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Marginal Prince Short Story
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■ネタ帳です。
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■教授のプライド

二人が何処かに出掛ける話。冬だと解る街の描写。
神秘学に関連した展覧会や博物館のような場所。
行き。駅にケーキ屋があるのをアンリが見ている。
その時、オーギュストは何も言わない。

会場で他者にけなされるオーギュスト(か神秘学)
アンリはカチンときて、他者に文句を言おうとするが、
オーギュストが止める。

帰り道。ぷんぷんアンリ。
「オーギュスト、どうして言い返さなかったの?
君にはプライドというものがないの?」
「私には守りたいものはひとつしかないからね」
講師は教え子の頭をぽんと撫でた。
「さあ、帰ろう、アンリ」
オーギュストは手を差し出す。
「何、その手」
「冷たそうだから。繋いで帰ろうかと」
「子供扱いしないで」
「あ、そうだ。駅でケーキでも買っていこうか?」
最後はツンツンアンリ。

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■ディーノに電話

「お姫様から電話とはな。なんだ、そんなに俺の声が聞きたいか?」
「できれば聞きたくないよ。君にひとつビジネスをあげる。
僕が期待する結果が得られたら、成功報酬を用意するよ」
「なんだ、金の話かよ」
「君とはビジネス以外の話をするつもりはないよ」
「人使い荒いな。で、俺に何して欲しいんだ?」
「一人、調べて欲しいんだ…彼の全てを」
「ほう。どんな奴だ?」
「シルヴァン・クラーク。19歳。聖アルフォンソ学院 高等部3年」
「お前のダチか?」
「同じ寮に居るだけだよ。写真や資料はメールで送ってあげる。
だけど、虚偽情報も混ざってるかもしれないから、慎重に」
「なんだそりゃ?」
「僕が少し調べた限りでは、見付けられなかったんだよ。彼の過去が。
シルヴァン・クラークって人間が、本当にこの世に存在するのか、調べて」

fin
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■脅迫
ディーノ×オーギュスト

「へえ。インテリって、いけ好かねえ奴ばっかりかと思っていたんだが、
あんたは、なかなか面白い男だな。神秘学のセンセ?」
「それはどうも」
「あんたの授業なら一回くらい聞いてみたいもんだぜ」
「君が第二化学室に居たら、生徒達が落ち着いて授業ができないから、
今度また二人きりの時で良ければゆっくり教えるよ?」
「個人授業ってか?」
「ああ。そうだよ。私も君とお近付きになれて光栄なんだ。
ずっと君と話がしたかったから。会ってみて改めて解ったよ。
流石はマンゾーニ家の男だね。残虐かつ聡い」
「口説くなよ」
「アンリの方から君達に声を掛けたようだね?」
「ああ。かつて、うちと伯爵サマの間に交流があったから、ってな」

研究室がノックされた。講師が何か言う前にドアは開いた。
「オーギュ、紅茶を淹れ、て…」
「お前は学校のセンセまでこき使うのか。とんでもねえ、お姫様だな」
「ディーノ…何故、君が此処に」
「センセとオトナの話がしたくてな」
「オーギュスト、どうしてこんな男と一緒に居るの」
「お前の悪口を言ってただけだよ。な、センセ?」
「君には聞いていない。オーギュスト、説明して」
「心配してくれているのかね? 大丈夫、ただお茶を飲んでいただけだから」
「ディーノ。この部屋に二度と来ないで。彼は関係ない」
「俺は招かれて来ただけだぜ?」
「招いた? オーギュ、この男が誰だか解っているの?」
「ああ。君のお友達だから、一度話してみたかったんだ」
「どうかしている…ねえ、オーギュ。本当に、脅されていないの?」
「うん。彼と私の利害関係は一致している。それを確認しただけだ」
「利害関係?」
頭を手を置かれる。大きな、大人の手。
「君の命を守ること。それだけだ」
マフィアは薄汚い笑みを浮かべた。講師は席を立つ。
「ごめん、アンリ。これからマンゾーニと少し出掛けて来るよ」
「何処へ行くの」
「んなこと聞くなよ。オトナが二人で出掛けるって言ってんだからさ」
「オーギュ」
「すぐに戻るから。心配することはないよ、アンリ」

