは、ハルヤの膝の上で眠っていた。
車体が揺れた時、レッドの頭は、ハルヤの肩から膝に落ちた。
それでも、何事も無かったように、安らかな寝息を立てている。

「こんな寝顔見せられたら、こっちまで眠たくなっちゃうよ」

「構いませんよ、ハルヤ。学院に着いたら、起こしてあげます」

「そう? じゃ、寝よっかな...」

重たい眼を閉じる。
視覚が消えると、他の感覚が強くなる。
膝が温かい。
レッドの体温を感じながら、
ゆっくりと意識が沈んでいった。


「おや。ハルヤ、本当に眠ってしまいましたか?」

助手席のシルヴァンが振り返る。
二人は凭れ合って眠っていた。

「こういうのを、兄弟みたい、と言うのでしょうか?」

「じゃあ、どっちがどっち?」と運転手。

シルヴァンは正面に向き直る。

「そうですね…やはり、ハルヤが弟じゃないですか?
 自由奔放な兄と、それに振り回される苦労性の弟...」

「ははっ、言えてる。んじゃ、仲良し兄弟のために、より安全運転で行きますかっ」

「ええ。お願いします」

言葉とは裏腹に、シルヴァンは全く逆のことを願っていた。
本当は安全運転よりも、早くウーティス寮に着く方が嬉しい。

後部座席では、二つの寝息が重なっていく。
まるで1つの音楽のように聞こえて。
シルヴァンは、心の中で大きな溜め息を吐いた。

――お二人の時間は、寮に着くまで、ですからね?


fin

PR
カレンダー
07 2026/08 09
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
キャラ名、CP名などで作品検索可
アーカイブ
カウンター
バーコード
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]