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WARNING!
■エンジュシナリオ2-1、19-2ベース
「生徒の呼び出しをする」
空が夕陽色に染まった放課後。
聖アルフォンソ学院に、風変わりな校内放送が流れた。
声の主は今年度の生徒代表、クラウス・フォン・モールだった。
「ウーティス寮のジョシュアとアンリ。
アルファルド寮のジャワハルワールとレオシュ。
話がある。すまないが生徒代表室に来て貰いたい。繰り返す。
ジョシュア、アンリ、ジャワハルワール、レオシュ。
以上の4名は生徒代表室へ。以上だ」
校内放送が終わる。
学院全体にぽかんとした沈黙が降りた。
ウーティス寮サロン。
呼ばれた生徒の一人が放送スピーカーに毒付いていた。
「何、その面子」
アンリの隣でジョシュアが同じ場所を見上げていた。
「今の…クラウスの声だよね。生徒代表が話って一体何だろう?」
アンリは机上に並べていたタロットカードを1枚手にする。
絵柄を見て、ふうと息を吐く。旅人と犬の絵。
番号は振られていない。0番のカードだ。
「Le Mat(愚か者) 成程、ね」
「アンリ? どうしたんだい?」
「確かに、あの生真面目な人が突然こんな放送を掛ける筈がないよね。
影で糸を引いている…愚か者が居るんだ」
ジョシュアは席を立つ。
「兎に角、呼ばれているから早く行こう、アンリ」
「嫌。僕は行かない。君だけで行って来て」
「そういうわけにはいかないよ、生徒代表の呼び出しだ。
何か重大な話かもしれないだろう?」
冷たい溜め息と共に、アンリは仕方なく立ち上がる。
「下らない話だと思うけど」
アルファルド寮。ジャワハルワールの部屋。
放送を聞いたオウムは真っ白な翼をはばたかせる。
「ジャワハルワール! レオシュ! ナンデ!?」
ジャワハルワールは無言のまま、首を傾けた。
オウムは肩に飛び乗る。
「セイトダイヒョウシツ!」
オウムを肩に乗せたまま、部屋を出た。
廊下を歩いていると、他のドアから一人の生徒が出て来た。
美しいストレートの長髪。
華奢ですらりと高い背に、切れ長の不機嫌な瞳。
オウムは片翼を上げる。
「レオシュ! ジョウオウはキョウもゴキゲンナナメ!」
鋭い瞳でオウム睨む。
「煩い、鳥」
吐息交じりで吐き捨てた。ハスキーなアルト。
長い髪を気だるげに掻き上げた。オウムの飼い主に尋ねる。
「おい、ジャワハルワール。私達が呼ばれる理由が解るか?」
ジャワハルワールは首を傾ける。
オウムは白い尾を左右に振っている。
「セイトダイヒョウシツ! オレンジ デルカナ?」
生徒代表室。
部屋の主は溜め息を吐いた。
「ったく。もう二度と御免だからな?」
「うん。ありがとう、クラウス」
満面の笑みを浮かべているのはシュヌーシア寮のテオだった。
10分後、生徒代表室に異色のメンバーが揃った。
第一学生寮ウーティスからはジョシュア、アンリ。
第二学生寮アルファルドからはジャワハルワール、レオシュ。
そして放送では名前が出ていなかったが、
第三学生寮シュヌーシアからはテオとクラウス。
計6人が長方形のテーブルを囲んでいる。
同じ寮の生徒同士はそれなりに親しい間柄ではあるが、
違う寮の生徒となると、ろくに会話もしたことがないようなメンバーだ。
更に言えば、クラウスにとってアンリは天敵と言えるし、
またアンリにとってはテオが天敵だ。