「なあ、センセ? ひとつ聞いてもいいか」
「なんだね?」
「あんた、あいつとどういう関係?」
「教師と生徒だよ、神秘学のね」
「それにしちゃ、構い過ぎだろ? サン・ジェルマン伯爵が、
神秘学の有名人だからってのは関係なさそうだし?」
「教師は教え子を可愛がってはいけないかね?」
「マフィアを舐めるな。俺達は壊れた人間模様を星の数ほど見てきた。
時にその修復を助け、時に、関係を抹消してきたんだからな」
「確かにね」
「人が特定の子供に対し、異常に目を掛けている時、その理由は2つしかねえ。
1つ、行き過ぎた好意を抱いている。2つ、血が繋がっている」
「成程」
「あんたはどっちだ? オーギュスト・ボージェ教授」
「どちらでもないよ」
「0点だぜ、センセ? あんたの場合は、両方さ。
そうだろう? 初代サン・ジェルマン伯爵?」
「面白いことを言うね、マンゾーニ」
「だろう? もうひとつ面白いことがあるぜ?
ボージェ教授はガキの頃、名前違った?
ガキだった頃のオーギュスト君が見付からねえんだよ」
「調べたのかね?」
「ああ。かなり広く調べたぜ」
「名前については諸事情があって言えないな。伯爵の方は物証がないね」
「確かに、伯爵かどうかは難しいな。
だが、父親かどうかの物証ならあるぜ、此処に。
あんたとアンリのDNAを見ればいいだけだからな。そして、これがアンリの髪だ」
「聡いね、マンゾーニ」
「まあな」
「センセ? アンリには言ってないんだろう? 俺が言ってやろうか? 
あいつが信じるかどうかは別にして、興味深い話だと思うぜ、あいつにとってもな」
「それで、私に何か要求するつもりかね?」
「そうだな。先ずはまたデートしてくれることを約束して貰おうか?」
「私と?」
「もちろん。俺はあんたを気に入った」
「私ではなく、財産を、だろう?」
「馬鹿だな。金には興味ないね。あんたと仲良くなりたいだけだよ」

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■代償

誰も僕を愛してくれない。
だって僕は悪魔の子だもの。
誰も僕には近付かない。僕が近付けばきっと傷付けてしまう。
僕は誰も愛してはいけないんだ。
それなのに。
君は僕に近付いた。僕を愛しいと言った。
君は父のように優秀で。父と同年代の男性だった。
こんなの間違っていると解っているのに。
君を拒むことなんて、できなかった。
君が僕に与えるものは、幼い頃から欲していたものだった。
興味のある学問、優しい手、アンリと呼ぶ声。
あの人は、僕の名前すら呼んではくれなかった。

「僕は、君のことを、父の代替物として、見ているのかもしれない」
「それでも構わないよ、私は」
「オーギュ…本気で言っているの?」
「君が生きている。それだけでも充分素晴らしいことだ。
更に今は君の傍に居られる。他に望みなんてないよ」
「僕、君に嫌われたら、もう、耐えられないかもしれない」
「嫌いになんてならないよ」
「だけど、君が本当の僕を知ったら、きっと嫌いになる」
「本当の? では、今私の前に居るアンリは偽物なのかい?
人間はね、アンリ。常に同じではないのだよ。
ロボットではないのだから、常に揺れ動くのが当たり前だ。
ウーティス寮に居る君も、フランスに居た君も、此処に居る君も。
皆、アンリだよ。本物、偽物という区別なんてできないんだ。
君は君のままでいいんだよ、アンリ」
「可笑しな人だね」
君みたいな大人は今まで一人も居なかった。

僕はどうかしている。
本当に愛されたかったのは、この人ではないのに。
この人は、父ではないのに。

「オーギュ、もっと…」

僕を愛して。


fin
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