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■テオ×クラウス
■小説ベース
シュヌーシア寮 食堂。
窓からは眩しい朝陽が差し込む。多くの寮生達がパジャマ姿だった。
まだ少し眠たげな「おはよう」があちらこちらから聞こえる。
朝はブッフェなので、各自好きなものを皿に乗せて、席に座る。
今日のテーブル中央は一段と賑やかだった。
昨日、ウーティスに来た新入生が、初日から外泊したというのだ。
彼の名はシルヴァン・クラーク。17歳の高等部一年生。
奔放な新入生に振り回された生徒代表は少々疲れの色が見える。
先程、外泊から戻った新入生を正門で待っていたら、
何故だか「お父さんみたい」などと言われた。この先、厄介なことになりそうだ。
クラウスはバトラーからコーヒーを受け取ると短く礼を言った。
この寮で最も厄介な友人が声を張り上げる。隣に居るのに声が大きい。
「ねえ、クラウス、シルヴァンの話をしておくれ! そうだ、彼の趣味は?」
生徒代表は、まだ新入生を見てない生徒に質問攻めに遭っていた。
「昨日、大体話しただろう。もう少し離れろ、テオ」
クラウスに喰い付かんばかりに尋ねているのは好奇心旺盛の高等部二年。
テオ・メネシス。ギリシャ有数の資産家の家柄で、有名人好き。
テオの前にある皿からは焼きたての甘いバターの香りがする。
クロワッサンが二つ、小麦色に輝いている。
艶々のスクランブルエッグなど自分の好きな物を乗せていた。
テオの額を手で除けたのは、クラウス・フォン・モール。
今年度の生徒代表だ。彼の皿には野菜が多い。傍には薫り高いブラックコーヒー。
栄養バランスを考慮して選んだらしい料理が、彩り良く几帳面に並んでいる。
苦い顔でコーヒーに口付ける。テオのおしゃべりは止まらない。
「初日から外泊とは、なんとワイルドな男なのだろう!
島に着いて早速、運命の人に出会ったのかな?」
クラウスはコーヒーを脇に置いて、野菜をこんもり乗せた皿を引き寄せる。
「泊まったのはアイヴィーの家だぞ」
「年上好みかい! 彼を射止めるとは、なかなかのツワモノだねえ。
今日は私も新入生に挨拶に行かなくては!
ああ、それからアンリにも会おう。ウーティスの天使に!」
サラダにフォークを突き刺す。
レタスと紫タマネギ、赤パプリカが雑に付いてきた。
「別に…背中に翼はないだろう」
ぽと、と赤パプリカが皿に落ちる。
「ねえ、クラウスも共にウーティスに行こう?」
「俺を巻き込むな。お前が一人で行けば良いだろう」
フォークを口へ運び、むしゃむしゃと食べる。
何処となく投げ遣りな返答が続いた。
いつもと少し違うなとテオは感じる。普段はもう少し誠実に話してくれる人だ。
早起きの習性を持つ人なので、朝だから機嫌が悪いという可能性も低い。
困り顔を暫し愛で、やがて、ああ! と手を打った。
「そうか。すまない、クラウス。誤解しないでおくれ?」
クラウスは眉間に皺を寄せる。テオの言動は不可解なことが多かった。
「何の話だ?」
「私がウーティスに興味を抱いているのが気に入らないのだろう?」
テオは優雅な微笑を湛える。皆の見ている前で、ごく自然に言った。
「貴方というものがありながら、私が心変わりする筈ないじゃないか?」
周囲の寮生から笑い声が上がる。クラウスは額を押さえた。
「お前のその口は、どうにかならないのか…」
「気難しい表情もまた色香があるね。苦悩する顔も凛々しいよ?」
テオは朝陽にも負けない笑顔を輝かせた。
fin
■小説ベース
シュヌーシア寮 食堂。
窓からは眩しい朝陽が差し込む。多くの寮生達がパジャマ姿だった。
まだ少し眠たげな「おはよう」があちらこちらから聞こえる。
朝はブッフェなので、各自好きなものを皿に乗せて、席に座る。
今日のテーブル中央は一段と賑やかだった。
昨日、ウーティスに来た新入生が、初日から外泊したというのだ。
彼の名はシルヴァン・クラーク。17歳の高等部一年生。
奔放な新入生に振り回された生徒代表は少々疲れの色が見える。
先程、外泊から戻った新入生を正門で待っていたら、
何故だか「お父さんみたい」などと言われた。この先、厄介なことになりそうだ。
クラウスはバトラーからコーヒーを受け取ると短く礼を言った。
この寮で最も厄介な友人が声を張り上げる。隣に居るのに声が大きい。
「ねえ、クラウス、シルヴァンの話をしておくれ! そうだ、彼の趣味は?」
生徒代表は、まだ新入生を見てない生徒に質問攻めに遭っていた。
「昨日、大体話しただろう。もう少し離れろ、テオ」
クラウスに喰い付かんばかりに尋ねているのは好奇心旺盛の高等部二年。
テオ・メネシス。ギリシャ有数の資産家の家柄で、有名人好き。
テオの前にある皿からは焼きたての甘いバターの香りがする。
クロワッサンが二つ、小麦色に輝いている。
艶々のスクランブルエッグなど自分の好きな物を乗せていた。
テオの額を手で除けたのは、クラウス・フォン・モール。
今年度の生徒代表だ。彼の皿には野菜が多い。傍には薫り高いブラックコーヒー。
栄養バランスを考慮して選んだらしい料理が、彩り良く几帳面に並んでいる。
苦い顔でコーヒーに口付ける。テオのおしゃべりは止まらない。
「初日から外泊とは、なんとワイルドな男なのだろう!
島に着いて早速、運命の人に出会ったのかな?」
クラウスはコーヒーを脇に置いて、野菜をこんもり乗せた皿を引き寄せる。
「泊まったのはアイヴィーの家だぞ」
「年上好みかい! 彼を射止めるとは、なかなかのツワモノだねえ。
今日は私も新入生に挨拶に行かなくては!
ああ、それからアンリにも会おう。ウーティスの天使に!」
サラダにフォークを突き刺す。
レタスと紫タマネギ、赤パプリカが雑に付いてきた。
「別に…背中に翼はないだろう」
ぽと、と赤パプリカが皿に落ちる。
「ねえ、クラウスも共にウーティスに行こう?」
「俺を巻き込むな。お前が一人で行けば良いだろう」
フォークを口へ運び、むしゃむしゃと食べる。
何処となく投げ遣りな返答が続いた。
いつもと少し違うなとテオは感じる。普段はもう少し誠実に話してくれる人だ。
早起きの習性を持つ人なので、朝だから機嫌が悪いという可能性も低い。
困り顔を暫し愛で、やがて、ああ! と手を打った。
「そうか。すまない、クラウス。誤解しないでおくれ?」
クラウスは眉間に皺を寄せる。テオの言動は不可解なことが多かった。
「何の話だ?」
「私がウーティスに興味を抱いているのが気に入らないのだろう?」
テオは優雅な微笑を湛える。皆の見ている前で、ごく自然に言った。
「貴方というものがありながら、私が心変わりする筈ないじゃないか?」
周囲の寮生から笑い声が上がる。クラウスは額を押さえた。
「お前のその口は、どうにかならないのか…」
「気難しい表情もまた色香があるね。苦悩する顔も凛々しいよ?」
テオは朝陽にも負けない笑顔を輝かせた。
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