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■シルヴァン×ハルヤ
■作成協力&リクエスト:シハルお姉さん
---------------------------------------
ハルヤは自室で、漫画の月刊誌を読んでいた。
ベッドにうつ伏せに寝そべりながら、ページを捲っている。
雑誌はライブラリーから借りて来たものだ。
いつもはシルヴァンと一緒に読んでいるのだが、
ここ一週間くらい、何故かシルヴァンと会えなかった。
何かしてるみたいだった。
いそいそと寮から出て行くのを何度か見たけど。
何処に行ってるのかが解らない。聞いても、教えてくれないし。
ページを繰る手が止まる。なんだか漫画の内容が頭に入って来ない。
好きなキャラの台詞も、無味乾燥な文字の羅列にしか見えない。
「…今月号、あんま面白くないな」
顔を腕の中に埋める。
眼鏡のフレームが顔に当たって痛い。
眼鏡って面倒だな。
漫画読むのも面倒。
なんか全部、めんどくさっ。
バンッとノックもなしにドアが開いた。
シルヴァンが満面の笑みで現れた。
「ハルヤハルヤ! 見て下さいっ! 可愛いでしょー!」
手にぶら下がっていたのは、陶器で出来たうさぎ怪獣だった。
クロックマンというシルヴァンの好きなアニメのキャラクタで、
彼はグッズをやたらにコレクションしている。
今回のうさぎ怪獣は和のテイストなのか、
ねじりハチマキに、はっぴスタイルだった。
シルヴァンが紐を少し振ると、夏の音がなった。
「それ、風鈴なの?」
「そーなんですよー! ニッポンの夏のフーブツシ、なんですよね!」
「まあ、そうだね」
「これ、鈴の部分が、うさぎ怪獣の額のナット型なんです!」
「ふうん。凝ってんだね」
「僕、ネットオークションで競り落としたんです!
なかなか手強い相手がいたんですよー」
「オークションで競った人、居たの?」
「ええ。クロックマンの風鈴を欲しがるのは、
自分だけだと思っていたら妙な強敵が居て」
通信室のインターネットルームでは、
オークションに負けた人物が、ぼそりと呟いていた。
「変なヤツだな、こいつ」
シルヴァンは、うさぎ怪獣を愛おしげに撫でる。
「落札まで心配で心配で! 一週間、通信室に通っちゃいました!」
ハルヤは苦笑する。
ここ一週間シルヴァンに会えなかったのは、うさぎ怪獣が原因のようだ。
「落札できて良かったね、シルヴァン」
「はいっ!」
シルヴァンがもう一度、風鈴を鳴らす。
「ニッポンの夏は各家庭からこの音が鳴り響くんですよねー。フウリュウですねー」
「…いや、そんな鳴らないよ」
「え? 皆さん、持ってるものじゃないんですか?」
「持ってる家の方が少ないと思うよ」
「えー!? 夏のニッポンは、そこら中から風鈴の音がするのかと思ってました!」
「…それは、風流とか通り越して、騒音公害になっちゃうね」
「では、ハルヤのおうちにはありましたか?」
「うん。じいさまの家にはね。梅の絵が描いてあるの」
「あっ! 梅香流だからですか?」
「うん。うちの舞台、見に来てくれた風鈴職人が居てね?
梅の舞を見てつい作ってしまった、
綺麗なものを見せて頂いたお礼にどうぞ、って。
じいさまにくれたんだって。じいさま、大事にしてたんだ。
毎年夏になるとね、縁側に飾ってた」
可愛い音だった。
風鈴の下で、兄様とすいか食べたり、お昼寝したりしてた。
時々、縁側から落ちてたこともあったっけ。
「…ハルヤは、風鈴、好きなんですね」
「あ、うん。まあ」
何故か、長い沈黙が降りた。
シルヴァンが苦悩の表情を浮かべている。
よく解らないけど、何かをとても迷っているようだった。
一人でとんでもなく困っている人を、眺めていると、
唐突にうさぎ怪獣が差し出された。
「ハルヤに、僕のうさぎ怪獣あげますっ!」
ねじりハチマキに、はっぴを来た、うさぎ怪獣。
お祭うさぎは張り裂けた口で、ハルヤに笑い掛けている。
「えっと、貰えないよ。シルヴァンが一週間掛かって落札したんでしょ?」
「良いんですっ! ハルヤが喜んでくれるのならっ、ぼ、僕っ!」
「…そんな、ムリしないで良いから…あの、手、震えてるし…」
ちりんちりんと、うさぎ怪獣は涼しげな音を奏でていた。
ハルヤは、うさぎ怪獣をシルヴァンの胸に押し戻す。
「これは、シルヴァンので良いんだよ?」
「でも…ハルヤ」
「俺、うさぎ怪獣、そんな好きじゃないし」
「…そ、そうですか」
「ね。それよりさ。シルヴァン」
「はい?」
「これ、一緒に読も?」
ハルヤは漫画雑誌を見せる。
「ああっ! 今月号、出ていたんですね! 読みたいですっ!」
シルヴァンはうさぎ怪獣をテーブルに置いて、ハルヤの隣に飛び込む。
一人用のベッドがギィと揺れた。
「ちょっとシルヴァン…そんな、くっつかなくても読めるじゃん…」
「まあまあ。お気になさらず。ページ、捲って下さいよ♪」
「でもさ。あ、暑いでしょ?」
「僕は、もっと暑くなっても良いんですけど♪」
fin
