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Marginal Prince Short Story
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■ジョシュア
--------------
ウーティス寮。
ユウタがサロンのドアを開けると、
ジョシュアが大きな花瓶に真っ白な花束を飾っていた。

「あれ、ジョシュアー?」

「やあ、ユウタ」

「お花飾ってんの?」

「うん、そうなんだ。今日5月1日は、スズランの日だからね」

「スズランの日?」

「イギリスやフランスの行事なんだけれどね。
友人や恋人にスズランを送る日なんだ。
貰った人には、その一年、幸福が訪れると言われているんだよ」

「へええ。そんなロマンチックな行事があるんだー」

「俺は、ウーティス寮の皆が大切な人だから。此処に飾りたいなと思ってね」

ジョシュアは白い鈴に触れる。

「フランス語ではスズランをミュゲと言うから、
スズランの日は『ミュゲ・デイ』と呼ばれているんだよ。
今日は花屋以外の人も花を売ることが許されている。
だから、この日は街中がスズラン一色なんだ」

「凄いね。街がお花でいっぱいなんて…」

「そうだ。おいで、ユウタ」

「ん?」

ジョシュアは身を屈め、一輪のスズランをユウタの髪に差す。
栗色の髪に、清楚な白がよく映えた。

「可愛いよ、ユウタ。花の妖精みたいだ」

「やだ…ジョシュア…俺、恥ずかしいよ…」

開け放たれた扉からハルヤが入ってくる。
ジョシュアとユウタを見るより、先に花瓶いっぱいのスズランに目に行く。

「あれ…此処にもスズランがある…なんで?」

明らかに戸惑っているハルヤに、ユウタが声を掛ける。

「ハルヤー。どうかしたの?」

「えっ。ユウタにまでスズランが咲いてる…」

「ああっ、これは気にしないで。それでハルヤは何かあったの?」

「あ、うん。さっき部屋に戻ったら、スズランのブーケがあって…」

ユウタは隣の人を見上げる。

「ジョシュア、ハルヤにもスズランあげたんた?」

ところが、ジョシュアは首を横に降った。

「いや、俺じゃないよ。此処にしか持って来てないんだ」

「えー。じゃあ一体誰が…」


三人は他の寮生達に尋ねて回ったが、
全員から「知らない」と同じ言葉が返って来た。

サロンに飾られた純潔の花は、
可憐で清々しい香りを纏っていた。


fin
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