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■アンリ×ユウタ
■攻アンリ
------------------
アンリが寮の自室で読書をしていると、
ユウタとジョシュアがやって来た。
ユウタは腕に猫を抱えている。
美しい毛並みの猫。瞳は黄金色。
両腕はだらんと伸ばしている。
特に暴れる様子はなく、大人しくユウタに抱かれているが、
機嫌が悪いのか、かなり、むすっとした表情をしている。
アンリは、その仏頂面を眺めて言う。
「…何、この可愛げのない猫?」
ユウタは、猫の片手を持ち上げて、言った。
「アンリちゃん!」
アンリは猫より憮然とした顔になる。
「…僕を、愚弄しているの?」
「違うよー! 『アンリちゃん』は、この猫の名前! イイでしょっ?」
「良くない。勝手に人の名前を付けないで」
「だってさー、アンリにすっげー似てるじゃん!
でねっ! この猫、女の子だから『アンリちゃん』にしたんだ♪」
「…何処が似ているの?」
「全部! ほら、アンリちゃん?
この人がね、君のお兄さんだよ? 無愛想でしょー?」
ジョシュアが、くすくすと笑う。
「アンリ、可愛い妹が出来て良かったね」
「君まで僕を愚弄するつもり?」
「俺は可愛いと言っただけだよ。
ユウタ。その猫は何処から連れて来たんだい?」
「さっきね、寮の前で歩いてたから、名前付けたんだー」
「そう。ユウタ、俺にも少し抱かせてくれないか?」
「うんっ。いーよー」
アンリちゃんは、ジョシュアの腕の中に入る。
「初めまして、アンリちゃん。俺はジョシュアと言うんだ。
君のお兄さんの友人だよ。よろしく」
ジョシュアが頭を撫でると、迷惑そうな表情を浮かべながらも、
大人しく腕の中に収まっている。
その様子を見て、ジョシュアは可笑しそうに笑う。
「本当にお兄さん似なんだね。可愛いな」
ジョシュアが猫の喉を撫でる。
「あっ! アンリちゃんの顔が変わった! なんかノドが鳴ってる!」
「猫は、こうして喉に触れられると、気持ちが良いんだよ」
「ジョシュア、猫を飼っていたことがあるの?」とアンリ。
「いや。動物行動学の特別講義で、聞いたんだよ。
自分では喉の毛づくろいができないから、人にして貰うと喜ぶそうだね。
機嫌が良い時は、ほら、こんなふうに、しっぽを立てて揺らしたり、
可愛い声で鳴いてくれるそうだよ?」
しっぽが、ゆらゆらと揺れている。
いかにも機嫌が良さそうだ。
猫は更に「にゃあ」と甘えた声を出した。
「おねだり、してるのかい? 本当に可愛い声だね」
ジョシュアが触れると、猫は嬉しそうに眼を細める。
「アンリちゃんは、此処が好きなのかな?」
ごろろと喉が鳴る。
小さな鼻先にジョシュアがそっと口付ける。
「可愛いよ、アンリちゃん」
「…ジョシュア、その猫を僕の名前で呼ばないで」
「こちらのアンリちゃんは、ご機嫌斜めだね?」
「僕は、アンリちゃん、じゃない…」
「あ。俺、そろそろ失礼するよ。教授に呼ばれているんだった」
「非礼を詫びて」
ジョシュアは微笑みながら、アンリの耳許に囁く。
――アンリも、ごろごろして欲しいのかな?
「…さっさと教授の所に行けば」
「じゃ、お言葉に甘えて失礼するね。ユウタもまた後で」
「あ、うん。行ってらっしゃい、ジョシュア」
ユウタはジョシュアの背中を見送る。
たった一言で、アンリを黙らせた。
それだけでもジョシュアは尊敬に値する気がする。
一体、何て言ったんだろう?
「ねね! アンリ、ジョシュアに何て言われたのっ!?」
無言で睨み付けられる。
ユウタは、猫の後ろに顔を隠す。
「助けてっ、アンリちゃん! アンリが目で殺してくるー!
アンリちゃんからアンリに何か言ってやって!」
猫は欠伸する。
「アンリちゃんは俺のことキライなのっ!?
