忍者ブログ
Marginal Prince Short Story
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

■エドガー×ヤン
さやさやと風が月桂樹を撫でていく。
俺――エドガーは、ヤンと一緒に森の泉へ来ていた。
俺達の気に入りの場所で、ヤンがごろりと横になる。

「あったかい」

そこには、亜熱帯植物にも十分な日光が当たっていて、
俺達生徒がシエスタするにも気持ちの良い場所だった。バカみたいな平和な午後だ。
この島に流れてる時間は特別だ。安全で、ゆっくりで、優しい退屈。
それも今年で終わりなのに、俺は祖国に帰らなくちゃいけないのに。
ここでカフェでもやって、じーさんになるまでマスターとかできねえかと夢想する時がある。

「ね、エド。まだ起きてる?」

「んな、すぐ寝れるかよ」

「二人でお昼寝するの、久し振りだね」

「そりゃあ、お前が生徒代表になったからだろ?」

「あ、そっか。僕のせいなのか。ごめん」

「いや、謝ることじゃねーだろ?」

俺達はもう高等部三年。今年が聖アルフォンソ島に居られる最後の年だ。
その一年間、ヤンには重要な責務が課せられた。学院の全てを司る生徒代表に選ばれたのだ。
生徒代表は、マージナルプリンスの中のマージナルプリンスが選ばれるって言われてるけど、
今年の選抜は多分間違ってると俺は思う。

数学にしか興味がなくて、クセみたいに物の数を数えては、
転んだりぶつかったりして、あちこちアザを作ってるこのバカに。
なんで、そんな重い役目を背負わせたのか。

「平気なのか? ヤン」

「ん? なあに?」

「生徒代表って、なんか色々大変なんだろ? 辛いことあったら言えよ?」

ヤンは少し笑って、うん、と軽く頷く。

「エドは、いっつも優しいなあ」

俺のことを優しいなんて言うのは、こいつくらいだ。

「うるせーよ」

上空で鳥達も何か喋ってる。ヤンは眠そうな声で呟いた。

「エドと初めて会ったの、ここだったよね」

「ああ、そうだっけか」


それは、俺が聖アルフォンソ学院に入学してから丁度一年くらい。
島での穏やかで単調な暮らしにもすっかり慣れた中等部二年。
14歳ともなれば、気持ちはもう擦れた大人。子供扱いされることが何より嫌で、
いっこ下の中一どもが、やたらガキに見えて、高等部の野郎どもは、やたら大人に見えた時期だった。
俺はガキでも大人でもない気がして、なんとなく落ち着かず、いつも機嫌悪そうに見えたと思う。

『この学院に入れられた理由』も原因だったかもしれない。
俺はあいつらにとって邪魔者だった。
だから、ヘンピな孤島に捨てられた。
そんなことを、うだうだ気にしてた頃だった。


PR
カレンダー
05 2026/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ブログ内検索
キャラ名、CP名などで作品検索可
アーカイブ
カウンター
バーコード
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]