■作成協力&リクエスト:シハルお姉さん
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ハルヤは自室で、漫画の月刊誌を読んでいた。
ベッドにうつ伏せに寝そべりながら、ページを捲っている。
雑誌はライブラリーから借りて来たものだ。
いつもはシルヴァンと一緒に読んでいるのだが、
ここ一週間くらい、何故かシルヴァンと会えなかった。
何かしてるみたいだった。
いそいそと寮から出て行くのを何度か見たけど。
何処に行ってるのかが解らない。聞いても、教えてくれないし。
ページを繰る手が止まる。なんだか漫画の内容が頭に入って来ない。
好きなキャラの台詞も、無味乾燥な文字の羅列にしか見えない。
「…今月号、あんま面白くないな」
顔を腕の中に埋める。
眼鏡のフレームが顔に当たって痛い。
眼鏡って面倒だな。
漫画読むのも面倒。
なんか全部、めんどくさっ。
バンッとノックもなしにドアが開いた。
シルヴァンが満面の笑みで現れた。
「ハルヤハルヤ! 見て下さいっ! 可愛いでしょー!」
手にぶら下がっていたのは、陶器で出来たうさぎ怪獣だった。
クロックマンというシルヴァンの好きなアニメのキャラクタで、
彼はグッズをやたらにコレクションしている。
今回のうさぎ怪獣は和のテイストなのか、
ねじりハチマキに、はっぴスタイルだった。
シルヴァンが紐を少し振ると、夏の音がなった。
「それ、風鈴なの?」
「そーなんですよー! ニッポンの夏のフーブツシ、なんですよね!」
「まあ、そうだね」
「これ、鈴の部分が、うさぎ怪獣の額のナット型なんです!」
「ふうん。凝ってんだね」
「僕、ネットオークションで競り落としたんです!
なかなか手強い相手がいたんですよー」
「オークションで競った人、居たの?」
「ええ。クロックマンの風鈴を欲しがるのは、
自分だけだと思っていたら妙な強敵が居て」
通信室のインターネットルームでは、
オークションに負けた人物が、ぼそりと呟いていた。
「変なヤツだな、こいつ」
シルヴァンは、うさぎ怪獣を愛おしげに撫でる。
「落札まで心配で心配で! 一週間、通信室に通っちゃいました!」
ハルヤは苦笑する。
ここ一週間シルヴァンに会えなかったのは、うさぎ怪獣が原因のようだ。
「落札できて良かったね、シルヴァン」
「はいっ!」
シルヴァンがもう一度、風鈴を鳴らす。
「ニッポンの夏は各家庭からこの音が鳴り響くんですよねー。フウリュウですねー」
「…いや、そんな鳴らないよ」
「え? 皆さん、持ってるものじゃないんですか?」
「持ってる家の方が少ないと思うよ」
「えー!? 夏のニッポンは、そこら中から風鈴の音がするのかと思ってました!」
「…それは、風流とか通り越して、騒音公害になっちゃうね」
「では、ハルヤのおうちにはありましたか?」
「うん。じいさまの家にはね。梅の絵が描いてあるの」
「あっ! 梅香流だからですか?」
「うん。うちの舞台、見に来てくれた風鈴職人が居てね?
梅の舞を見てつい作ってしまった、
綺麗なものを見せて頂いたお礼にどうぞ、って。
じいさまにくれたんだって。じいさま、大事にしてたんだ。
毎年夏になるとね、縁側に飾ってた」
可愛い音だった。
風鈴の下で、兄様とすいか食べたり、お昼寝したりしてた。
時々、縁側から落ちてたこともあったっけ。
「…ハルヤは、風鈴、好きなんですね」
「あ、うん。まあ」
何故か、長い沈黙が降りた。
シルヴァンが苦悩の表情を浮かべている。
よく解らないけど、何かをとても迷っているようだった。
一人でとんでもなく困っている人を、眺めていると、
唐突にうさぎ怪獣が差し出された。
「ハルヤに、僕のうさぎ怪獣あげますっ!」
ねじりハチマキに、はっぴを来た、うさぎ怪獣。
お祭うさぎは張り裂けた口で、ハルヤに笑い掛けている。
「えっと、貰えないよ。シルヴァンが一週間掛かって落札したんでしょ?」
「良いんですっ! ハルヤが喜んでくれるのならっ、ぼ、僕っ!」
「…そんな、ムリしないで良いから…あの、手、震えてるし…」
ちりんちりんと、うさぎ怪獣は涼しげな音を奏でていた。
ハルヤは、うさぎ怪獣をシルヴァンの胸に押し戻す。
「これは、シルヴァンので良いんだよ?」
「でも…ハルヤ」
「俺、うさぎ怪獣、そんな好きじゃないし」
「…そ、そうですか」
「ね。それよりさ。シルヴァン」
「はい?」
「これ、一緒に読も?」
ハルヤは漫画雑誌を見せる。
「ああっ! 今月号、出ていたんですね! 読みたいですっ!」
シルヴァンはうさぎ怪獣をテーブルに置いて、ハルヤの隣に飛び込む。
一人用のベッドがギィと揺れた。
「ちょっとシルヴァン…そんな、くっつかなくても読めるじゃん…」
「まあまあ。お気になさらず。ページ、捲って下さいよ♪」
「でもさ。あ、暑いでしょ?」
「僕は、もっと暑くなっても良いんですけど♪」
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