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Marginal Prince Short Story
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■レッド×ハルヤ
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「ハルヤ、食べるもん、このくらいで足りるか?」

レッドは右腕に焦茶色の紙袋を抱えている。
アルフォンソ島のスーパーの袋だ。
中には、今夜バーベキューパーティで使う食材が入っている。

「今日は結構多めに買ったつもりなんだけど」
「あ、俺のこと気にしてくれてたの? 別に良いのに」
「でも、腹減ってんだろ、今」
「うん」

隣を歩くハルヤも紙袋を抱えている。
こちらの方が幾分小さい。

俺の提案で、今夜はバーベキューパーティ。
買い出しじゃんけんに、ハルヤが負けたから。俺も付いて来てやった。

ハルヤの奴、こんなひょろい身体して、休みの日には、
アクティビティだって言って街の早食い大会とか出てる。
そんでフツーに優勝する。
ホットドック23個とか、コイツのドコに入るんだろ。
でも翌日、保健室で会ったりするから、訳わかんね。

「ハルヤってさ、普段の夕食って足りてないんじゃねーの?」
「まあ」
「腹減ったらどーしてるわけ?」
「どうしてもお腹空いたら何か食べるけど。面倒な時はそのままだし」
「お前、昔からそんな食べてたのか?」
「ううん。この学院に来てからかな」

他愛も無い会話を繰り返しながら、学院の方へと歩いていく。
公園を通り掛かった時、ハルヤが足を止めた。
園内を見ている。中央に噴水がある。
他には、滑り台、シーソーなどのカラフルな遊具がある普通の公園だ。

「ハルヤ?」
「あ、ごめん…止まったりして」

ブランコに一人で座っている男の子が居た。
5歳前後だろうか。今にも泣き出しそうな顔で、鎖を握り締めている。

「ほら、帰るぞ、ハルヤ」
「あ、待って」

ブランコの鎖が鳴って、男の子が飛び降りた。
「ママ!」と叫んで、駆け出す。
その先には、一人の女性。
男の子は、彼女の足に飛び付いた。

母親は愛おしげに、我が子の髪を撫でる。
二人は、さも当たり前かのように手を繋いだ。
親子は公園を出て、俺達の傍を通り過ぎた。

「ママー、今日のごはんなにー?」

先程の泣きそうな表情が幻だったかのように、弾むような声だった。
母親の返事は聞こえなかった。
数秒後、男の子の喜ぶ声が耳に届いた。

夕焼けの下で、親子の長い影が出来る。
影の手も、しっかりと結ばれていた。

ハルヤの目は親子を追っていた。

「ハルヤ…おい、ハルヤ!」
「あっ、ごめん、なに?」
「俺、解った。お前が食い過ぎてる理由」
「マジで? そんな理由とかあんの?」
「ああ。俺が治してやるから、言うこと聞けよ?」
「え。あ、うん」

俺が手を差し出すと、ハルヤは首を傾げた。

「…レッド?」
「ほら早く握れよ」
「なっ、なんでそんな…」
「言うこと聞くって言っただろ」
「でも、レッドと手を繋いだら、俺、少食になんの?」
「なるっ!」
「あの、意味わかんないんだけど…」
「イイから、手ぇ貸せって」
「あっ」

二人の足許で、影が繋がる。

「どうだ? 今、腹減ってないだろ?」
「わ、わかんないよ、お腹のことなんかっ」
「ほら、なっ?」
「もう解ったから、離してよ」
「照れんなって。イイじゃん、たまにはさ」
「よくないよ…」

繋いだ手をブランコのように振る。
宙を漕ぐ度に、子供になったみたいな気分になる。
ハルヤの顔は夕陽より真っ赤だ。

「あー。なんか俺が腹減って来たなー。なあ、ハルヤ」
「なんだよ」
「お前、食ってもイイ?」


fin
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