×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■ロレートシナリオ
私は携帯電話を握る手から力が抜けそうだった。
「おーい。聞こえたかー、レイナ」
電話越しのエメリーはこんな時でも普段通りの軽い口調だ。
私は携帯を握り直して、一呼吸置いた。
「聞こえている」
「じゃあ、読むぜ?」と言って、同僚の声はこう告げた。
<新しい王子は、闇の血を引く者>
<闇の王子に父親と同じ制裁あれ>
「見付けたのは庭師のケビン・ロロで、発見状況も一通目と同じだ。
十分くらい前に、前と同じ場所で木のお手入れ中に落ちてるのを見付けたんだってさ。
箝口令(かんこうれい)が災いしたな、レイナ。いや、ここは幸いと考えとくか。数は多少絞られるんだから」
一行目が前回と全く同じである以上、一通目を意識して書いたと考えられる。
この二通目は、一通目を書いた人間と同じ。つまり、同一犯という可能性がある。
または、一通目の存在を知っていた、私達のうちの誰かにも書けるということだ。
「解った。すぐ邸に戻る」
「まあ、待てって。こっちから援軍を送るから、そいつらと一緒に、ゆっくり戻って来な。
邸には犯人さんがまだ近くに居るかもしんねーから、すぐに戻られるほうが危険かも、だろ?」
一理ある。私はエメリーに現在地を知らせた。
「了解。それから、いい加減、陛下にはお伝えするぜ? これ以上、ボスをノケモンにしたら俺達絶対お仕置きされる」
「そうだな。頼む」
「あいよ。いいか? キレーな顔にキズ付けんなよ、レイナ」
「ああ。必ずお守りする」
「バーカ。お前の顔だよ、お前の。じゃあな」
電話が終わり、私は殿下の元へ向かう。
すると、こちらを見たホワイトが、殿下に頭を下げ、また売店のほうへ歩いていった。
コーヒーのおかわりでも買いに行ったのだろうか。まさか。私は殿下にお尋ねする。
「ホワイトはどこへ…」
「ラテさん、アンリの様子を見に行ってくれたんです。
最初は、俺が行こうとしたんですけど『殿下はレイナとここでお待ち下さい』って」
「左様ですか」
「でも、やっぱり俺が行ったほうが良かったかもしれません。
仕事が上手くいっていない時のアンリって、ちょっと機嫌が悪いから」
私は正直なところ、ご学友のことなどどうでもいい、と感じていた。
ご学友が電話を終えて戻って来たら、もう全員に話さなくてはいけないだろう。
二通目が発見されたこと、いや、その前に、一通目が届いていたことからだ。
お優しい殿下から、今日初めてお叱りを受けるかもしれない。それも覚悟の上だ。
アイスコーヒーをお飲みになっている隣で、私は殿下にどうお話すべきか考えていた。
「殿下」
ホワイトが戻ってきた。殿下がお尋ねになる。
「電話、まだ長引きそうでしたか?」
ホワイトは、申し訳ありません、と頭を下げた。
「ご友人のお姿を、見付けられませんでした」
→21
私は携帯電話を握る手から力が抜けそうだった。
「おーい。聞こえたかー、レイナ」
電話越しのエメリーはこんな時でも普段通りの軽い口調だ。
私は携帯を握り直して、一呼吸置いた。
「聞こえている」
「じゃあ、読むぜ?」と言って、同僚の声はこう告げた。
<新しい王子は、闇の血を引く者>
<闇の王子に父親と同じ制裁あれ>
「見付けたのは庭師のケビン・ロロで、発見状況も一通目と同じだ。
十分くらい前に、前と同じ場所で木のお手入れ中に落ちてるのを見付けたんだってさ。
箝口令(かんこうれい)が災いしたな、レイナ。いや、ここは幸いと考えとくか。数は多少絞られるんだから」
一行目が前回と全く同じである以上、一通目を意識して書いたと考えられる。
この二通目は、一通目を書いた人間と同じ。つまり、同一犯という可能性がある。
または、一通目の存在を知っていた、私達のうちの誰かにも書けるということだ。
「解った。すぐ邸に戻る」
「まあ、待てって。こっちから援軍を送るから、そいつらと一緒に、ゆっくり戻って来な。
邸には犯人さんがまだ近くに居るかもしんねーから、すぐに戻られるほうが危険かも、だろ?」
一理ある。私はエメリーに現在地を知らせた。
「了解。それから、いい加減、陛下にはお伝えするぜ? これ以上、ボスをノケモンにしたら俺達絶対お仕置きされる」
「そうだな。頼む」
「あいよ。いいか? キレーな顔にキズ付けんなよ、レイナ」
「ああ。必ずお守りする」
「バーカ。お前の顔だよ、お前の。じゃあな」
電話が終わり、私は殿下の元へ向かう。
すると、こちらを見たホワイトが、殿下に頭を下げ、また売店のほうへ歩いていった。
コーヒーのおかわりでも買いに行ったのだろうか。まさか。私は殿下にお尋ねする。
「ホワイトはどこへ…」
「ラテさん、アンリの様子を見に行ってくれたんです。
最初は、俺が行こうとしたんですけど『殿下はレイナとここでお待ち下さい』って」
「左様ですか」
「でも、やっぱり俺が行ったほうが良かったかもしれません。
仕事が上手くいっていない時のアンリって、ちょっと機嫌が悪いから」
私は正直なところ、ご学友のことなどどうでもいい、と感じていた。
ご学友が電話を終えて戻って来たら、もう全員に話さなくてはいけないだろう。
二通目が発見されたこと、いや、その前に、一通目が届いていたことからだ。
お優しい殿下から、今日初めてお叱りを受けるかもしれない。それも覚悟の上だ。
アイスコーヒーをお飲みになっている隣で、私は殿下にどうお話すべきか考えていた。
「殿下」
ホワイトが戻ってきた。殿下がお尋ねになる。
「電話、まだ長引きそうでしたか?」
ホワイトは、申し訳ありません、と頭を下げた。
「ご友人のお姿を、見付けられませんでした」
→21
PR