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Marginal Prince Short Story
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■夢のテオシナリオ
■1月16日作成開始、完成まで数週間
コラボ部屋にドリーム版をアップ中。##NAME1##の部分をお好きな名前に変更できます
学院の休暇中、ユウタからメールが来た。

――姉貴、元気? 俺、今、ドコに居ると思う?
3泊4日のギリシャ旅行に来ちゃったよ!
しかもね、今回の休暇はみんなと一緒なんだ。
卒業生の人がね、家に招待してくれたんだよ。
家っていうか、お城みたいなとこなんだけど。
テオって言うんだけどね、ジョシュアの前の生徒代表なんだって。
なんか、すごく面白い人だよ。みんなとも仲良いし。
それでね、テオが姉貴と話してみたいって言ってるんだ。
姉貴、よかったら電話してね!――

メネシス家では楽しいお茶の時間だった。
ウーティス寮生達は、ギリシャに到着し、やっと一息吐いたところだ。
皆、コーヒーや紅茶を手に、テオとの昔話に花を咲かせている。
今日はこの後、テオの家で豪華ディナーが待っている。
明日からはテオをガイドとした、ギリシャ観光を満喫する予定だった。
日本から海を越えたギリシャの地に、J-POPの着信メロディが響いた。
たった一人。その人から電話がかかってきたことを示す音楽。
「あ。姉貴だ」
ユウタは上着のポケットから携帯電話を取り出す。
サブディスプレイに表示された文字は母国語の『姉ちゃん』だ。
携帯を片手に掲げて、新しい友達を呼ぶ。
「テオー。姉貴から電話かかってきたよー」
「本当かい!」
ガタンと席を立つ。輝く黄金の髪を揺らし、たたたとやってくる。
年はユウタより三つも上。
今日会ったばかりの先輩のことを、ファーストネームで呼んでいた。
本人から「私のことはテオと呼んでおくれ?」と頼まれたからだ。
「ユウタのお姉さんからですか? 僕が出ますー!」
呼んでいない友達までこちらに来る。
今日は長い髪をポニーテールにしていた。
携帯を取られそうになって、ユウタはひょいと避ける。
「シルヴァンじゃないでしょ。はい、テオ」
手渡された小さな機械。小麦色の人差し指が迷う。
ギリシャの携帯電話普及率は90%なのだが、日本製では勝手が違った。
着信メロディはまだ鳴り続けている。小さなライトがピカピカと光る。
「ユウタ、ユウタ。私はどのボタンを押せば、君の姉上に会えるのだろう?」
「ココだよ。ほら、映った。これが俺の姉貴」


