忍者ブログ
Marginal Prince Short Story
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

■アンリ×ユウタ 
■攻アンリ
------------------


アンリが寮の自室で読書をしていると、
ユウタとジョシュアがやって来た。

ユウタは腕に猫を抱えている。

美しい毛並みの猫。瞳は黄金色。
両腕はだらんと伸ばしている。
特に暴れる様子はなく、大人しくユウタに抱かれているが、
機嫌が悪いのか、かなり、むすっとした表情をしている。
アンリは、その仏頂面を眺めて言う。

「…何、この可愛げのない猫?」

ユウタは、猫の片手を持ち上げて、言った。

「アンリちゃん!」

アンリは猫より憮然とした顔になる。

「…僕を、愚弄しているの?」

「違うよー! 『アンリちゃん』は、この猫の名前! イイでしょっ?」

「良くない。勝手に人の名前を付けないで」

「だってさー、アンリにすっげー似てるじゃん!
でねっ! この猫、女の子だから『アンリちゃん』にしたんだ♪」

「…何処が似ているの?」

「全部! ほら、アンリちゃん?
この人がね、君のお兄さんだよ? 無愛想でしょー?」

ジョシュアが、くすくすと笑う。

「アンリ、可愛い妹が出来て良かったね」

「君まで僕を愚弄するつもり?」

「俺は可愛いと言っただけだよ。
ユウタ。その猫は何処から連れて来たんだい?」

「さっきね、寮の前で歩いてたから、名前付けたんだー」

「そう。ユウタ、俺にも少し抱かせてくれないか?」

「うんっ。いーよー」

アンリちゃんは、ジョシュアの腕の中に入る。

「初めまして、アンリちゃん。俺はジョシュアと言うんだ。
君のお兄さんの友人だよ。よろしく」

ジョシュアが頭を撫でると、迷惑そうな表情を浮かべながらも、
大人しく腕の中に収まっている。
その様子を見て、ジョシュアは可笑しそうに笑う。

「本当にお兄さん似なんだね。可愛いな」

ジョシュアが猫の喉を撫でる。

「あっ! アンリちゃんの顔が変わった! なんかノドが鳴ってる!」

「猫は、こうして喉に触れられると、気持ちが良いんだよ」

「ジョシュア、猫を飼っていたことがあるの?」とアンリ。

「いや。動物行動学の特別講義で、聞いたんだよ。
自分では喉の毛づくろいができないから、人にして貰うと喜ぶそうだね。
機嫌が良い時は、ほら、こんなふうに、しっぽを立てて揺らしたり、
可愛い声で鳴いてくれるそうだよ?」

しっぽが、ゆらゆらと揺れている。
いかにも機嫌が良さそうだ。
猫は更に「にゃあ」と甘えた声を出した。

「おねだり、してるのかい? 本当に可愛い声だね」

ジョシュアが触れると、猫は嬉しそうに眼を細める。

「アンリちゃんは、此処が好きなのかな?」

ごろろと喉が鳴る。
小さな鼻先にジョシュアがそっと口付ける。

「可愛いよ、アンリちゃん」

「…ジョシュア、その猫を僕の名前で呼ばないで」

「こちらのアンリちゃんは、ご機嫌斜めだね?」

「僕は、アンリちゃん、じゃない…」

「あ。俺、そろそろ失礼するよ。教授に呼ばれているんだった」

「非礼を詫びて」

ジョシュアは微笑みながら、アンリの耳許に囁く。


――アンリも、ごろごろして欲しいのかな?


「…さっさと教授の所に行けば」

「じゃ、お言葉に甘えて失礼するね。ユウタもまた後で」

「あ、うん。行ってらっしゃい、ジョシュア」

ユウタはジョシュアの背中を見送る。
たった一言で、アンリを黙らせた。
それだけでもジョシュアは尊敬に値する気がする。
一体、何て言ったんだろう?

「ねね! アンリ、ジョシュアに何て言われたのっ!?」

無言で睨み付けられる。
ユウタは、猫の後ろに顔を隠す。

「助けてっ、アンリちゃん! アンリが目で殺してくるー!
アンリちゃんからアンリに何か言ってやって!」

猫は欠伸する。

「アンリちゃんは俺のことキライなのっ!?
アンリちゃんはアンリの味方なの!?」

「…アンリアンリ煩いな。いい加減止めてくれない?」

「えー。だって他に良い名前思い付かないもん」

「ふうん…そう」

「…な、なに?」

「僕はその猫をユウタと呼ぶね?」

「えー!?」

撫でて貰えなくなった猫が「にゃあ」と甘えた声を出した。
まるで、ジョシュアを呼んでいるかのようだ。

「僕がしてあげるよ、ユウタ?」

アンリが猫の喉に触れてやる。
猫は眼を細める。

「気持ち良いみたいだね、ユウタ。ユウタは、此処が良いの?」

ごろろと喉が鳴る。
小さな鼻先にアンリがそっと口付ける。

「可愛いよ、ユウタ」

ユウタの顔が真っ赤に染まる。

「止めてよ、アンリ!! 俺、恥ずかしいよ…」

「知ってるかい、ユウタ? 仕返し、というものはね、
何倍にもして返すものと、古来から決まっているものなんだよ?」

「仕返しってゆうか、ジョシュアがしたこと、俺で八つ当たりしてないっ!?」

「僕に口答え?」

アンリは人差し指を立てて、
ユウタの喉を、つうと撫でた。

「イッ…ア…」

「へえ。割とイイ声で鳴くんだ?」

「なっ、何するんだよっ…アンリ」

「人も猫みたいに鳴くのかな、と思って」

「俺で実験しないでよっ!」

「ねえ、ユウタ? …気持ち、良かった?」

「よっ、良くないよっ! 俺を猫扱いしないでっ!」

「…最初に、僕を猫扱いしたのは誰だったかな?」

猫が「にゃあ」と鳴く。

「…ごめんなさい」

「僕をからかうと、どうなるか解った?」

「うん。解った…」

「もうしない?」

「しないしない。ごめん、許して、アンリ」

アンリが微笑んで、小首を傾げる。

「許さない」

「えっ…」

アンリが、また猫の喉を撫でる。
ごろろと鳴く。

「こちらのユウタはいい子だね。もっとして欲しいかい、ユウタ?」

白い指が喉を伝う。
先よりゆっくりと。
首から顎まで這うように。

「気持ち良いよね、ユウタ?」

「アンリ…やだってば…」

「僕は嫌じゃない」

猫が鳴く。

「俺は、やだっ…」

「ユウタは静かにしていて? 僕は今ユウタと遊んでいるの」

「ユウタユウタ言うなっ」

「…しっぽ、喜んでるみたいだね」

アンリは愛しげに撫でる。

「…ユウタ。もっと、鳴いて?」


fin
PR
≪ ひなまつり。   *HOME*   堕天使。 ≫
カレンダー
07 2026/08 09
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
キャラ名、CP名などで作品検索可
アーカイブ
カウンター
バーコード
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]