×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■ジョシュア×アンリ
■「休暇中の僕は、恐ろしく機嫌が悪いんだ」
----------------------------------
アルフォンソ学院の休暇中。
生徒達は島の外へ出掛けることが多い。
ウーティス寮の面々も大半が外出していた。
寮に残ったのは二人。
特別戻りたい場所がない、
ジョシュアとアンリだけだった。
午後。アンリは天文台に居た。
読書していたのだが、いい加減飽きて来た。
本を閉じる。
休暇中は気分が優れない。
講義が無いと暇を持て余す。
仕事の方も今は特にすることがない。
時間があると、余計なことを考える。
それも、答えの出ないものばかりだ。
普段忘れていることが、
勝手に頭を支配していく。
暗い海に、過去の残骸が浮かんでくる。
思い出したくない。
あの人の言葉。
僕の最期は、遠くない未来に訪れる。
悪魔の幸運は一体いつまで続くだろうか。
無意味な自問自答を繰り返して、
ますます気分が悪くなる。
遺跡に背を預け、空を仰ぐ。
天気は悪くない。
快晴だと言える。
空は青くて、雲は白い。
人間の目には、そう見えるだけだ。
その仕組みも解ってる。
だから、何だと言うの。
「アンリ」
嫌な声がする。
こんな時に聞きたくない。
僕が何を言うか解らない。
何も告げずに天文台に来たのに。
伸びやかな声は、迷わず此処に来たことを示していた。
振り向くことはしない。
意味が無いから。
君しか居ない。
「僕に、近付かない方が良いよ。
休暇中は、恐ろしく機嫌が悪いから」
「うん。解ってる」
顔を見なくても、
微笑を浮かべていると解る。
「とても賢いとは言えないね」
強い風が吹いて、大きな雲がその形を崩していく。
空に溶けるように、雲の切れ端が薄く消えて行った。
目を閉じる。
「用があるなら、早く言えば?」
「無いよ、何も」
「意味が解らない」
「理由が無くては、君の傍に居てはいけない?」
嫌になる。
何を言っても平気で近付いて。
勝手に隣の位置を取る。
僕は目を閉じたまま、言い放つ。
「では、黙っていて。
もう人と会話ができない程、気分が悪いんだ」
「うん」
苛々する。
何故、僕なんかの傍に、君が来なくてはならないの。
そもそも君が寮に残る必要はない。
他の誰かと一緒に旅行でもしてくれば良い。
君が一緒に来れば、誰もが喜ぶ筈だ。
なのに、君は。
必ず寮に残って。
僕の傍を離れない。
「いい天気だね、アンリ」
「だから黙ってと…」
振り向くと、嬉しそうな笑顔。
「やっと、こちらを向いてくれたね」
それだけのこと。
たった、それだけで。
「どうかしているね」
僕は本を手に取って、立ち上がる。
空いている手で、服に付いていた汚れを払った。
「アンリ?」
「寮に戻る。お茶の時間にして」
彼は苦笑しながら、腰を上げる。
「了解」
僕はポケットに手を入れて、歩き出す。
彼が僕の後ろを付いて来る。
「アンリ、今日の紅茶は何にしようか?」
「君に任せるよ」
「ケーキは何が良い?」
「天使の顎」
「ん。解ってる」
「じゃあ聞かないで」
fin
■「休暇中の僕は、恐ろしく機嫌が悪いんだ」
----------------------------------
アルフォンソ学院の休暇中。
生徒達は島の外へ出掛けることが多い。
ウーティス寮の面々も大半が外出していた。
寮に残ったのは二人。
特別戻りたい場所がない、
ジョシュアとアンリだけだった。
午後。アンリは天文台に居た。
読書していたのだが、いい加減飽きて来た。
本を閉じる。
休暇中は気分が優れない。
講義が無いと暇を持て余す。
仕事の方も今は特にすることがない。
時間があると、余計なことを考える。
それも、答えの出ないものばかりだ。
普段忘れていることが、
勝手に頭を支配していく。
暗い海に、過去の残骸が浮かんでくる。
思い出したくない。
あの人の言葉。
僕の最期は、遠くない未来に訪れる。
悪魔の幸運は一体いつまで続くだろうか。
無意味な自問自答を繰り返して、
ますます気分が悪くなる。
遺跡に背を預け、空を仰ぐ。
天気は悪くない。
快晴だと言える。
空は青くて、雲は白い。
人間の目には、そう見えるだけだ。
その仕組みも解ってる。
だから、何だと言うの。
「アンリ」
嫌な声がする。
こんな時に聞きたくない。
僕が何を言うか解らない。
何も告げずに天文台に来たのに。
伸びやかな声は、迷わず此処に来たことを示していた。
振り向くことはしない。
意味が無いから。
君しか居ない。
「僕に、近付かない方が良いよ。
休暇中は、恐ろしく機嫌が悪いから」
「うん。解ってる」
顔を見なくても、
微笑を浮かべていると解る。
「とても賢いとは言えないね」
強い風が吹いて、大きな雲がその形を崩していく。
空に溶けるように、雲の切れ端が薄く消えて行った。
目を閉じる。
「用があるなら、早く言えば?」
「無いよ、何も」
「意味が解らない」
「理由が無くては、君の傍に居てはいけない?」
嫌になる。
何を言っても平気で近付いて。
勝手に隣の位置を取る。
僕は目を閉じたまま、言い放つ。
「では、黙っていて。
もう人と会話ができない程、気分が悪いんだ」
「うん」
苛々する。
何故、僕なんかの傍に、君が来なくてはならないの。
そもそも君が寮に残る必要はない。
他の誰かと一緒に旅行でもしてくれば良い。
君が一緒に来れば、誰もが喜ぶ筈だ。
なのに、君は。
必ず寮に残って。
僕の傍を離れない。
「いい天気だね、アンリ」
「だから黙ってと…」
振り向くと、嬉しそうな笑顔。
「やっと、こちらを向いてくれたね」
それだけのこと。
たった、それだけで。
「どうかしているね」
僕は本を手に取って、立ち上がる。
空いている手で、服に付いていた汚れを払った。
「アンリ?」
「寮に戻る。お茶の時間にして」
彼は苦笑しながら、腰を上げる。
「了解」
僕はポケットに手を入れて、歩き出す。
彼が僕の後ろを付いて来る。
「アンリ、今日の紅茶は何にしようか?」
「君に任せるよ」
「ケーキは何が良い?」
「天使の顎」
「ん。解ってる」
「じゃあ聞かないで」
fin
PR