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Marginal Prince Short Story
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■博士×生徒代表テオ
「ハイビスカスのような男ですよ、アルフレッドは!」

今年度の生徒代表は太陽の笑顔を輝かせる。
二週間前に入学したばかりの生徒について、
まるで長年の友人のように自慢しているのがテオ・メネシス。
黄金の髪に小麦色の肌。保健室に響き渡っているのは主にテオの声。
博士は短く相槌を打つに止め、テオの喋るままに任せていた。

「私達、今度の休日、無人島に遊びに行くんです。
彼はサーフィンが趣味だと言うのでね、穴場を教えると約束しました」

「ほう。アルフレッドはサーフィンが趣味なんだね」

博士はカルテに視線を落とす。趣味の欄には『サーフィン』とある。
昨日のカウンセリングで本人もそう言っていた。テオは興奮気味に語る。

「ハリウッドスターの上に、海の男だったとは…実に素晴らしい。
彼とはこれから大いに楽しい遊びができそうですよ」

燦々と煌めく瞳を、博士は眼鏡の奥から伺っていた。
テオは海運王の家に生まれ、船は相棒だと言う。
この島に自前の船を三艘も持ってきた。そう警備責任者にも聞いている。
テオが自分と同じ海好きな男に巡り会えて、喜ぶのも無理はない。

「それは良かったね、テオ。学院案内で他に楽しかったことはあるかい?」

「ありますとも! 彼は島限定の番組を作ろうかと企画中です。
我々のスキャンダルをネタにするのも面白いだろう、と言って。
彼のエンターテナーなセンスには脱帽ですよ」

「ほう。スキャンダル、ね」

「私は必ずや、ヴィスコンティスタジオを彼の求めるものに改築しますよ!」

「君が改築するのかい?」

「もちろんです。私は生徒代表ですし、お安い御用ですよ」

生徒代表の任務は、生徒達の平和と安全を守ること、
ではあるが、出資までは範疇ではない。
アルフレッドはハリウッドスターであり、資金がない筈もないが。
それでもテオの資産力には敵わないのだろう。
ひとつのスタジオの改築など他愛無いと言える。
テオは大きな音を立てて、両手を合わせた。

「ああ、博士?」

「なんだい?」

「博士にも出演を依頼することになるかもしれませんよ?」

「先程の、番組のことかい?」

「ええ。アルフレッドは博士のことを、しきりに褒めていました。
タイトルの候補には『ソクーロフ博士の裸のカウンセリングルーム』
が上がっていますよ。なんて刺激的な男なのだろう、アルフレッドは!
やはり彼は天才ですよ。ね、博士、そう思うでしょう?」


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