アルファルド寮の二人に至っては交流自体が殆どない。
アンリはテオの顔を見て、ぽつりと呟いた。
「Le Mat(愚か者)」
「どうしたの、アンリ?」
「いいや。やっぱり貴方かと思ってね。
で、この6人で何をしようと言うわけ?」
テオは机上に肘を付いて、両手を組む。
「実はね、とても楽しいイベントを思い付いたのだよ。
それで、ぜひ美しい君達に協力して貰おうと思ってね?」
「…美しい?」
「題して!『第1回 アルフォンソ・プリンセス決定戦!』」
ガタガタと椅子の音がする。アンリとレオシュが席を立った。
「Adieu(さようなら)」
「私も失礼する」
「待っておくれ! 優勝候補の君達に帰られては困るよ!」
ジョシュアは先輩の顔を立てて友人を取り成す。
「アンリ、テオの話、最後まで聞こう?」
「レオシュ、アルファルドのジョウオウ! キレイ! ビジン!」
テオは面白そうに笑って、
「おや。オウム君はよく解っているね?」
「ワカッテイルネ!」
楽しそうなのはテオとオウムだけで、生徒代表室の気温は下がっているようだった。
ジョシュアに諭されたアンリが嫌々ながらも席に戻る。
レオシュもオウムを睨みながらその隣に戻った。
機嫌の悪い毒舌家が冷たい笑みを浮かべる。
「話だけ聞いてあげるから、早く言って貰える?」
「ありがとう。アンリ。つまりね、寮から一名ずつ姫候補を選出して、
アルフォンソのプリンセスを目指して争って貰うのだよ。
ああ、ドレスはリクエストがあれば好きなものを用意するからね。
どうだい。面白そうだろう? 私は天才かと思ってしまったよ」
「テンサイ! テンサイ!」
「いやあ、ありがとう、オウム君。君とは気が合いそうだね」
「アイソウダネ!」
毒舌家はメンバーを見渡す。
「一名ずつ? ではジョシュアとジャワハルワールは何故呼ばれたの?」
「ああ、ジョシュアはこの場に居て貰った方が、
会議が前に進み易いかなと思ったんだ。
ジャワハルワールは、君の友人達に協力をお願いできないかと思ってね。
プリンセスの優勝パレードや記念撮影に動物達に参加して欲しいのだよ。
プリンセスが、より愛らしく映るだろうからね。どうだろう? 良い?」
「イイ!」
オウムが返事する。ジャワハルワールは無言だった。
アンリは頬杖を突く。
「ちなみに。シュヌーシアからは誰が出るつもりなの?」
「もちろん、クラウスだよ」
「何っ!? お前じゃないのか、テオ!?」
「私よりクラウスの方が美しいに決まっているじゃないか」
「だっ、誰が、プリンセスなんかに!」
「もしクラウスが優勝したら、貴方が欲しがっていた、
ジムの最新マシンを取り寄せる予定だよ?」
「なっ…」
ウーティスの姫候補が微笑む。優雅に足を組み変えた。
「へえ。ご褒美があるの? テオは企画者兼スポンサーというわけ?」
「もちろんだよ、アンリ。私のワガママだからね。
君も優勝した暁には何でも言っておくれ?」
「ふうん。そう言えば、貴方は海運王メネシスの子息だったね。
メネシスのポケットマネーには少し興味あるよ、僕」
アンリの琥珀の瞳がきらりと輝いた。
隣に居るジョシュアが驚いている。
「アンリ? もしかして乗り気になったのかい?」
「それはテオ次第だね」
「さて。レオシュ、君も優勝商品を考えておいておくれ」
「私は別に欲しい物などない」
オウムが元気いっぱい翼を挙げる。
「ホシイモノ! オレンジ! オレンジ!」
「ほう。オウム君はオレンジが好きなのかい?
