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Marginal Prince Short Story
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■王子、お誕生日おめでとうございます!
■ショート4本セット
■ジョシュアの電話 ―シルヴァンと―


やあ、こんにちは。
元気…じゃないみたいだね? 何かあったのかい?

え? ああ、昨夜のシルヴァンのこと?
すまない。驚かせてしまったよね。

彼に悪気はないんだよ、アルコールのせいだし。
昨日は久し振りにアイヴィーと夜遊びして楽しかったみたいでね。
うん。みんなにキスしてた、レッドにもハルヤにも。
アンリは怒るからできなかったみたいだけど。

もちろんユウタもね。初めての時はビックリしてたけど、
最近はけっこう平気になったみたいだよ?
あ、ごめん。君の弟に可笑しな耐性を付けてしまったかな。

今までに? えっと、どのくらいだろう…
数えたことなかったから…年に何回か、かな。

もしかして、妬いてくれたの?
嬉しいな、君にそんなふうに思って貰えるなんて。
今度からはシルヴァンにもキスされないように気を付けるよ。
「俺は貴女だけのものだから」って。

そう言ったら、余計狙われてしまうかな?



■ジョシュアの電話 ―今日のディナー―


今日のディナー、日本の手巻き寿司だったんだ。
ウーティス寮のシェフが本ワサビを栽培していてね、
夏になって収穫できたからって。うん、美味しかったよ。
ホースラディッシュと違って、まろやかな辛さだね。

ユウタとハルヤとシルヴァンが、
俺達に手巻き寿司の作り方を教えてくれたんだ。
好きなものを選んで作れるんだね。

最後はロシアンルーレットをやることになって、
六個の手巻き寿司のうち、一個だけワサビをたくさん入れてね。
俺はセーフだったんだけど、誰が当たったと思う?

正解。良く解ったね。ちょっと涙目になってて、
可哀想だったけど、楽しいディナーだったよ。
いつか、君と一緒に手巻き寿司が食べられる日が来ると良いな。



■07.28のできごと


「ジョシュアのバースデーパーティー?」
7月下旬に入った頃。
アンリはユウタから話を持ちかけられた。
「7月28日の夜にパーティするから、アンリも協力してね?」
「なんで僕が」
アルフレッドがアンリの横腹を肘で小突く。
「なんでって、お前が一番ジョシュアに世話になってんだろーが」
「世話なんか僕は頼んでない」肘を払い除ける。「パーティは君達で勝手にやれば」
「バーカ。おめーも強制参加に決まってんだろ」
アンリの首に腕を回す。ハリウッドスターは珍しくシリアスな声で言った。
「祝ってやれって。これが最後なんだぞ。ジョシュア、もうすぐ卒業なんだぜ?」
アンリは腕の中で呟いた。
「そんなこと…」
天才役者は、はしゃいだ声に戻る。
「バースデープレゼントさ! おめーのカラダにリボン巻きつけるってのどーよ?」
「意味が解らない」
「だからー、こう全身にクルクルクルーっとさ、んで、胸元でちょうちょ結び」
「あっ、似合うかも!」
そう言ったユウタに、氷の眼差しが突き刺さる。ユウタが空笑いする。
「な、なーんて思ったりしてー」
ハルヤがユウタの腕を引く。こっそりと囁いた。
「ユウタ、こういう時は、会話に加わらない方が良いよ」
シルヴァンがパンと手を合わせる。
「じゃ、白雪姫ごっこはどうでしょう?」
アルフレッドが首を傾げる。
「何だよ、それ」
「誕生日の夜、ジョシュアが部屋に戻ると、
ベッドに白雪アンリが眠ってるんですよ、こうやって、目を閉じて」
シルヴァンは胸の前で両手を組んで、祈りのポーズをする。
「もちろん頭にはおっきなリボンを付けて。どうです、びっくりラブリーな演出でしょう?」
「君達は、ここが男子校だと知っている?」
「だからこそ、潤いを求めてるんじゃないですかー」
「僕に求めるな」
「ったく、わがままプリンセスだなー。なら、どこにリボン付けて欲しいんだよ?」
「リボンから離れて」

誕生日当夜。
バースデーケーキには、ジョシュアが好きなお菓子、
キングズ・フィンガー 特大バージョンが用意された。
もはや指というレベルではなく、大きいロールケーキになっていた。
ケーキを食べ終わると、各自、用意したプレゼントを渡した。
個性溢れる贈り物をジョシュアは全て嬉しそうに受け取っていた。
最後にアンリが残った。身体にリボンは巻いていない。
小さなプレゼントに緑のリボンが飾られていた。
隣のアルフレッドに、また横腹を突かれる。
「お前の番だぞ、アンリ」
「解ってる」
ジョシュアの前に進む。穏やかで優しい笑顔がアンリを見つめている。
もう四年も見ているのに、こう目の前に晒されると未だに慣れない。
無愛想に小箱を差し出した。
「Joyeux anniversaire(誕生日おめでとう)」
ぶっきらぼうなフランス語。
ジョシュアは微笑み、小箱を持つ手に自分の手を重ねた。
「Merci beaucoup(どうもありがとう)」


fin


■ジョシュアのメール ―07.28―


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送信者:ジョシュア
日時:2008年07月28日 22:36
件名:ありがとう
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電話でも伝えたけれど、今日は本当に、
バースデーコール、どうもありがとう。

寮のみんなには、バースデーパーティをしてくれたんだ。
愛する人と友人に誕生日を祝って貰えて、とても幸せな一日だった。
今日改めて感じたよ。
俺は君に会う為に生まれて来たんだなって。
愛してるよ、これからもずっと。

貴女の、
ジョシュア・グラント



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