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Marginal Prince Short Story
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■ウーティス寮とミハイル
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「あの…みんな…」

4月下旬のウーティス寮サロン。
ユウタはダンボール箱を持って、げっそりしていた。
ジョシュアが、心配そうに声を掛ける。

「ユウタ? どうしたんだい…具合でも悪いの?」

「あの、ちょっと…姉貴から荷物が届いて…」

「ユウタの姉ちゃんからっ!?」

レッドが箱を開ける。
黒、赤、青の長い布が入っている。
レッドは青い布を広げてみる。
所々に金糸で刺繍されて、黒い水玉模様もある。
チャイナドレスのように見えた。スリットはないようだが。

「おおっ、派手なドレスじゃん! おいアンリ、着てみろよ!」

「…何で僕が?」

「じゃあ、ハルヤにも着て欲しいです♪」

「シルヴァン。それ、ドレスじゃないよ。こいのぼり。ね、ユウタ?」

「うん。そーなんだ。姉貴…こんなおっきいの送って。
何でもかんでも送れば良いと思ってんのかなあ」

「これがこいのぼりなんですかー!? 本物は初めて見ましたよー。
こんなに大きいものだったんですね!」

「シルヴァン、知ってたの?」

「はい。映画の中で、サムライの村で男の子が生まれた時に見ました!
こいのぼりって、江戸時代から今まで継がれているイベントなんですね」

「おい、こいのぼりってなんだ!」

「5月5日は、日本ではこどもの日なんだよ。
こいのぼりを飾って、滝登りをする鯉みたいに、
男の子が元気で大きくなりますように、って願いを込めたものなんだ」

「ふうん。んで、こいのぼりって、どうやって飾んだよ?」

「これは大きいから外だね」

「外!?」

「まあ。実際にやってみよっか」



ウーティス寮の庭。
黒の真鯉、赤の緋鯉、青の子鯉が楽しそうに泳いでいる。

「うわあ。他の寮の人達も集まってきちゃった…」

「珍しいだろうからね。てゆうか、目立つし」

「あっ、ミハイルだー」

「ユウタ…」

「ミハイル、寮のみんなと来てくれたんだ?」

「うん。シュヌーシアのみんながね、
『ウーティスが面白いことやってるから一緒に見に行こう』って誘ってくれたの。
ウーティスにはユウタが居るから会えるかもって思って…来ちゃった、ごめんね」

「謝ることなんてないよ、ミハイル。
ね。5月5日、ミハイルも一緒に柏餅食べよ?」

「かしわもち?」

「日本のお菓子だよ。甘くて柔らかいんだー」

「そう。ユウタと一緒に居られるなら、ぼくも食べたいな」


fin
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