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Marginal Prince Short Story
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■ロレートシナリオ最終話
■長期プレイ、ありがとうございました!
「私でお役に立てるなら。ジョシュア殿下に忠誠を誓います。これからもお側に、置いて頂けますか、殿下」
「ありがとうございます」
その時の笑顔は、今まで見た中で一番嬉しそうに見えた。
「俺も誓います」
深紅の瞳に見つめられる。
「立派な国王になること、それから、貴方を守ること」
「私を?」
「アンリが誘拐された時、貴方は自分を盾にして、俺を逃がそうとしてくれました。
アンリが言っていたように、任務の上では正しい行動だったと思います。だけど、
俺は怖かった。貴方を失うかもしれないと思ったら、堪らなく、怖かった」
次の瞬間、私は殿下の腕の中に居た。
「お願いです。もう俺の側から離れないで。ずっと側に居て下さい」

潮の香りが風に乗って流れてくる。
聖アルフォンソ島の空港に到着した。正式に殿下専任の側近となってからは初めてだ。
駐車場へ向かう途中、男二人が言い争う声が聞こえてきた。
声を辿り、路地裏を覗くと、いつか見た光景。
「このっ…何してんだよ、ディーノ」
「挨拶だよ、挨拶。イタリアじゃ普通だぜ?」
「ウソこけっ」
アイヴィー様が、壁とマンゾーニに挟まれている。
今日のマフィアは気障な白いコートに黒のワイシャツ。真っ赤なネクタイ。相変わらず趣味が普通でない。
「あんたなあ、用が済んだらチャッチャッと、おうち帰りなさいって言ってんでしょうがっ」
「もうすぐラルちゃんが来んだろ? 俺にもあのドM顔、拝ませろよ」
「ダメ! ラルちゃんが減る! つーか、俺の立場も考えて、マジで!」
「立場? 俺のマブだろ?」
「じゃなくて! 俺は、あんたと仲良く立ち話してるトコ、誰かに見られちゃマズイわけ」
「ああ。禁断の関係ってヤツな」
「や、ちょ、ディーノ。やだっ」
「俺、禁忌を犯すの超スキ」
私は声を上げた。
「マンゾーニ、またお前は…アイヴィー様にご迷惑を掛けるな」
「あっ、ラルちゃん!」
「やっと来たか」
イタリア顔の男がこちらに向かって来る。
「俺のことは、マンゾーニじゃなくて、ディーノって呼んでくれてイイんだぜ?」
マフィアのウインクに鳥肌が走る。奴は馴れ馴れしく話し掛けてきた。
「久し振りだな、元気だったか? ラルちゃん」
「ああ」
「俺様がピンチを救ってやった王子様も、元気にしてるか?」
「…ああ」
「そいつは何よりだ」
恩着せがましい。
望んだわけではないのに、この男に恩を売られてしまった。アイヴィー様の二の舞だ。
「なあ、ラルちゃん。今度、俺んちに遊びに来ないか?」
「お前の家だと…何の為に…」
「ママが『島でできた友達みんな、一度晩ご飯に招待したら?』
って言ってくれてんだよ。サイコーだぜ、ママのパスタは。アイヴィーも来んだろ?」
「誰が行くかー!」
マフィアと親睦を深めるわけにはいかない。
ロレート公国とマフィアに親交があるなどと世間に知れたら、大スキャンダルだ。
「これから殿下をお迎えに行くので、そろそろ失礼する」
「ツレナイな。ますますスキになっちまうだろ?」
イタリアの男は唐突に私の手を取った。
「またな、仔猫ちゃん」
私の手の甲で髭の感触がした。


聖アルフォンソ学院正門前に着くと、既に殿下のお姿があった。
主より遅れて到着するなど、あってはならないことだ。
「お待たせして、申し訳ありません、殿下」
「そんな、俺がちょっと早かっただけですから、気にしないで下さい」
殿下を車にお乗せする。赤信号で止まった時、殿下が口を開いた。
「ラルヴィスさん。お願いがあるんです」
「何なりとどうぞ、殿下」
と言っても、あまり高額なものは困るが。殿下の為にグランドピアノも購入してしまったし。
「何をご所望ですか?」
「あの、公の場では仕方がないですけど、二人きりの時は名前で呼んで欲しいんです」
何かと思えば。
「畏まりました、ジョシュア様」
信号が青になる。
殿下を乗せて、車は走り出した。


fin
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