忍者ブログ
Marginal Prince Short Story
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

■ジョシュア×アンリ
グラントに伝わる魔法の続編
-----------------------------
夜が深まった頃。
アンリの部屋には、月光だけが差していた。

「アンリ…」

少し掠れたジョシュアの声は、
昼間の優等生の声とは違う。
夜の声は、熱を帯びていた。

深紅の瞳に見下ろされている。
夜に見るこの赤は、とても綺麗だ。

もう何度目か解らない魔法の呪文を囁かれる。

「愛してる……愛してる…」

練れた声で呟きながら、僕の首許に口付けを落とす。
彼の髪に頬を撫でられて、くすぐったい。

「良いよ、そんなに何度も言わなくて。狂った玩具みたいだよ?」

「…すまない。でも何度言っても足りないんだ」

「君のそういうところは親譲り、かな?」

「そうかもしれないね」

ジョシュアの父、プリンス・エドワードは、
ロレート公国の王子だったが、王位を捨ててまで愛を取った。
それは『王位を賭けた恋』と呼ばれ、世界中に伝わった。
アンリには、彼の行動が理解できなかった。
彼が失ったものは計り知れない。
プリンス・エドワードは、どんな想いで決断したのか。

「僕はまだ解らないよ、愛してるってどういうことなのか」

「アンリ…」

「前にも伝えたけれどね。僕は、君のことも…愛しているのかは解らない」

「アンリは、俺と話をすることが嫌かい?」

「いいや」

「では、これは…?」

頬に手を添えられて。
目を閉じたジョシュアが近付いてくる。

深く、甘い口付け。
どうして、泣きたくなるんだろう。

頬に添えられていた手が、ゆっくり離れる。

「嫌かな、アンリ?」

「…嫌じゃ、ない」

「それなら良いよ。いつか解る時が来る。もし、その相手が俺だったら嬉しいな」

「君は…おかしいよ…」

「仕方ないよ。俺は、君にあの台詞を言われてからずっと…」

「あの台詞?」

「俺達が初めて会った時、君は言ったよね?
俺の頭上に『月桂樹の冠が見える』って」

「ああ」

見えている。
4年前、初めて会った時から。ジョシュアは栄光の証を持っていた。
幼い頃から、この目は様々な物を映して来たが、初めて見る厳かな輝きだった。
それは時に、光を弱め、色を変えることもあった。
だが今もその輝きを、失うことはない。

ジョシュアは優しく微笑む。

「今思うと、それが魔法の呪文だったんだね」

「呪文?」

「そうだよ。今も、とけていないんだ。
俺は、あの時からずっと、アンリの魔法にかけられてる」


fin
PR
カレンダー
06 2026/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
キャラ名、CP名などで作品検索可
アーカイブ
カウンター
バーコード
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]