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■ロレート
■違ってしまった今だけど 続編
久方振りに、ご友人と会った陛下は、音楽祭のあと、ご友人を邸に連れ帰った。
そして、邸に着くなり、お二人で酒宴を始めたのだ。
おかげで、邸の臣下達も今宵は慌ただしく、廊下を行ったり来たりしている。
陛下の側近ラルヴィスもそのうちの一人。
今は、主がご所望になった赤ワインを運ぶ途中だった。
これが今宵、何本目のボトルなのか、もう解らない。
「おおっと」
廊下の曲がり角で誰かにぶつかりそうになり、ラルヴィスはとっさに謝った。
「すみません……ああ、なんだ、お前か」
肩まで伸ばした、チョコレート色の髪。
相手は、陛下の側役を務める、アル・エメリー。最も口の悪い同僚だ。
「俺だと解った途端、冷たいなあ。レイナは」
階級上はラルヴィスの部下に当たるが、普段は互いに気にしていない。
エメリーはラルヴィスが運んでいる赤ワインを見て、
「何、陛下達、まだ飲んでんの?」
「ああ」
「ハハッ。やるねー。さっすが陛下」
「それより、ご友人の寝室の用意はどうなっている?」
「とっくに終わってるよ。けど、その分じゃ必要なかったかもな。
このまま行くと、明け方まで飲んで、
テーブルでちょっと寝たら、もう朝ってパターンじゃん?」
「しかし、陛下のご友人をテーブルに寝かせるなど」
「気持ち良く寝てるとこ起こすほうが失礼だろ?
てゆーか、ソレ、早く持って行かなくて良いのか?」
そうだ、赤ワインを運ぶ途中だった。
ラルヴィスは同僚と別れ、陛下とご友人が待つ酒宴の席へと急いだ。
廊下に笑い声が響いている。
側近は飲み会会場と化している部屋の前に立ち、一呼吸した。
「しかし、学生時代に考えてたものとは、
全く違う未来になったな、お前も、俺も」
部屋の中から陛下のお声が聞こえ、側近はノックしようとした手が止まった。
「そーだっけ?」
「そうさ。俺は自分がロレートの王になるつもりなどさらさらなかったし、
お前だって、ピアニストになんか絶対ならないと言っていた時期があっただろ?」
「あー、まあ、ピアノなんか大っ嫌いな時期もあったから。
親が敷いたレールの上を走りたくないってヤツ?」
「反抗期だったからな、お前は」
「お前にだけは言われたくないよ、カーディス」
側近は白い扉をノックする。扉を開けると、お二人の会話が止まった。
「失礼致します。ワインをお持ち致しました」
「遅いぞ、ラルヴィス」
「申し訳ありません」
陛下のワイングラスは空いていた。
本来であれば、空いたグラスにワインを注ぐのは側近の役目。
だが、今宵の側近はそうしなかった。
「失礼致します」
空の皿と空のボトルだけ引き取り、早々に退室した。
側近が出て行くと、部屋の中から声が聞こえた。
側近は食器類を片付けにキッチンへ向かった。
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■違ってしまった今だけど 続編
久方振りに、ご友人と会った陛下は、音楽祭のあと、ご友人を邸に連れ帰った。
そして、邸に着くなり、お二人で酒宴を始めたのだ。
おかげで、邸の臣下達も今宵は慌ただしく、廊下を行ったり来たりしている。
陛下の側近ラルヴィスもそのうちの一人。
今は、主がご所望になった赤ワインを運ぶ途中だった。
これが今宵、何本目のボトルなのか、もう解らない。
「おおっと」
廊下の曲がり角で誰かにぶつかりそうになり、ラルヴィスはとっさに謝った。
「すみません……ああ、なんだ、お前か」
肩まで伸ばした、チョコレート色の髪。
相手は、陛下の側役を務める、アル・エメリー。最も口の悪い同僚だ。
「俺だと解った途端、冷たいなあ。レイナは」
階級上はラルヴィスの部下に当たるが、普段は互いに気にしていない。
エメリーはラルヴィスが運んでいる赤ワインを見て、
「何、陛下達、まだ飲んでんの?」
「ああ」
「ハハッ。やるねー。さっすが陛下」
「それより、ご友人の寝室の用意はどうなっている?」
「とっくに終わってるよ。けど、その分じゃ必要なかったかもな。
このまま行くと、明け方まで飲んで、
テーブルでちょっと寝たら、もう朝ってパターンじゃん?」
「しかし、陛下のご友人をテーブルに寝かせるなど」
「気持ち良く寝てるとこ起こすほうが失礼だろ?
てゆーか、ソレ、早く持って行かなくて良いのか?」
そうだ、赤ワインを運ぶ途中だった。
ラルヴィスは同僚と別れ、陛下とご友人が待つ酒宴の席へと急いだ。
廊下に笑い声が響いている。
側近は飲み会会場と化している部屋の前に立ち、一呼吸した。
「しかし、学生時代に考えてたものとは、
全く違う未来になったな、お前も、俺も」
部屋の中から陛下のお声が聞こえ、側近はノックしようとした手が止まった。
「そーだっけ?」
「そうさ。俺は自分がロレートの王になるつもりなどさらさらなかったし、
お前だって、ピアニストになんか絶対ならないと言っていた時期があっただろ?」
「あー、まあ、ピアノなんか大っ嫌いな時期もあったから。
親が敷いたレールの上を走りたくないってヤツ?」
「反抗期だったからな、お前は」
「お前にだけは言われたくないよ、カーディス」
側近は白い扉をノックする。扉を開けると、お二人の会話が止まった。
「失礼致します。ワインをお持ち致しました」
「遅いぞ、ラルヴィス」
「申し訳ありません」
陛下のワイングラスは空いていた。
本来であれば、空いたグラスにワインを注ぐのは側近の役目。
だが、今宵の側近はそうしなかった。
「失礼致します」
空の皿と空のボトルだけ引き取り、早々に退室した。
側近が出て行くと、部屋の中から声が聞こえた。
側近は食器類を片付けにキッチンへ向かった。
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