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■ミハイル×ユウタ ユウタ×ミハイル
ソクーロフ×ミハイル アンリ×ジョシュア
■ほのぼの。
第1回投票第2位のミハユウ小説に、黄金CPも友情出演。
-------------------------------------
「すっごい雨...」
ユウタは自室で窓の外を見ていた。
まるで、バケツをひっくり返したような勢いだ。
雨は、さっき急に降り出した。
今、教室移動をしている生徒は、運悪く降られたかもしれない。
ユウタも、そろそろ次の講義が始まる時間だ。
傘を差して移動しなくちゃ。
でも、傘が折れそうなくらい風が強い。
大きな雲が動いて、顔みたいに見えた。
「なんか、お化けでも出そうだなあ」
...ぺたっ...ぺたっ...
「何の音!?」
廊下から変な音がする。
ぺたっ。ぺたっ。
「どうしよう、近付いて来るっ!?」
コン、コン。
ついにドアがノックされた。
ユウタは勇気を振り絞って、声を出す。
「...ダ、ダレ?」
耳を塞ぎたい気持ちを押さえていると、
聞き慣れた、か細い声が返って来る。
「ミハイル…」
ユウタは、嬉しさと安堵で、肩の力がゆるゆると抜けた。
「良かったあ...。今、開けるね!」
軽い足取りで駆け寄り、ドアを開ける。
そこには、全身びしょ濡れのミハイルが立っていた。
金色の髪から、ぽたぽたと雫が落ち、
いつもは雪のように白い頬は、赤に染まっている。
「ミハイル、雨に当たっちゃったんだね...」
「うん。ごめんね...」
「と、とにかく中に入って! 今、タオル取って来るよ。
あっ、じゃなくて、シャワーに入った方が良いのかなあ?」
金色の髪から、弱々しく雨粒が零れる。
「ううん...僕はいいの...それより、この子を」
ブレザーの中から出て来たのは、汚れた子犬だった。
目を閉じて、ぐったりしている。
「どうしたの、この犬!? ああっ! 足を怪我してるっ!?」
「うん。さっき森で見付けたんだ...
でも僕、どうしていいか解らなくて、
ユウタのとこに来ちゃった...
お願い、この子を助けて...ユウ、タ...」
足下から崩れる身体をユウタが受け止める。
「ミハイルッ!!」
ミハイルが気が付いた時。
目に入ったのは、見知った天井だった。
「保健室...」
「そうだよ、ミハイル」
低く練れた声が聞こえて、薬の匂いが近付いて来る。
「ソクーロフ博士...」
「どうして此処に居るのか解らない、という顔だね」
「はい...ごめんなさい、博士...」
「君を此処に連れて来たのはユウタだ。
彼は講義があるようだったので、行かせたよ。それまでは君の傍に居た。
『ミハイルをお願いします』と言って、名残惜しそうに講義へ向かったよ」
「ユウタが、僕を...」
「彼が君を見つめている目は、とても大切なものを見る目だった…
全く君は、興味の尽きないクライアントだね」
「えっ...あの...」
「ああ、深く考えるのは止めておきなさい。
熱のある身体に負担が掛かるからね」
「...熱? 僕は熱があるんですか?」
「そうだよ。元々、風邪気味だったのに、
豪雨の中、森からウーティス寮まで歩かれてはね」
「...森? あっ、あの子犬は?」
「ユウタが持って行った。ミハイルにはこう伝えて欲しいと言われたよ。
『小鳥を治してくれた獣医さんに預けるから、心配要らないよ』とね」
「ふうん。それで、此処に子犬が居るの。
すっかり獣医まで兼任しているね、生徒代表殿?」
ジョシュアの部屋。
アンリはソファに腰掛け、視線は本に落としたまま言った。
ジョシュアは子犬の身体を撫でている。
「獣医だなんて、大したことはしてないよ。
傷口を消毒して、包帯を巻いてあげるぐらいだから」
「その行為は、必要十分な治療なんでしょう?」
アンリは本のページを繰りながら、
「それで、怪我の具合はどうなの?」
獣医は、包帯を薬箱に片付けながら、そっと笑う。
「大丈夫。傷は深く無いよ。ただ、さっきは酷い豪雨だったから。
傷口に雨が滲みて、歩けなかったんだろうね」
アンリの表情が僅かに歪む。
獣医が子犬の頭を撫でると、気持ち良さそうに、きゅう、と鳴く。
「だから、木の下で休んでいたんだね。
