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Marginal Prince Short Story
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■ミハイル×アンリ ジョシュア×アンリ
■ネタバレ有。ミハイルシナリオのクリア者向け。
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シュヌーシア寮とウーティス寮の、
合同バーベキュー大会。

2つの寮の親睦を深める、というよりは、ミハイルを囲む会と言える。
彼が歌うようになったことをお祝いする会のようなものだ。
ミハイルは、シュヌーシア寮に居ても、
寮生と会話を交わすことが少なかった。
その為に今は、どちらの寮生にも囲まれている。
皆、ミハイルと話してみたかったのだろう。

アンリは、そんな騒がしい人集りから離れ、
一人で森の奥、泉まで足を運んでいた。
普段は滅多に来ない場所だから、偶には見ておくのも悪くない。
此処なら、彼等の喧しい声も、ほんの微かに聞こえるだけだ。

「あっ、いた。アンリ」

皆に囲まれている筈のミハイルが、泉にやって来た。
アンリの傍へ駆け寄る。

「おや、ミハイル。迷子?」

「え?」

「今日の主役が何故、此処に居るの?」

「あ、あのね、ジョシュアに聞いたらね、
アンリなら泉の方に行ったよ、って教えてくれたから…」

「わざわざ僕を探しに来たみたいに聞こえるけれど?」

「そう、そうなの。ぼく、アンリと、あの…お話したくて、いいかな?」

「どうぞ」

「あのね、ぼく、アクティヴィティでね、戦争ごっこ、したの」

「知っているよ。随分と派手にやったようだね?」

「うん。だから、ぼく、アンリにお礼が言いたくて」

「僕に?」

「うん。あの、アンリが言ってくれたから。
『コウトウムケイでもやりたいことをやればいい』って。
だから、ぼく、やってみた。コウトウムケイだけど、
もう一度やってみたかったんだ、昔みたいに」

「敵役に、お兄さんを呼んだそうだね?」

「うん。ワーニャが勝ったら、彼の言う通りにする、
ぼくが勝ったら、ぼくの好きなようにする、ってルールでね」

「血の繋がった人間との、戦争ごっこ、だね」

「うん。みんなは、そんなのおかしい、って言ってたけど」

「他人がどう言おうと関係ない。
僕は、君を応援していたよ? 君には勝って欲しかったからね」

「どうして?」

「君が、兄に『ミーシカ』と呼ばれていたからさ」

「え…」

「君は『ワーニャ』と愛称で呼んでいるのに。
何故、そんな奴に負けなくてはならないの」

「アンリ…」

「ミハイルの愛称は『ミーシャ』の筈だ。
卑称だよね? 『ミーシカ』は。
そんな召使いに使われるような呼び名で、君は良かったの?」

「…あんまり、気にしてなかった」

「僕には、そうとは思えないな。
だから、ずっと、勝ちたかったのではないの?」

「わからない…」

ミハイルの表情が沈む。
アンリは息を吐く。

「動機なんて、どうでもいいことだったね。
君が勝った、という結果の方が重要だ。
それに、やりたことをやれて、楽しかっただろう?」

「うん。ぼく、楽しかった。みんな、アンリのおかげ。
アンリがチェスをしてくれて、アンリがお話してくれて…
ぼく、それから、歌えるようになったんだ」

「そう思うのは、君の勝手だね」

「あ、あとね! ぼく『ごめんね』って言わないように、してるんだ。
アンリが『謝る必要があるの?』って、言ってくれたから…」

「確かに、今日はまだ聞いていないね」

「うん。『ごめんね』じゃなくて、『ありがとう』にしたんだ」

「よくできました」

「うれしい…。今、ぼく、すごくうれしい。…あ、あのね?」

「ん?」

「ぼく、アンリがすき。すきだよ、アンリ」

「僕も君は嫌いじゃない」

「じゃ、また、僕とチェスしてくれる?」

「喜んで。僕も君に勝ちたいからね」

「うん。ありがとう、アンリ」

遠くから、ミハイルを呼ぶ声が聞こえる。
あれは、ユウタの声だ。

「戻った方が良いんじゃない? 皆が主役を待っているよ」

「あ、うん。じゃあ、またね、アンリ」

ミハイルが皆の場所へ戻って行く。
金色の髪は、羽のようにキラキラと揺れている。

「…戦争ごっこが好きな妖精か。君のように勝てるかな、僕は」



アンリは、皆が居る場所へと戻る。
ジョシュアに声を掛けられる。

「あ。アンリ、ミハイルが君を探していたんだけど、会ったかい?」

「ああ。会ったよ。彼とデートの約束をした…可愛いね、あの子」

「え…」

「見た目は妖精、その内には悪魔的な能力を持っている。
こんな面白い子は、他に居ないよ」

「…ミハイルのことが、気に入ったみたいだね」

「とてもね。彼を気に入ってはいけなかった?」

「あ、いや、君が人のことに、そんなに興味を持つなんて珍しいから…」

「興味を持つに決まっているよ。彼はチェスが強いからね」

「…チェス? じゃデートって、チェスのこと?」

「そうだよ。僕が彼と手を繋いで歩くとでも思った?」

「いや…その」

「何、あの子に妬いているの?」

ジョシュアは少し照れたように笑う。

「…そうかも」


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