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■レッドの場合
■小説、ゲームベース
---------------------
聖アルフォンソ学院 ヴィスコンティ・スタジオ。
レッドの祖父で映画監督の巨匠ヴィットーリオ・ヴィスコンティが、
在学中に映画の勉強をした場所。映画に必要なものは何でも揃っている。
レッドは一人で編集ブースに居た。
ミキサー卓やテレビモニター、PCなどの機材に囲まれた部屋だ。
此処で番組の編集作業をしていた。
レッドは大きなモニターを見つめている。
画面に映っているのは、この前あったテオの卒業パーティ。
この様子をアルフォンソ島限定で生放送した。
評判は最高に良かった。
特に島民の皆から「放送してくれてありがとう」と言われた。
何よりテオにも喜んで貰えて、俺も嬉しかった。
番組を編集したものをDVDに焼いて、テオに送ってやろうと思った。
人気者の最後の勇姿だから、他にも欲しがる奴は居るだろうし。
テレビモニターには、テオの姿。
皆に向けたスピーチの後、俺がテオを小突いている。
テオの言葉がちょっとカッコ良過ぎて、
ぼうっとしてしまった俺が照れ臭かったからだ。
続いて、俺達デッド・プリンスのライブの様子が流れた。
テオに聞かせる最後の歌だから、俺は全力で歌った。
カメラの中に居る自分。
ドラマや映画の撮影をしている時も、
よくこうしてモニターチェックをしていた。
役者を休業して、こんな孤島に来ても、俺はこんなことをしてる。
ローカル放送番組を企画制作し、ライブハウスでは熱唱する。
自分が楽しみ、人を楽しませるエンターテイメントな世界。
世界中に注目されるハリウッドでも、
世界から隔絶する聖アルフォンソ島でも。
俺のやっていることは変わらない。
初出演、初主役の子役時代からずっと。
子役の枠から抜け出せなくて、行き詰ってた時もバンドをやっていた。
その時に知り合った兄貴の友人が相談に乗ってくれた。
ブライアン・シュミット。
――やってみろよ、レッド。俺が保証する。
お前ならサイコーの海賊になれるって――
あいつが居たから、俺は『キャプテン・ライアン』の海賊役もできたんだ。
一緒に映画を撮る約束もしていた。
なのに、ブライアンは。
人はこんなにあっけなく死ぬのか。
あんな感情を味わったのは生まれて初めてだった。
初めての撮影現場に母親が連れ添ってくれなかった時も、
役の台詞が上手く言えなくて父親に泣かされた時も、
必ずクリアする、俺は次に進めると言い聞かせてきた。
だけど。俺がどんなに足掻いても。
お前に会うことは、もう二度と出来ない。
それまではどんな逆境に遭っても、俺に出来ることはあったのに。
俺はお前の為に何も出来なかった。
どんなことをしても、どうにもならないことが、あった。
喪失感、無力感というものを俺は初めて知った。
それから暫く何もできない日が続いた。
好きなサーフィンにも行けないし、歌うこともできない。
俺の心まで死んじまったみたいだった。
俺をドン底から引き揚げたのは、映画『アルフォンソ王』だった。
あいつの代わりに、俺が何か作らなくちゃいけない。
そして思い出したのが、
ブライアンと一緒に見たこの作品だった。
じーさんが撮った幻の作品。フィルムは焼失し、15分しか残っていない。
俺がアルフォンソ王をやる。
そう、じーさんに打ち明けたら、聖アルフォンソ学院で学んで来いと言われた。
だから今、俺は此処に居る。
面白い奴等ばっかりで学院生活は楽しい。
だけど、お前を失ったことには変わりない。
番組の編集作業をしてた筈なのに。
またブライアンのことを考えてる。
天才だ逸材だと賞賛されて、俺はスゴイ人間なのだと驕っていた時もあった。
だけど、こんなにも弱い自分が居た。
何年経っても、お前を失ったことは悔しくて、つらい。
どうして俺を置いていった。
お前が監督、俺が主演。
最高の作品にするんじゃなかったのかよ。
映画スタジオには、お前と一緒に居る筈だった。
台本とカメラとにらめっこしながら、
監督と主演として、大喧嘩することもできない。
「ばかやろう…」
情けない。
声が震えてやがる。
広過ぎるテーブルに、一滴の水が落ちた。
fin
■小説、ゲームベース