傷口が悪化する前に、ミハイルに見つけて貰えて良かったよ」
子犬が獣医の指を嘗める。
「あははっ。お礼なら、ミハイルにしてくれればいいのに」
医者と患者は、すっかり仲良くなったようだ。
ソファの方からは、またページをめくる音が聞こえる。
「アンリ。君もこの子に触ってみるかい?」
本を閉じる音がした。
ジョシュアは、アンリの前に子犬を差し出す。
その大きな瞳に誘われるように、アンリが手を伸ばそうとすると、
子犬は、ジョシュアを振り向いた。獣医は優しい微笑を返す。
「大丈夫。彼は怖くないよ。俺の大事な人だから」
子犬がアンリを見上げる。
途端に、子犬の口が、アンリの指を目掛けて飛び付く。
驚いたアンリは手を引っ込めて、小さく呻く。
「アンリ!?」
指を見ると、血が滲んでいた。
犬の口から逃れる時、歯に当たってしまったのだ。
歯に引っ掻かれた痕が、赤い線を描いている。
「ジョシュア...君が余計なこと言ったせいだからね?」
「え? アンリが急に手を避けるからだろう?」
「何言ってるの? 避けていなかったら、完全に噛まれてたよ?」
「まさか。この子は、君の指を舐めようとしただけだよ。ね?」
ジョシュアが子犬を撫でると、子犬は嬉しそうに目を閉じた。
アンリは冷笑する。
どうやら、僕と目を合わせるつもりは無いらしい。
嫉妬という感情は、人間も動物も変わらないようだ。
では、痛み分け、ってことにしておこうか。
「まあ、いいや。今、傷付いたのは、僕ではないからね」
「え? 指に傷が出来たじゃないか、アンリ。
怪我した子犬がもう一匹増えたのに、獣医として放っておけないな」
ジョシュアは、くすくすと笑いながら薬箱をもう一度開ける。
「へえ。僕を犬扱いするとは良い度胸だね?」
怯ませるような言い方をしても、この男には通じない。
「さあ。手当てしよう? おいで、アンリ」
まるで子犬を呼ぶように、差し出された手。
アンリは、その憎らしい手を引き寄せる。
「…君も、噛んで欲しいの?」
数日後のウーティス寮。
元気になったミハイルは、ユウタの部屋に居た。
ベッドに横たわる人に、しがみ付く。
「ユウタッ! ごめんね、僕のせいでっ!」
ミハイルは、風邪が治ったことを告げようと、
講義の前に、ユウタの部屋を訪れた。
すると、ユウタはベッドの中に居て、赤い顔をしていた。
「ミハイルのせいじゃないよ。
俺が勝手に、君の部屋に行って看病してたんだから」
ユウタはベッドの中から、手を伸ばして金色の髪を撫でる。
温かい手。この指先に触れるだけで、発熱が解るくらいだ。
「待っててね、ユウタ。僕、誰か呼んで来るからっ!」
ミハイルの手首が温かい手に掴まれる。
「…ユウタ?」
「大丈夫だよ。もうすぐ俺、寝ちゃいそうだし。それより…
俺が眠るまで、ミハイルが傍に居てくれる方が、嬉しいな…」
講義開始の鐘が鳴った。温かい手が自ら離れる。
「授業の時間だね。ゴメン、ミハイル。今俺が言った事、忘れて?」
「ユウタ…」
「ほら。早く行かないと遅刻しちゃ…」
金色の髪が、ユウタの胸に飛び込んで来る。
「行かないっ! ココに居るっ」
「ダメだよ、ミハイル」
押し黙ったまま、ユウタのパジャマに、すがり付く。
「ありがと。じゃあ、俺が眠るまで一緒に居てくれる?」
「うん」
「俺が眠ったら、ミハイルの好きにしてイイからね?」
「えっ? 好きにって?」
「ミハイルは部屋を出て、好きなことしてていいよってこと」
「ああ...うん。わかった...」
「あれ? ミハイル、また熱があるんじゃない? 顔赤いよ?」
fin
ソクーロフ×ミハイル アンリ×ジョシュア
■ほのぼの。
第1回投票第2位のミハユウ小説に、黄金CPも友情出演。
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「すっごい雨...」
ユウタは自室で窓の外を見ていた。
まるで、バケツをひっくり返したような勢いだ。
雨は、さっき急に降り出した。
今、教室移動をしている生徒は、運悪く降られたかもしれない。
ユウタも、そろそろ次の講義が始まる時間だ。
傘を差して移動しなくちゃ。
でも、傘が折れそうなくらい風が強い。
大きな雲が動いて、顔みたいに見えた。
「なんか、お化けでも出そうだなあ」
...ぺたっ...ぺたっ...
