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■ジョシュア×アンリ
■グラントに伝わる魔法の続編
-----------------------------
夜が深まった頃。
アンリの部屋には、月光だけが差していた。
「アンリ…」
少し掠れたジョシュアの声は、
昼間の優等生の声とは違う。
夜の声は、熱を帯びていた。
深紅の瞳に見下ろされている。
夜に見るこの赤は、とても綺麗だ。
もう何度目か解らない魔法の呪文を囁かれる。
「愛してる……愛してる…」
練れた声で呟きながら、僕の首許に口付けを落とす。
彼の髪に頬を撫でられて、くすぐったい。
「良いよ、そんなに何度も言わなくて。狂った玩具みたいだよ?」
「…すまない。でも何度言っても足りないんだ」
「君のそういうところは親譲り、かな?」
「そうかもしれないね」
ジョシュアの父、プリンス・エドワードは、
ロレート公国の王子だったが、王位を捨ててまで愛を取った。
それは『王位を賭けた恋』と呼ばれ、世界中に伝わった。
アンリには、彼の行動が理解できなかった。
彼が失ったものは計り知れない。
プリンス・エドワードは、どんな想いで決断したのか。
「僕はまだ解らないよ、愛してるってどういうことなのか」
「アンリ…」
「前にも伝えたけれどね。僕は、君のことも…愛しているのかは解らない」
「アンリは、俺と話をすることが嫌かい?」
「いいや」
「では、これは…?」
頬に手を添えられて。
目を閉じたジョシュアが近付いてくる。
深く、甘い口付け。
どうして、泣きたくなるんだろう。
頬に添えられていた手が、ゆっくり離れる。
「嫌かな、アンリ?」
「…嫌じゃ、ない」
「それなら良いよ。いつか解る時が来る。もし、その相手が俺だったら嬉しいな」
「君は…おかしいよ…」
「仕方ないよ。俺は、君にあの台詞を言われてからずっと…」
「あの台詞?」
「俺達が初めて会った時、君は言ったよね?
俺の頭上に『月桂樹の冠が見える』って」
「ああ」
見えている。
4年前、初めて会った時から。ジョシュアは栄光の証を持っていた。
幼い頃から、この目は様々な物を映して来たが、初めて見る厳かな輝きだった。
それは時に、光を弱め、色を変えることもあった。
だが今もその輝きを、失うことはない。
ジョシュアは優しく微笑む。
「今思うと、それが魔法の呪文だったんだね」
「呪文?」
「そうだよ。今も、とけていないんだ。
俺は、あの時からずっと、アンリの魔法にかけられてる」
fin
■グラントに伝わる魔法の続編
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夜が深まった頃。
アンリの部屋には、月光だけが差していた。
「アンリ…」
少し掠れたジョシュアの声は、
昼間の優等生の声とは違う。
夜の声は、熱を帯びていた。
深紅の瞳に見下ろされている。
夜に見るこの赤は、とても綺麗だ。
もう何度目か解らない魔法の呪文を囁かれる。
「愛してる……愛してる…」
練れた声で呟きながら、僕の首許に口付けを落とす。
彼の髪に頬を撫でられて、くすぐったい。
「良いよ、そんなに何度も言わなくて。狂った玩具みたいだよ?」
「…すまない。でも何度言っても足りないんだ」
「君のそういうところは親譲り、かな?」
「そうかもしれないね」
ジョシュアの父、プリンス・エドワードは、
ロレート公国の王子だったが、王位を捨ててまで愛を取った。
それは『王位を賭けた恋』と呼ばれ、世界中に伝わった。
アンリには、彼の行動が理解できなかった。
彼が失ったものは計り知れない。
プリンス・エドワードは、どんな想いで決断したのか。
「僕はまだ解らないよ、愛してるってどういうことなのか」
「アンリ…」
「前にも伝えたけれどね。僕は、君のことも…愛しているのかは解らない」
「アンリは、俺と話をすることが嫌かい?」
「いいや」
「では、これは…?」
頬に手を添えられて。
目を閉じたジョシュアが近付いてくる。
深く、甘い口付け。
どうして、泣きたくなるんだろう。
頬に添えられていた手が、ゆっくり離れる。
「嫌かな、アンリ?」
「…嫌じゃ、ない」
「それなら良いよ。いつか解る時が来る。もし、その相手が俺だったら嬉しいな」
「君は…おかしいよ…」
「仕方ないよ。俺は、君にあの台詞を言われてからずっと…」
「あの台詞?」
「俺達が初めて会った時、君は言ったよね?
俺の頭上に『月桂樹の冠が見える』って」
「ああ」
見えている。
4年前、初めて会った時から。ジョシュアは栄光の証を持っていた。
幼い頃から、この目は様々な物を映して来たが、初めて見る厳かな輝きだった。
それは時に、光を弱め、色を変えることもあった。
だが今もその輝きを、失うことはない。
ジョシュアは優しく微笑む。
「今思うと、それが魔法の呪文だったんだね」
「呪文?」
「そうだよ。今も、とけていないんだ。
俺は、あの時からずっと、アンリの魔法にかけられてる」
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