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■レッド×ジョシュア
■レッド、入学直後。
-----------------------------
「じゃあ、あいつ、マジで王子様じゃん!?」
大声を上げたレッドに、アンリは溜め息を吐く。
「何、今頃知ったの?」
「知るわけねーだろっ! 俺、入学したの先週だぜ!?」
「大体の人は、入学当日に知るよ」
レッドの目が輝き出す。
「…王子役も、いつか来るかもしれねえなっ」
嬉しそうに舌なめずりする様子は、
「俺、あの人みたいなインテリ系の悪役をやってみたいんだ!」
と入学翌日、ソクーロフ博士をベタ褒めした時に似ていた。
「なあ、アンリ! お前、あいつと中等部の時から一緒なんだろ!?」
「それが?」
「あいつのこと、色々教えてくれよ!」
「君って、『役者バカ』なんだ?」
「『勉強熱心』とは言えないのかよ、アンリ!」
「だって、『バカ』だもの」
「『役者』を取るなっ!」
レッドは、自分の胸が興奮で高鳴っているのが解った。
役者としての好奇心は、舞台を離れて尚、
俺の中で渦巻いているらしい。
「俺は、アルフレッド・ヴィスコンティ。レッドって呼んでくれ。
俺、お前と仲良くなりたいんだっ!」
そう言って、俺が握手を求めると、
王子は笑顔で握り返して来る。
「ありがとう。嬉しいよ。レッド」
正真正銘の王子に会えるなんて。
この学院、マジで面白い奴ばっかりだ。
こんなチャンス、滅多にねえ。
王子役の『参考資料』に、これ以上の存在があるか!?
一体『本物』は、何に興味があって、
どんなことを考えているんだろう。
想像するだけで、わくわくしてくる。
知りたい。
本物の王子、ジョシュア・グラントを。
「ジョシュア、居るか!?」
「やあ、レッド。どうしたんだい?」
「あのさっ! 講義で解らないことあんだけど…」
とテキストを見せる。
「ああ、その講義なら、去年受けたから、
何か役に立てるかもしれないね、どうぞ入って?」
「サンキュ!」
ジョシュアが去年受講してる講義は、アンリに聞いた。
そうすれば、こうやって部屋に入れると思ったから。
ついに見れる、本物の王子の部屋を。
どんな部屋だろう。やっぱゴーカケンラン!?
赤の絨毯に、金の椅子!?
壁の四方には宝石が埋め込まれてるとかっ!?
「…って、あれ?」
「ん、何」
「…お前の部屋、意外とフツーだな。てゆうか…地味?」
「ああ、うん。殆ど入学当時のままなんだ」
「なっ、なんでっ!?」
「なんでって言われても…」
「これなら、俺の部屋の方が派手だぜ!?」
王子の部屋は、ゴーカどころか、
他の生徒よりも質素なものだった。
てっきり、キンピカかと思ったのに。
ゴージャスな物なんか全然持ってなくて、
デザインに対するコダワリ、みたいなものも特にない。
機能的でシンプルな物の方が好きなようだった。
「王子は、デザインより機能重視…っと」
俺は、いつか王子役が来た時まで、
今手にしている情報を忘れないように、
ノートに記録を残しておくことにした。
ソクーロフ博士用のノートももちろんある。
博士のは灰色、ジョシュアのは緑にした。
その後も王子の傍から離れないように行動してたけど、
俺が持っていた『リッチな王子イメージ』は悉く外れていった。
あいつは、リッチな物なんて何も所持していない。
その必要がないのだと気付いたのは、それから大分経ってからだ。
一挙一動が王子そのものだった。
コーヒーカップを静かに置く仕草。
「おはよう」と言う柔らかい声。
俺みたいに感情が先走ることなく、誰にも分け隔てない接し方。
俺とアンリが口喧嘩していても、
どちらか一方を宥めることは一度もなかった。
必ず二人に対して、同じように声を掛けていた。
その立ち居振る舞い全てが、どの生徒とも違っていた。
ただ、そこに居るだけで。
どんな王冠を被るより、
あいつがプリンスだと解る。
これが本物なんだ。
そう思った時。
俺は、本当に、お前のことが知りたくなった。
王子らしいとか、らしくないとか、
そういうんじゃなくて。
良いトコも、悪いトコもみんな。
お前のこと。
全部知りたい。
俺は緑のノートを閉じる。
「やめたっ!」
こんなノートなんか要らない。
文字で書いている時間があったら、
その分お前と一緒に居たい。
いっぱい喋って、何度も笑いたい。
お前との時間を、忘れる筈がない。
部屋を飛び出して、ジョシュアに会いに行く。
「ジョシュア! やり直しだっ!」
もう一度、手を差し出す。
「俺はアルフレッド・ヴィスコンティ。レッドって呼んでくれ」
「…どうしたんだい、レッド?」
「俺、お前と親友になりたいんだっ!」
演技の『参考資料』として見てたのに。
もう、そんなこと、どうでもいい。
これからもずっと、
お前の一番傍に居たい。
ジョシュアは困ったように呟く。
「…そんなこと言わないでくれ、レッド」
「えっ、ダメなのか!?」
ジョシュアは前と変わらない笑顔で、
俺の手を握り返す。
「レッドとは、最初から親友だと思ってたんだけど…違ったかい?」
fin
■レッド、入学直後。