アンリちゃんはアンリの味方なの!?」
「…アンリアンリ煩いな。いい加減止めてくれない?」
「えー。だって他に良い名前思い付かないもん」
「ふうん…そう」
「…な、なに?」
「僕はその猫をユウタと呼ぶね?」
「えー!?」
撫でて貰えなくなった猫が「にゃあ」と甘えた声を出した。
まるで、ジョシュアを呼んでいるかのようだ。
「僕がしてあげるよ、ユウタ?」
アンリが猫の喉に触れてやる。
猫は眼を細める。
「気持ち良いみたいだね、ユウタ。ユウタは、此処が良いの?」
ごろろと喉が鳴る。
小さな鼻先にアンリがそっと口付ける。
「可愛いよ、ユウタ」
ユウタの顔が真っ赤に染まる。
「止めてよ、アンリ!! 俺、恥ずかしいよ…」
「知ってるかい、ユウタ? 仕返し、というものはね、
何倍にもして返すものと、古来から決まっているものなんだよ?」
「仕返しってゆうか、ジョシュアがしたこと、俺で八つ当たりしてないっ!?」
「僕に口答え?」
アンリは人差し指を立てて、
ユウタの喉を、つうと撫でた。
「イッ…ア…」
「へえ。割とイイ声で鳴くんだ?」
「なっ、何するんだよっ…アンリ」
「人も猫みたいに鳴くのかな、と思って」
「俺で実験しないでよっ!」
「ねえ、ユウタ? …気持ち、良かった?」
「よっ、良くないよっ! 俺を猫扱いしないでっ!」
「…最初に、僕を猫扱いしたのは誰だったかな?」
猫が「にゃあ」と鳴く。
「…ごめんなさい」
「僕をからかうと、どうなるか解った?」
「うん。解った…」
「もうしない?」
「しないしない。ごめん、許して、アンリ」
アンリが微笑んで、小首を傾げる。
「許さない」
「えっ…」
アンリが、また猫の喉を撫でる。
ごろろと鳴く。
「こちらのユウタはいい子だね。もっとして欲しいかい、ユウタ?」
白い指が喉を伝う。
先よりゆっくりと。
首から顎まで這うように。
「気持ち良いよね、ユウタ?」
「アンリ…やだってば…」
「僕は嫌じゃない」
猫が鳴く。
「俺は、やだっ…」
「ユウタは静かにしていて? 僕は今ユウタと遊んでいるの」
「ユウタユウタ言うなっ」
「…しっぽ、喜んでるみたいだね」
アンリは愛しげに撫でる。
「…ユウタ。もっと、鳴いて?」
fin
■攻アンリ
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アンリが寮の自室で読書をしていると、
ユウタとジョシュアがやって来た。
ユウタは腕に猫を抱えている。
美しい毛並みの猫。瞳は黄金色。
両腕はだらんと伸ばしている。
特に暴れる様子はなく、大人しくユウタに抱かれているが、
機嫌が悪いのか、かなり、むすっとした表情をしている。
アンリは、その仏頂面を眺めて言う。
「…何、この可愛げのない猫?」
ユウタは、猫の片手を持ち上げて、言った。
「アンリちゃん!」
アンリは猫より憮然とした顔になる。
「…僕を、愚弄しているの?」
「違うよー! 『アンリちゃん』は、この猫の名前! イイでしょっ?」
「良くない。勝手に人の名前を付けないで」
「だってさー、アンリにすっげー似てるじゃん!
でねっ! この猫、女の子だから『アンリちゃん』にしたんだ♪」
「…何処が似ているの?」
「全部! ほら、アンリちゃん?
この人がね、君のお兄さんだよ? 無愛想でしょー?」
ジョシュアが、くすくすと笑う。
「アンリ、可愛い妹が出来て良かったね」
「君まで僕を愚弄するつもり?」
「俺は可愛いと言っただけだよ。
ユウタ。その猫は何処から連れて来たんだい?」
「さっきね、寮の前で歩いてたから、名前付けたんだー」
「そう。ユウタ、俺にも少し抱かせてくれないか?」
「うんっ。いーよー」
アンリちゃんは、ジョシュアの腕の中に入る。
「初めまして、アンリちゃん。俺はジョシュアと言うんだ。
君のお兄さんの友人だよ。よろしく」
ジョシュアが頭を撫でると、迷惑そうな表情を浮かべながらも、
大人しく腕の中に収まっている。
その様子を見て、ジョシュアは可笑しそうに笑う。
「本当にお兄さん似なんだね。可愛いな」
ジョシュアが猫の喉を撫でる。
「あっ! アンリちゃんの顔が変わった! なんかノドが鳴ってる!」
「猫は、こうして喉に触れられると、気持ちが良いんだよ」
「ジョシュア、猫を飼っていたことがあるの?」とアンリ。
「いや。動物行動学の特別講義で、聞いたんだよ。
自分では喉の毛づくろいができないから、人にして貰うと喜ぶそうだね。
機嫌が良い時は、ほら、こんなふうに、しっぽを立てて揺らしたり、
可愛い声で鳴いてくれるそうだよ?」
しっぽが、ゆらゆらと揺れている。
いかにも機嫌が良さそうだ。
猫は更に「にゃあ」と甘えた声を出した。
「おねだり、してるのかい? 本当に可愛い声だね」
ジョシュアが触れると、猫は嬉しそうに眼を細める。
「アンリちゃんは、此処が好きなのかな?」
ごろろと喉が鳴る。
小さな鼻先にジョシュアがそっと口付ける。
「可愛いよ、アンリちゃん」
「…ジョシュア、その猫を僕の名前で呼ばないで」
「こちらのアンリちゃんは、ご機嫌斜めだね?」
「僕は、アンリちゃん、じゃない…」
「あ。俺、そろそろ失礼するよ。教授に呼ばれているんだった」
「非礼を詫びて」
ジョシュアは微笑みながら、アンリの耳許に囁く。
――アンリも、ごろごろして欲しいのかな?