「何の音!?」
廊下から変な音がする。
ぺたっ。ぺたっ。
「どうしよう、近付いて来るっ!?」
コン、コン。
ついにドアがノックされた。
ユウタは勇気を振り絞って、声を出す。
「...ダ、ダレ?」
耳を塞ぎたい気持ちを押さえていると、
聞き慣れた、か細い声が返って来る。
「ミハイル…」
ユウタは、嬉しさと安堵で、肩の力がゆるゆると抜けた。
「良かったあ...。今、開けるね!」
軽い足取りで駆け寄り、ドアを開ける。
そこには、全身びしょ濡れのミハイルが立っていた。
金色の髪から、ぽたぽたと雫が落ち、
いつもは雪のように白い頬は、赤に染まっている。
「ミハイル、雨に当たっちゃったんだね...」
「うん。ごめんね...」
「と、とにかく中に入って! 今、タオル取って来るよ。
あっ、じゃなくて、シャワーに入った方が良いのかなあ?」
金色の髪から、弱々しく雨粒が零れる。
「ううん...僕はいいの...それより、この子を」
ブレザーの中から出て来たのは、汚れた子犬だった。
目を閉じて、ぐったりしている。
「どうしたの、この犬!? ああっ! 足を怪我してるっ!?」
「うん。さっき森で見付けたんだ...
でも僕、どうしていいか解らなくて、
ユウタのとこに来ちゃった...
お願い、この子を助けて...ユウ、タ...」
足下から崩れる身体をユウタが受け止める。
「ミハイルッ!!」
ミハイルが気が付いた時。
目に入ったのは、見知った天井だった。
「保健室...」
「そうだよ、ミハイル」
低く練れた声が聞こえて、薬の匂いが近付いて来る。
「ソクーロフ博士...」
「どうして此処に居るのか解らない、という顔だね」
「はい...ごめんなさい、博士...」
「君を此処に連れて来たのはユウタだ。
彼は講義があるようだったので、行かせたよ。それまでは君の傍に居た。
『ミハイルをお願いします』と言って、名残惜しそうに講義へ向かったよ」
「ユウタが、僕を...」
「彼が君を見つめている目は、とても大切なものを見る目だった…
全く君は、興味の尽きないクライアントだね」
「えっ...あの...」
「ああ、深く考えるのは止めておきなさい。
熱のある身体に負担が掛かるからね」
「...熱? 僕は熱があるんですか?」
「そうだよ。元々、風邪気味だったのに、
豪雨の中、森からウーティス寮まで歩かれてはね」
「...森? あっ、あの子犬は?」
「ユウタが持って行った。ミハイルにはこう伝えて欲しいと言われたよ。
『小鳥を治してくれた獣医さんに預けるから、心配要らないよ』とね」
「ふうん。それで、此処に子犬が居るの。
すっかり獣医まで兼任しているね、生徒代表殿?」
ジョシュアの部屋。
アンリはソファに腰掛け、視線は本に落としたまま言った。
ジョシュアは子犬の身体を撫でている。
「獣医だなんて、大したことはしてないよ。
傷口を消毒して、包帯を巻いてあげるぐらいだから」
「その行為は、必要十分な治療なんでしょう?」
アンリは本のページを繰りながら、
「それで、怪我の具合はどうなの?」
獣医は、包帯を薬箱に片付けながら、そっと笑う。
「大丈夫。傷は深く無いよ。ただ、さっきは酷い豪雨だったから。
傷口に雨が滲みて、歩けなかったんだろうね」
アンリの表情が僅かに歪む。
獣医が子犬の頭を撫でると、気持ち良さそうに、きゅう、と鳴く。
「だから、木の下で休んでいたんだね。
傷口が悪化する前に、ミハイルに見つけて貰えて良かったよ」
子犬が獣医の指を嘗める。
「あははっ。お礼なら、ミハイルにしてくれればいいのに」