良いよ。ではレオシュが勝ったら、
アルファルドの庭にオレンジの木をたくさん植えようか」
「オレンジ!」
「私は出場しないぞ」
オウムはジャワハルワールの肩からレオシュの前に飛んで行く。
黒い小さな瞳がレオシュを見上げている。
「レオシュ、オレンジ」
「私はオレンジなど欲しくはない」
オウムはもう一歩近付く。
「レオシュ、オレンジ!」
「だから、私はオレンジなど…」
ウルウルした黒目がレオシュを見つめている。
「…クッ…仕方、あるまい」
オウムが両翼を広げた。
「ジョウオウ! チョーキレイ! チョービジン!」
喜んでいるオウムを見て、レオシュはもう反論するのを止めたようだった。
テオは太陽の笑顔を輝かせる。
「皆、参加してくれるのだね。ありがとう。 来週、また此処で打ち合わせしよう。 ではね、美しい姫君達」
fin
■エンジュシナリオ2-1、19-2ベース
「生徒の呼び出しをする」
空が夕陽色に染まった放課後。
聖アルフォンソ学院に、風変わりな校内放送が流れた。
声の主は今年度の生徒代表、クラウス・フォン・モールだった。
「ウーティス寮のジョシュアとアンリ。
アルファルド寮のジャワハルワールとレオシュ。
話がある。すまないが生徒代表室に来て貰いたい。繰り返す。
ジョシュア、アンリ、ジャワハルワール、レオシュ。
以上の4名は生徒代表室へ。以上だ」
校内放送が終わる。
学院全体にぽかんとした沈黙が降りた。
ウーティス寮サロン。
呼ばれた生徒の一人が放送スピーカーに毒付いていた。
「何、その面子」
アンリの隣でジョシュアが同じ場所を見上げていた。
「今の…クラウスの声だよね。生徒代表が話って一体何だろう?」
アンリは机上に並べていたタロットカードを1枚手にする。
絵柄を見て、ふうと息を吐く。旅人と犬の絵。
番号は振られていない。0番のカードだ。
「Le Mat(愚か者) 成程、ね」
「アンリ? どうしたんだい?」
「確かに、あの生真面目な人が突然こんな放送を掛ける筈がないよね。
影で糸を引いている…愚か者が居るんだ」
ジョシュアは席を立つ。
「兎に角、呼ばれているから早く行こう、アンリ」
「嫌。僕は行かない。君だけで行って来て」
「そういうわけにはいかないよ、生徒代表の呼び出しだ。
何か重大な話かもしれないだろう?」
冷たい溜め息と共に、アンリは仕方なく立ち上がる。
「下らない話だと思うけど」
アルファルド寮。ジャワハルワールの部屋。
放送を聞いたオウムは真っ白な翼をはばたかせる。
「ジャワハルワール! レオシュ! ナンデ!?」
ジャワハルワールは無言のまま、首を傾けた。
オウムは肩に飛び乗る。
「セイトダイヒョウシツ!」
オウムを肩に乗せたまま、部屋を出た。
廊下を歩いていると、他のドアから一人の生徒が出て来た。
美しいストレートの長髪。
華奢ですらりと高い背に、切れ長の不機嫌な瞳。
オウムは片翼を上げる。
「レオシュ! ジョウオウはキョウもゴキゲンナナメ!」
鋭い瞳でオウム睨む。
「煩い、鳥」
吐息交じりで吐き捨てた。ハスキーなアルト。
長い髪を気だるげに掻き上げた。オウムの飼い主に尋ねる。
「おい、ジャワハルワール。私達が呼ばれる理由が解るか?」
ジャワハルワールは首を傾ける。
オウムは白い尾を左右に振っている。
「セイトダイヒョウシツ! オレンジ デルカナ?」
生徒代表室。
部屋の主は溜め息を吐いた。
「ったく。もう二度と御免だからな?」
「うん。ありがとう、クラウス」
満面の笑みを浮かべているのはシュヌーシア寮のテオだった。
10分後、生徒代表室に異色のメンバーが揃った。
第一学生寮ウーティスからはジョシュア、アンリ。
第二学生寮アルファルドからはジャワハルワール、レオシュ。
そして放送では名前が出ていなかったが、
第三学生寮シュヌーシアからはテオとクラウス。
計6人が長方形のテーブルを囲んでいる。
同じ寮の生徒同士はそれなりに親しい間柄ではあるが、
違う寮の生徒となると、ろくに会話もしたことがないようなメンバーだ。
更に言えば、クラウスにとってアンリは天敵と言えるし、
またアンリにとってはテオが天敵だ。
アルファルド寮の二人に至っては交流自体が殆どない。
アンリはテオの顔を見て、ぽつりと呟いた。
「Le Mat(愚か者)」
