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Marginal Prince Short Story
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■ジョシュア×ハルヤ
---------------------------
聖アルフォンソ島 植物園。
此処には1本だけ梅の木が在った。

ハルヤは、緑色になった梅の木を見上げている。

花は全て散ってしまったのに。
足が勝手に動いたように、いつのまにか梅を見ていた。

「今日も此処に来ていたのかい?」

「ジョシュア」

「ハルヤは、本当に梅の木が好きなんだね」

「うん」

「君に、そんな風に見つめられるなんて、羨ましいな」

「…なんで?」

「可笑しいけど、俺は妬いているんだろうね、梅に」

「梅に…?」

「そう。この頃、君が毎日のように植物園に足を運んでいるから…。
最初は、故郷に咲く花を見て、日本を懐かしんでいるのだと思っていたんだけど。
君の目を見ていると、なんだか違う気がして…」

「…違う?」

「梅の先に、誰かを見ているみたいだった。
今は傍に居ない人のことを。違うかい?」

ジョシュアがハルヤの視界を遮るように、
胸の中に引き寄せる。

「ジョシュッ…」

「…俺では、代わりにならない?」

「え…」

「愛してる」

「うそ…」

「すまない、驚かせてしまって。だけど嘘じゃないんだ」

「俺…男だよ?」

「解ってる。俺も最初は信じられなかったよ。
でも…ずっと、君が好きだった。君のことが一番大切なんだ」

「ジョシュア…」

「だから、もう梅を見ないで、ハルヤ」

ジョシュアの手がハルヤの目を覆う。

甘いものを口の中に入れられた。

温かいチョコレートみたいだった。
甘く、柔らかい感触。

頭が、ぼうっとしてくる。



聖アルフォンソ島 植物園。
此処には1本だけ梅の木が在った。

梅の木を背景に、見知った顔が微笑んでいる。

「おはよう、ハルヤ」

「ジョシュ、ア…? こっちが本物…?」

「え?」

「今、ジョシュアの夢、見てた…」

「本当に? どんな夢?」

「あっ、あの。…ヒミツ」

「秘密にされると、気になってしまうな」

「ごめん。ちょっと、言えない…」

「そう。じゃあ聞かないでおくね」

「ありがと」

「いけないよ、こんな所で眠っていては。風邪を引いてしまう」

「ん。ごめん…」

「ハルヤは、本当に梅の木が好きなんだね」

「うん」

「君に、そんな風に見つめられるなんて、羨ましいな」

「…え?」

「妬いているんだ、梅に」

「ジョシュア…?」

「もう、梅を見ないで」


甘いものが口の中に入ってくる。

温かいチョコレート。
甘く、柔らかい感触。

さっきの夢と、おんなじだ。

温かい波が繰り返される。
優し過ぎて、焦らされている様な。
愛しく、意地らしい時間が過ぎていく。

頭が、ぼうっとして。
溶けていく。
変になる。
何も考えられない。


俺はまだ、夢を見ている…?



聖アルフォンソ島 植物園。
此処には1本だけ梅の木が在った。

梅の木を背景に、見知った顔が微笑んでいる。

「おはよう、ハルヤ」

「ジョシュア…また、夢なの?」

「夢? 俺の夢を見てたのかい?」

「あ、うん…」

「すまない。…起こし方がいけなかったかな?」


fin
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