医者と患者は、すっかり仲良くなったようだ。
ソファの方からは、またページをめくる音が聞こえる。
「アンリ。君もこの子に触ってみるかい?」
本を閉じる音がした。
ジョシュアは、アンリの前に子犬を差し出す。
その大きな瞳に誘われるように、アンリが手を伸ばそうとすると、
子犬は、ジョシュアを振り向いた。獣医は優しい微笑を返す。
「大丈夫。彼は怖くないよ。俺の大事な人だから」
子犬がアンリを見上げる。
途端に、子犬の口が、アンリの指を目掛けて飛び付く。
驚いたアンリは手を引っ込めて、小さく呻く。
「アンリ!?」
指を見ると、血が滲んでいた。
犬の口から逃れる時、歯に当たってしまったのだ。
歯に引っ掻かれた痕が、赤い線を描いている。
「ジョシュア...君が余計なこと言ったせいだからね?」
「え? アンリが急に手を避けるからだろう?」
「何言ってるの? 避けていなかったら、完全に噛まれてたよ?」
「まさか。この子は、君の指を舐めようとしただけだよ。ね?」
ジョシュアが子犬を撫でると、子犬は嬉しそうに目を閉じた。
アンリは冷笑する。
どうやら、僕と目を合わせるつもりは無いらしい。
嫉妬という感情は、人間も動物も変わらないようだ。
では、痛み分け、ってことにしておこうか。
「まあ、いいや。今、傷付いたのは、僕ではないからね」
「え? 指に傷が出来たじゃないか、アンリ。
怪我した子犬がもう一匹増えたのに、獣医として放っておけないな」
ジョシュアは、くすくすと笑いながら薬箱をもう一度開ける。
「へえ。僕を犬扱いするとは良い度胸だね?」
怯ませるような言い方をしても、この男には通じない。
「さあ。手当てしよう? おいで、アンリ」
まるで子犬を呼ぶように、差し出された手。
アンリは、その憎らしい手を引き寄せる。
「…君も、噛んで欲しいの?」
数日後のウーティス寮。
元気になったミハイルは、ユウタの部屋に居た。
ベッドに横たわる人に、しがみ付く。
「ユウタッ! ごめんね、僕のせいでっ!」
ミハイルは、風邪が治ったことを告げようと、
講義の前に、ユウタの部屋を訪れた。
すると、ユウタはベッドの中に居て、赤い顔をしていた。
「ミハイルのせいじゃないよ。
俺が勝手に、君の部屋に行って看病してたんだから」
ユウタはベッドの中から、手を伸ばして金色の髪を撫でる。
温かい手。この指先に触れるだけで、発熱が解るくらいだ。
「待っててね、ユウタ。僕、誰か呼んで来るからっ!」
ミハイルの手首が温かい手に掴まれる。
「…ユウタ?」
「大丈夫だよ。もうすぐ俺、寝ちゃいそうだし。それより…
俺が眠るまで、ミハイルが傍に居てくれる方が、嬉しいな…」
講義開始の鐘が鳴った。温かい手が自ら離れる。
「授業の時間だね。ゴメン、ミハイル。今俺が言った事、忘れて?」
「ユウタ…」
「ほら。早く行かないと遅刻しちゃ…」
金色の髪が、ユウタの胸に飛び込んで来る。
「行かないっ! ココに居るっ」
「ダメだよ、ミハイル」
押し黙ったまま、ユウタのパジャマに、すがり付く。
「ありがと。じゃあ、俺が眠るまで一緒に居てくれる?」
「うん」
「俺が眠ったら、ミハイルの好きにしてイイからね?」
「えっ? 好きにって?」
「ミハイルは部屋を出て、好きなことしてていいよってこと」
「ああ...うん。わかった...」
「あれ? ミハイル、また熱があるんじゃない? 顔赤いよ?」
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