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Marginal Prince Short Story
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■レッド×ユウタ
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「で! あのドラマは、ああいう不思議なエンディングになったわけ!」

レッドは右腕に焦茶色の紙袋を抱えている。
アルフォンソ島のスーパーの袋だ。
中には、今夜バーベキューパーティで使う食材が入っている。

「あ。やべっ。人には言うなって、監督に止められてたんだった」
「あははっ、もう俺、聞いちゃったよ」

隣を歩くユウタも紙袋を抱えている。
こちらの方が幾分小さい。

俺の提案で、今夜はバーベキューパーティ。
買い出しじゃんけんに、言い出しの俺が負けた。
そしたら「俺も付いてく」とユウタが言って来た。
ユウタは弟っぽいヤツだ。
まあ、姉ちゃんが居るからほんとに弟なんだけど。
俺の弟、トニーは俺より、しっかりしてるっていうか、
今、売れっ子の子役だから、ちょっとマセてて。
あんまり可愛げがないんだけど。
トニーよりユウタの方が、ずっと弟ってかんじがする。

「ねえねえ、レッド」
「ん?」
「今の話、俺、誰にも言わないよ」
「ああ。そーしてくれると助かる」
「うん」
「なに嬉しそうにしてんだよ」
「別に。フツーだよ」

他愛も無い会話を繰り返しながら、学院の方へと歩いていく。
公園を通り掛かった時、ユウタが足を止めた。
園内を見ている。中央に噴水がある。
他には、滑り台、シーソーなどのカラフルな遊具がある普通の公園だ。

「ユウタ、何見てんだ?」
「あの子…どうしたのかな」

ブランコに一人で座っている男の子が居た。
5歳前後だろうか。今にも泣き出しそうな顔で、鎖を握り締めている。

「なんか可哀想…大丈夫かなあ」
「放っておけって。帰るぞ、ユウタ」
「あ、ねえ、ちょっと待って」

ブランコの鎖が鳴って、男の子が飛び降りた。
「ママ!」と叫んで、駆け出す。
その先には、一人の女性。
男の子は、彼女の足に飛び付いた。

母親は愛おしげに、我が子の髪を撫でる。
二人は、さも当たり前かのように手を繋いだ。
親子は公園を出て、俺達の傍を通り過ぎた。

「ママー、今日のごはんなにー?」

先程の泣きそうな表情が幻だったかのように、弾むような声だった。
母親の返事は聞こえなかった。
数秒後、男の子の喜ぶ声が耳に届いた。

夕焼けの下で、親子の長い影が出来る。
影の手も、しっかりと結ばれていた。

「ユウタ。なにボケっとしてんだよ」
「なんか姉貴のこと思い出しちゃった」
「姉ちゃんのこと?」
「うん。子供の時は姉貴と姉貴の友達とかと公園で遊んでたなと思って」
「へえー。ユウタの姉ちゃんは、子供の時も可愛いかったんだろーなー」
「なっ、何言ってんだよ、レッド!」
「それで、何して遊ぶわけ?」

途端にユウタは俯いた。

「い、言いたくないよ…」
「お前、姉ちゃんと言えないような遊びしてたのかよ!?」
「違うよ! …ごっこ遊び、だよ」
「何ごっこ?」
「お、おままごと、とか、ヒーローごっことか色々」
「お前、女の子役ばっかだっただろ! しかもスカートとか着せられて!」
「なな、なんで知ってんの!? 姉貴に聞いたの!?」
「いーや、カン。でも当たったみたいだな?」
「もうレッド!」
「イイじゃん。兄弟で遊ぶのって。俺達はあんま遊んだことないんだよなー」
「え。そうなの?」
「ああ。仲悪いわけじゃねーんだけど、みんな忙しくてさ」
「そっか。レッドんち、芸能一家だもんね」

空は真っ赤に染まってる。
俺の好きな色。
俺の色だ。
カラスが鳴いた時、すげーイイことを思い付いた。

「なあ、ユウタ。男の子役、させてやろっか?」
「な、なにそれ…」
「俺の弟役ってのはどーだ?」
「…レッドの弟になって、何すればいいの?」

俺は、弟に手を差し出す。

「兄ちゃんと手を繋いで帰る!」


fin
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