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聖アルフォンソ学院 ヴィスコンティ・スタジオ。
レッドの祖父で映画監督の巨匠ヴィットーリオ・ヴィスコンティが、
在学中に映画の勉強をした場所。映画に必要なものは何でも揃っている。
レッドは一人で編集ブースに居た。
ミキサー卓やテレビモニター、PCなどの機材に囲まれた部屋だ。
此処で番組の編集作業をしていた。
レッドは大きなモニターを見つめている。
画面に映っているのは、この前あったテオの卒業パーティ。
この様子をアルフォンソ島限定で生放送した。
評判は最高に良かった。
特に島民の皆から「放送してくれてありがとう」と言われた。
何よりテオにも喜んで貰えて、俺も嬉しかった。
番組を編集したものをDVDに焼いて、テオに送ってやろうと思った。
人気者の最後の勇姿だから、他にも欲しがる奴は居るだろうし。
テレビモニターには、テオの姿。
皆に向けたスピーチの後、俺がテオを小突いている。
テオの言葉がちょっとカッコ良過ぎて、
ぼうっとしてしまった俺が照れ臭かったからだ。
続いて、俺達デッド・プリンスのライブの様子が流れた。
テオに聞かせる最後の歌だから、俺は全力で歌った。
カメラの中に居る自分。
ドラマや映画の撮影をしている時も、
よくこうしてモニターチェックをしていた。
役者を休業して、こんな孤島に来ても、俺はこんなことをしてる。
ローカル放送番組を企画制作し、ライブハウスでは熱唱する。
自分が楽しみ、人を楽しませるエンターテイメントな世界。
世界中に注目されるハリウッドでも、
世界から隔絶する聖アルフォンソ島でも。
俺のやっていることは変わらない。
初出演、初主役の子役時代からずっと。
子役の枠から抜け出せなくて、行き詰ってた時もバンドをやっていた。
その時に知り合った兄貴の友人が相談に乗ってくれた。
ブライアン・シュミット。
――やってみろよ、レッド。俺が保証する。
お前ならサイコーの海賊になれるって――
あいつが居たから、俺は『キャプテン・ライアン』の海賊役もできたんだ。
一緒に映画を撮る約束もしていた。
なのに、ブライアンは。
人はこんなにあっけなく死ぬのか。
あんな感情を味わったのは生まれて初めてだった。
初めての撮影現場に母親が連れ添ってくれなかった時も、
役の台詞が上手く言えなくて父親に泣かされた時も、
必ずクリアする、俺は次に進めると言い聞かせてきた。
だけど。俺がどんなに足掻いても。
お前に会うことは、もう二度と出来ない。
それまではどんな逆境に遭っても、俺に出来ることはあったのに。
俺はお前の為に何も出来なかった。
どんなことをしても、どうにもならないことが、あった。
喪失感、無力感というものを俺は初めて知った。
それから暫く何もできない日が続いた。
好きなサーフィンにも行けないし、歌うこともできない。
俺の心まで死んじまったみたいだった。
俺をドン底から引き揚げたのは、映画『アルフォンソ王』だった。
あいつの代わりに、俺が何か作らなくちゃいけない。
そして思い出したのが、
ブライアンと一緒に見たこの作品だった。
じーさんが撮った幻の作品。フィルムは焼失し、15分しか残っていない。
俺がアルフォンソ王をやる。
そう、じーさんに打ち明けたら、聖アルフォンソ学院で学んで来いと言われた。
だから今、俺は此処に居る。
面白い奴等ばっかりで学院生活は楽しい。
だけど、お前を失ったことには変わりない。
番組の編集作業をしてた筈なのに。
またブライアンのことを考えてる。
天才だ逸材だと賞賛されて、俺はスゴイ人間なのだと驕っていた時もあった。
だけど、こんなにも弱い自分が居た。
何年経っても、お前を失ったことは悔しくて、つらい。
どうして俺を置いていった。
お前が監督、俺が主演。
最高の作品にするんじゃなかったのかよ。
映画スタジオには、お前と一緒に居る筈だった。
台本とカメラとにらめっこしながら、
監督と主演として、大喧嘩することもできない。
「ばかやろう…」
情けない。
声が震えてやがる。
広過ぎるテーブルに、一滴の水が落ちた。
fin
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