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「じゃあ、あいつ、マジで王子様じゃん!?」
大声を上げたレッドに、アンリは溜め息を吐く。
「何、今頃知ったの?」
「知るわけねーだろっ! 俺、入学したの先週だぜ!?」
「大体の人は、入学当日に知るよ」
レッドの目が輝き出す。
「…王子役も、いつか来るかもしれねえなっ」
嬉しそうに舌なめずりする様子は、
「俺、あの人みたいなインテリ系の悪役をやってみたいんだ!」
と入学翌日、ソクーロフ博士をベタ褒めした時に似ていた。
「なあ、アンリ! お前、あいつと中等部の時から一緒なんだろ!?」
「それが?」
「あいつのこと、色々教えてくれよ!」
「君って、『役者バカ』なんだ?」
「『勉強熱心』とは言えないのかよ、アンリ!」
「だって、『バカ』だもの」
「『役者』を取るなっ!」
レッドは、自分の胸が興奮で高鳴っているのが解った。
役者としての好奇心は、舞台を離れて尚、
俺の中で渦巻いているらしい。
「俺は、アルフレッド・ヴィスコンティ。レッドって呼んでくれ。
俺、お前と仲良くなりたいんだっ!」
そう言って、俺が握手を求めると、
王子は笑顔で握り返して来る。
「ありがとう。嬉しいよ。レッド」
正真正銘の王子に会えるなんて。
この学院、マジで面白い奴ばっかりだ。
こんなチャンス、滅多にねえ。
王子役の『参考資料』に、これ以上の存在があるか!?
一体『本物』は、何に興味があって、
どんなことを考えているんだろう。
想像するだけで、わくわくしてくる。
知りたい。
本物の王子、ジョシュア・グラントを。
「ジョシュア、居るか!?」
「やあ、レッド。どうしたんだい?」
「あのさっ! 講義で解らないことあんだけど…」
とテキストを見せる。
「ああ、その講義なら、去年受けたから、
何か役に立てるかもしれないね、どうぞ入って?」
「サンキュ!」
ジョシュアが去年受講してる講義は、アンリに聞いた。
そうすれば、こうやって部屋に入れると思ったから。
ついに見れる、本物の王子の部屋を。
どんな部屋だろう。やっぱゴーカケンラン!?
赤の絨毯に、金の椅子!?
壁の四方には宝石が埋め込まれてるとかっ!?
「…って、あれ?」
「ん、何」
「…お前の部屋、意外とフツーだな。てゆうか…地味?」
「ああ、うん。殆ど入学当時のままなんだ」
「なっ、なんでっ!?」
「なんでって言われても…」
「これなら、俺の部屋の方が派手だぜ!?」
王子の部屋は、ゴーカどころか、
他の生徒よりも質素なものだった。
てっきり、キンピカかと思ったのに。
ゴージャスな物なんか全然持ってなくて、
デザインに対するコダワリ、みたいなものも特にない。
機能的でシンプルな物の方が好きなようだった。
「王子は、デザインより機能重視…っと」
俺は、いつか王子役が来た時まで、
今手にしている情報を忘れないように、
ノートに記録を残しておくことにした。
ソクーロフ博士用のノートももちろんある。
博士のは灰色、ジョシュアのは緑にした。
その後も王子の傍から離れないように行動してたけど、
俺が持っていた『リッチな王子イメージ』は悉く外れていった。
あいつは、リッチな物なんて何も所持していない。
その必要がないのだと気付いたのは、それから大分経ってからだ。
一挙一動が王子そのものだった。
コーヒーカップを静かに置く仕草。
「おはよう」と言う柔らかい声。
俺みたいに感情が先走ることなく、誰にも分け隔てない接し方。
俺とアンリが口喧嘩していても、
どちらか一方を宥めることは一度もなかった。
必ず二人に対して、同じように声を掛けていた。
その立ち居振る舞い全てが、どの生徒とも違っていた。
ただ、そこに居るだけで。
どんな王冠を被るより、
あいつがプリンスだと解る。
これが本物なんだ。
そう思った時。
俺は、本当に、お前のことが知りたくなった。
王子らしいとか、らしくないとか、
そういうんじゃなくて。
良いトコも、悪いトコもみんな。
お前のこと。
全部知りたい。
俺は緑のノートを閉じる。
「やめたっ!」
こんなノートなんか要らない。
文字で書いている時間があったら、
その分お前と一緒に居たい。
いっぱい喋って、何度も笑いたい。
お前との時間を、忘れる筈がない。
部屋を飛び出して、ジョシュアに会いに行く。
「ジョシュア! やり直しだっ!」
もう一度、手を差し出す。
「俺はアルフレッド・ヴィスコンティ。レッドって呼んでくれ」
「…どうしたんだい、レッド?」
「俺、お前と親友になりたいんだっ!」
演技の『参考資料』として見てたのに。
もう、そんなこと、どうでもいい。
これからもずっと、
お前の一番傍に居たい。
ジョシュアは困ったように呟く。
「…そんなこと言わないでくれ、レッド」
「えっ、ダメなのか!?」
ジョシュアは前と変わらない笑顔で、
俺の手を握り返す。
「レッドとは、最初から親友だと思ってたんだけど…違ったかい?」
fin
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