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Marginal Prince Short Story
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■2日目4 続編
○手を差し出す1

ユウタの姉は昨日と同じように手を差し出した。
テオは恭しくその手に唇を寄せる。
瞼を覆う睫毛は少し長い。ぷっくりとした唇。
もし実際に触れられたら柔らかい感触がするのだろう。
微かに聞こえる小さな声がした。
「Se agapao.」
英語ではないようで聞き取れなかった。
ゆっくりと離れたテオに、今の言葉は、と尋ねる。
テオは何か口を開きかけたが息を共にその言葉を飲み込んだ。
まるで天気雨のような表情でポツポツと言う。
「ギリシャ語だよ。…意味は、聞かないでおくれ」
すまない、という声が泣き出しそうで、姉は何も言えなくなった。
携帯画面が元に戻る。静かに通信が途絶えた。


○手を差し出す2

ユウタの姉は昨日と同じように手を差し出した。
テオは恭しくその手に唇を寄せる。
「おやすみ、サンベリーナ。もし良ければ、
また私の夢へ会いに来ておくれ?
今宵は誘惑の代償を用意して待っているよ」
テオの笑顔を最後に、画面はぷつりと消えた。


○手を差し出さない

「サンベリーナ…」
ユウタの姉は手を差し出さなかった。
「すまない。無理を言ったようだね。今日は私に付き合ってくれてありがとう。
姫と過ごせて楽しかった。おやすみ、サンベリーナ。いいゆめを」
テオは電話をそっと切った。
このボタンひとつで、小さな姫は消えてしまう。
頭上の月桂樹を見上げる。
先程まであった木洩れ陽が見えない。空は灰色の雲に覆われていた。
苦笑して自分の膝を眺めた。
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