「どうしたの、アンリ?」
「いいや。やっぱり貴方かと思ってね。
で、この6人で何をしようと言うわけ?」
テオは机上に肘を付いて、両手を組む。
「実はね、とても楽しいイベントを思い付いたのだよ。
それで、ぜひ美しい君達に協力して貰おうと思ってね?」
「…美しい?」
「題して!『第1回 アルフォンソ・プリンセス決定戦!』」
ガタガタと椅子の音がする。アンリとレオシュが席を立った。
「Adieu(さようなら)」
「私も失礼する」
「待っておくれ! 優勝候補の君達に帰られては困るよ!」
ジョシュアは先輩の顔を立てて友人を取り成す。
「アンリ、テオの話、最後まで聞こう?」
「レオシュ、アルファルドのジョウオウ! キレイ! ビジン!」
テオは面白そうに笑って、
「おや。オウム君はよく解っているね?」
「ワカッテイルネ!」
楽しそうなのはテオとオウムだけで、生徒代表室の気温は下がっているようだった。
ジョシュアに諭されたアンリが嫌々ながらも席に戻る。
レオシュもオウムを睨みながらその隣に戻った。
機嫌の悪い毒舌家が冷たい笑みを浮かべる。
「話だけ聞いてあげるから、早く言って貰える?」
「ありがとう。アンリ。つまりね、寮から一名ずつ姫候補を選出して、
アルフォンソのプリンセスを目指して争って貰うのだよ。
ああ、ドレスはリクエストがあれば好きなものを用意するからね。
どうだい。面白そうだろう? 私は天才かと思ってしまったよ」
「テンサイ! テンサイ!」
「いやあ、ありがとう、オウム君。君とは気が合いそうだね」
「アイソウダネ!」
毒舌家はメンバーを見渡す。
「一名ずつ? ではジョシュアとジャワハルワールは何故呼ばれたの?」
「ああ、ジョシュアはこの場に居て貰った方が、
会議が前に進み易いかなと思ったんだ。
ジャワハルワールは、君の友人達に協力をお願いできないかと思ってね。
プリンセスの優勝パレードや記念撮影に動物達に参加して欲しいのだよ。
プリンセスが、より愛らしく映るだろうからね。どうだろう? 良い?」
「イイ!」
オウムが返事する。ジャワハルワールは無言だった。
アンリは頬杖を突く。
「ちなみに。シュヌーシアからは誰が出るつもりなの?」
「もちろん、クラウスだよ」
「何っ!? お前じゃないのか、テオ!?」
「私よりクラウスの方が美しいに決まっているじゃないか」
「だっ、誰が、プリンセスなんかに!」
「もしクラウスが優勝したら、貴方が欲しがっていた、
ジムの最新マシンを取り寄せる予定だよ?」
「なっ…」
ウーティスの姫候補が微笑む。優雅に足を組み変えた。
「へえ。ご褒美があるの? テオは企画者兼スポンサーというわけ?」
「もちろんだよ、アンリ。私のワガママだからね。
君も優勝した暁には何でも言っておくれ?」
「ふうん。そう言えば、貴方は海運王メネシスの子息だったね。
メネシスのポケットマネーには少し興味あるよ、僕」
アンリの琥珀の瞳がきらりと輝いた。
隣に居るジョシュアが驚いている。
「アンリ? もしかして乗り気になったのかい?」
「それはテオ次第だね」
「さて。レオシュ、君も優勝商品を考えておいておくれ」
「私は別に欲しい物などない」
オウムが元気いっぱい翼を挙げる。
「ホシイモノ! オレンジ! オレンジ!」
「ほう。オウム君はオレンジが好きなのかい?
良いよ。ではレオシュが勝ったら、
アルファルドの庭にオレンジの木をたくさん植えようか」
「オレンジ!」
「私は出場しないぞ」
オウムはジャワハルワールの肩からレオシュの前に飛んで行く。
黒い小さな瞳がレオシュを見上げている。
「レオシュ、オレンジ」
「私はオレンジなど欲しくはない」
オウムはもう一歩近付く。
「レオシュ、オレンジ!」
「だから、私はオレンジなど…」
ウルウルした黒目がレオシュを見つめている。
「…クッ…仕方、あるまい」
オウムが両翼を広げた。
「ジョウオウ! チョーキレイ! チョービジン!」
喜んでいるオウムを見て、レオシュはもう反論するのを止めたようだった。
テオは太陽の笑顔を輝かせる。
「皆、参加してくれるのだね。ありがとう。 来週、また此処で打ち合わせしよう。 ではね、美しい姫君達」
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