テオは左手で携帯電話を持っていたのだが、思わず右手まで添えた。
自分の親指とほぼ同じ大きさだが、瞳まで綺麗に映し出されていた。
「ああ、なんと小さく愛らしい姫なのだろう…初めまして、サンベリーナ?」
指で触れたら、画面を通り抜けて頬に届きそうだった。
ほう、と深い溜め息を零す。
「チューリップから生まれる姫は読んだことがあるけれど、
現代では携帯電話から現れるのだね。素晴らしい。最新技術の奇跡だ」
画面の中に居る姫は戸惑った表情を見せる。
「おっと失礼。感激の余り、自己紹介を忘れてしまったよ」
テオはブロンズ色の手を胸に当てた。
「私はテオ・メネシス。年は19。愛するものは太陽と海。
けれど、もうひとつ増えたかもしれないね?」
きらきらと笑顔を輝かせる。
「ねえ、姫。姫の名前を聞かせてくれるかい?」
ユウタの姉が名前を告げると、テオはにこっと笑った。
「名前まで美そのものだね。しかも…」
テオの顔がぐっと画面に近付く。
「貴女まで東洋の黒い真珠とは…これほど美しい真珠は初めてだ」
姫は何と言ってよいか解らない、という顔。
それは入学当時のハルヤを彷彿とさせるものだった。
「おやおや。日本の人はみんなシャイなのかい?
真珠とは、もちろん、その黒い瞳のことだよ、サンベリーナ」
テオは胸に手を当てたまま、目を閉じる。
「ああ…この胸の高鳴りは何だろう。あたたかい…」
はっと息を呑み、携帯画面を直視する。
「…もしや、これが」
途端に外野が慌て始める。ユウタが頬をピンクにして言う。
「ちょ、ちょっと、テオ!」
「何いきなり見つめ合っちゃってるんですか!」
「だからテオに電話させんなって言っただろーが!
おい、ジョシュア! ちょっと携帯、預かってろ!」
テオの手から奪い取って、後方に渡す。
テオが三人から責められている間、
ジョシュアは苦笑しながら、携帯の向こう側へ挨拶をした。
「やあ。こんにちは、##NAME1##。すまない、びっくりさせてしまったね?」
傍に居たハルヤが控えめに顔を出す。
「あの、テオの言ったこと、気にしないでね?
よくわかんないんだけど、黒い瞳が好きみたいでさ。
俺なんかにも『東洋の黒い真珠』ってよく言ってた人だから」
ジョシュアは後方をちらと見て、
「『氷の微笑』って呼ばれていた人もいるからね?」
携帯画面には映っていないが、冷たい声が聞こえてくる。
「彼女に余計なこと吹き込まないで」
「怒るなよ」
ユウタの姉は、ハルヤに『サンベリーナ』とは何のことか尋ねた。
「あー、ええっとね…」
ハルヤは少し考えた後、日本語に切り替えて説明した。
「確か『おやゆび姫』の英題だよ。テオ、童話とか好きだから」
無罪を主張していたテオがぴくりと反応する。
三人を振り切って、ハルヤの元へ駆け寄ってきた。
「東洋の黒い真珠! 今! 今のは日本の言葉かい?」
ハルヤの言語が英語に戻る。
「え? ああ、うん」
「とても優美な響きだったよ。もう一度、聞かせておくれ?」
「や、やだよ。そんな」
「東洋の黒い真珠。サンベリーナには聞かせていたじゃないか!」
ジョシュアは手にしている携帯を覗く。
確かに彼女は親指ほどの大きさしかない。
「どうやら君も、テオに呼び名を付けられたみたいだね、サンベリーナ?」
この小さなプリンセスは、いつのまにか、
此処に居るみんなにとって大切な姫になっていた。
自分も禁忌を犯してまで彼女を求めてる。本当に不思議な人だ。
ジョシュアの横から弟が横入りする。
「あ、姉貴? じゃあ、そろそろ電話切るよ。またね」
「ちょっ、ちょっと待っておくれ!」
勢いに押されて、ジョシュアは携帯を渡してしまう。
テオが再び画面に映り込む。
「サンベリーナ! もうおしまいなのかい? 私はもっと話したいよ!」
ドアがノックされた。
「ご歓談中、失礼致します」
現れたのはテオ専属の執事。年は30代半ばとまだ若い。
長いストレートの金髪を高いところでひとつに結わえている。
眼鏡のフレームに長い横髪が少し掛かっていた。
執事はきびきびとした足取りでテオの傍へ行く。
身を屈め、耳許に何か囁いた。テオは頷き、席を立った。
皆の視線を受けて、テオは肩を竦める。
「すまない。父から電話だそうだ。少し失礼するよ。
王子諸君は夕食までゆっくりしておくれ。そして、姫?
貴女も、夕食に同席してくれるかい? デザートの時間がいいな。
美味しいお菓子と可愛い姫と、甘いひとときを過ごしたいのだよ。
テーブルに美しい花が一輪あるだけで、食卓は華やかになるものだ。
みんなも姫と話しながらの方が楽しいだろう?」
「まあ、な」
レッドが不貞腐れながら答える。テオはユウタに尋ねた。
「そう言えば、日本とギリシャの時差はどのくらいなんだい?」
「あ、正確にはどうだったかなあ。たぶん今は夜くらいだから…」
「7時間差ですよ、テオ。夕食時なら日本は真夜中ですね」
「おや。ジョシュア、計算が早い。そうか、君は理数系だったものね」
「計算したというよりは、日本時刻を完璧に把握しているように聞こえたけれど?」
アンリに言われて、ジョシュアは曖昧な微笑を見せた。
「あ…そんなこと、ないよ」
「真夜中では、電話をするには非常識だね。では姫と会うのはまた明日にしよう。
サンベリーナ、明日もその優しい声を、私に聞かせてくれるかい?」
了承の返事を聞くと、テオは満面の笑顔を見せる。
「ありがとう。明日が待ち遠しいよ、サンベリーナ」
「テオ、お前! 明日も彼女と話すつもりか!」
「おや、アルフレッド。私が姫と話せるのはここ数日しかないのだよ?
それほど短い期間、彼女と話すことも許してくれないのかい?
心配しなくとも、私より君の方がずっと魅力的な男じゃないか、アルフレッド」
「ったく…」
「それでは、サンベリーナ、また明日。いや…やはり、
待ち切れないな。明日になる前に一度会おう。
待ち合わせ場所は、私の夢の中だ。待っているよ。
大丈夫。貴女が私を想ってさえくれれば、必ず会える。
心配かい? では迷わず来れるように、魔法をかけておこうか。
手の甲をこちらに向けてごらん、サンベリーナ」
彼女の手が映った画面。テオはそれに自分の唇に寄せた。
触れる直前まで引き寄せ、すっと離す。
小首を傾げ、甘い微笑を見せた。
「おやすみのキスだよ。では今宵、夢で会おう」