「…さっさと教授の所に行けば」
「じゃ、お言葉に甘えて失礼するね。ユウタもまた後で」
「あ、うん。行ってらっしゃい、ジョシュア」
ユウタはジョシュアの背中を見送る。
たった一言で、アンリを黙らせた。
それだけでもジョシュアは尊敬に値する気がする。
一体、何て言ったんだろう?
「ねね! アンリ、ジョシュアに何て言われたのっ!?」
無言で睨み付けられる。
ユウタは、猫の後ろに顔を隠す。
「助けてっ、アンリちゃん! アンリが目で殺してくるー!
アンリちゃんからアンリに何か言ってやって!」
猫は欠伸する。
「アンリちゃんは俺のことキライなのっ!?
アンリちゃんはアンリの味方なの!?」
「…アンリアンリ煩いな。いい加減止めてくれない?」
「えー。だって他に良い名前思い付かないもん」
「ふうん…そう」
「…な、なに?」
「僕はその猫をユウタと呼ぶね?」
「えー!?」
撫でて貰えなくなった猫が「にゃあ」と甘えた声を出した。
まるで、ジョシュアを呼んでいるかのようだ。
「僕がしてあげるよ、ユウタ?」
アンリが猫の喉に触れてやる。
猫は眼を細める。
「気持ち良いみたいだね、ユウタ。ユウタは、此処が良いの?」
ごろろと喉が鳴る。
小さな鼻先にアンリがそっと口付ける。
「可愛いよ、ユウタ」
ユウタの顔が真っ赤に染まる。
「止めてよ、アンリ!! 俺、恥ずかしいよ…」
「知ってるかい、ユウタ? 仕返し、というものはね、
何倍にもして返すものと、古来から決まっているものなんだよ?」
「仕返しってゆうか、ジョシュアがしたこと、俺で八つ当たりしてないっ!?」
「僕に口答え?」
アンリは人差し指を立てて、
ユウタの喉を、つうと撫でた。
「イッ…ア…」
「へえ。割とイイ声で鳴くんだ?」
「なっ、何するんだよっ…アンリ」
「人も猫みたいに鳴くのかな、と思って」
「俺で実験しないでよっ!」
「ねえ、ユウタ? …気持ち、良かった?」
「よっ、良くないよっ! 俺を猫扱いしないでっ!」
「…最初に、僕を猫扱いしたのは誰だったかな?」
猫が「にゃあ」と鳴く。
「…ごめんなさい」
「僕をからかうと、どうなるか解った?」
「うん。解った…」
「もうしない?」
「しないしない。ごめん、許して、アンリ」
アンリが微笑んで、小首を傾げる。
「許さない」
「えっ…」
アンリが、また猫の喉を撫でる。
ごろろと鳴く。
「こちらのユウタはいい子だね。もっとして欲しいかい、ユウタ?」
白い指が喉を伝う。
先よりゆっくりと。
首から顎まで這うように。
「気持ち良いよね、ユウタ?」
「アンリ…やだってば…」
「僕は嫌じゃない」
猫が鳴く。
「俺は、やだっ…」
「ユウタは静かにしていて? 僕は今ユウタと遊んでいるの」
「ユウタユウタ言うなっ」
「…しっぽ、喜んでるみたいだね」
アンリは愛しげに撫でる。
「…ユウタ。もっと、鳴いて?」
fin
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