執事の後に続いて、テオが退室する。
ドアが閉まると、その場はウーテイス寮生達だけになった。
アルフレッドは携帯の前に走る。バッと携帯を掴む。
「なっ! ##NAME1##! ぽーっとしてんじゃねえよっ!
テオのやろう、俺達の前で##NAME1##に何してくれてんだー!」
地団駄踏むアルフレッドを見て、シルヴァンはクスクスと笑う。
「テオったら、やってくれますねー。相変わらずというか、何というか」
「つーか、余計パワーアップしてるだろ!
あいつ、##NAME1##を口説き過ぎだっつの! だー! 腹立つー!」
「まあ、テオ的には普通の会話だったかもしれませんよ? あれでも」
「いーやっ! ぜってえ違う!」
熱くなり易い友達を見て、ハルヤは、もう、と肩を落とす。
「落ち着きなよ、レッド。シルヴァンの言う通りかもしれないじゃん」
「これが落ち着けるか! おい、ユウタ!」
「え? な、なに?」
「携帯、俺に貸せ!」
「い、いいけど…レッド、どうしたの、急に?」
アルフレッドは携帯画面を真正面から見つめた。
「今のうちに、##NAME1##に話しておきたいことがある。
テオが君に、まだ言っていないことだ」
ウーティス寮生は全員押し黙った。
数秒後、シルヴァンが落ち着いた声で話し始める。
「なるほど。確かに、レッドの言うことに一理ありますね」
「だろっ!?」
「お姉さんには僕からお伝えしますよ。他にもお話したいことがありますし。
ね、##NAME1##。カッカしているレッドより、僕の方が良いでしょう?」
「てめっ! 横取りすんなよ、シルヴァン!」
「最初に彼女を独り占めしようとしたのはレッドじゃないですかー」
「ちょっと、テオんちまで来て喧嘩しないでよ。テオは昔からああいう人じゃん」
「じゃあ、ハルヤはちょっともカチンと来なかったのかよ!?」
「そ、それは…」
「じゃ、お姉さんに決めて貰ったらどうだい?
夕食までの時間、俺達の中で誰と過ごしたいか」
ジョシュアの声に皆が振り向く。
「彼女の希望なら、みんなも文句はないだろう?」
アンリが冷笑する。
「君らしい和平的解決策だね、生徒代表殿?」
「おもしれえ! その勝負、やってやろうじゃねえか!」
「ドキドキしちゃいますね♪」
ギャンブル好きの面々は楽しそうだが、ハルヤは一人、頬を染めた。
「もう…ドキドキし過ぎるよ…」
アルフレッドは自信満々で言う。
「じゃ、選ばれた奴が、夕食の時間まで彼女と居られるってことで!」
「うん。その代わり、誰が選ばれても恨みっこなしだよ。いいね?」
ジョシュアの言葉に皆が頷く。
ユウタは頬を掻きながら、姉に聞いた。
「えっと…ど、どうする、姉貴? 誰がいいの?」

→ジョシュア
→アルフレッド
→アンリ
→シルヴァン
→ハルヤ
→ユウタ
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