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■エドガー×ヤン
さやさやと風が月桂樹を撫でていく。
俺――エドガーは、ヤンと一緒に森の泉へ来ていた。
俺達の気に入りの場所で、ヤンがごろりと横になる。
「あったかい」
そこには、亜熱帯植物にも十分な日光が当たっていて、
俺達生徒がシエスタするにも気持ちの良い場所だった。バカみたいな平和な午後だ。
この島に流れてる時間は特別だ。安全で、ゆっくりで、優しい退屈。
それも今年で終わりなのに、俺は祖国に帰らなくちゃいけないのに。
ここでカフェでもやって、じーさんになるまでマスターとかできねえかと夢想する時がある。
「ね、エド。まだ起きてる?」
「んな、すぐ寝れるかよ」
「二人でお昼寝するの、久し振りだね」
「そりゃあ、お前が生徒代表になったからだろ?」
「あ、そっか。僕のせいなのか。ごめん」
「いや、謝ることじゃねーだろ?」
俺達はもう高等部三年。今年が聖アルフォンソ島に居られる最後の年だ。
その一年間、ヤンには重要な責務が課せられた。学院の全てを司る生徒代表に選ばれたのだ。
生徒代表は、マージナルプリンスの中のマージナルプリンスが選ばれるって言われてるけど、
今年の選抜は多分間違ってると俺は思う。
数学にしか興味がなくて、クセみたいに物の数を数えては、
転んだりぶつかったりして、あちこちアザを作ってるこのバカに。
なんで、そんな重い役目を背負わせたのか。
「平気なのか? ヤン」
「ん? なあに?」
「生徒代表って、なんか色々大変なんだろ? 辛いことあったら言えよ?」
ヤンは少し笑って、うん、と軽く頷く。
「エドは、いっつも優しいなあ」
俺のことを優しいなんて言うのは、こいつくらいだ。
「うるせーよ」
上空で鳥達も何か喋ってる。ヤンは眠そうな声で呟いた。
「エドと初めて会ったの、ここだったよね」
「ああ、そうだっけか」
それは、俺が聖アルフォンソ学院に入学してから丁度一年くらい。
島での穏やかで単調な暮らしにもすっかり慣れた中等部二年。
14歳ともなれば、気持ちはもう擦れた大人。子供扱いされることが何より嫌で、
いっこ下の中一どもが、やたらガキに見えて、高等部の野郎どもは、やたら大人に見えた時期だった。
俺はガキでも大人でもない気がして、なんとなく落ち着かず、いつも機嫌悪そうに見えたと思う。
『この学院に入れられた理由』も原因だったかもしれない。
俺はあいつらにとって邪魔者だった。
だから、ヘンピな孤島に捨てられた。
そんなことを、うだうだ気にしてた頃だった。
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さやさやと風が月桂樹を撫でていく。
俺――エドガーは、ヤンと一緒に森の泉へ来ていた。
俺達の気に入りの場所で、ヤンがごろりと横になる。
「あったかい」
そこには、亜熱帯植物にも十分な日光が当たっていて、
俺達生徒がシエスタするにも気持ちの良い場所だった。バカみたいな平和な午後だ。
この島に流れてる時間は特別だ。安全で、ゆっくりで、優しい退屈。
それも今年で終わりなのに、俺は祖国に帰らなくちゃいけないのに。
ここでカフェでもやって、じーさんになるまでマスターとかできねえかと夢想する時がある。
「ね、エド。まだ起きてる?」
「んな、すぐ寝れるかよ」
「二人でお昼寝するの、久し振りだね」
「そりゃあ、お前が生徒代表になったからだろ?」
「あ、そっか。僕のせいなのか。ごめん」
「いや、謝ることじゃねーだろ?」
俺達はもう高等部三年。今年が聖アルフォンソ島に居られる最後の年だ。
その一年間、ヤンには重要な責務が課せられた。学院の全てを司る生徒代表に選ばれたのだ。
生徒代表は、マージナルプリンスの中のマージナルプリンスが選ばれるって言われてるけど、
今年の選抜は多分間違ってると俺は思う。
数学にしか興味がなくて、クセみたいに物の数を数えては、
転んだりぶつかったりして、あちこちアザを作ってるこのバカに。
なんで、そんな重い役目を背負わせたのか。
「平気なのか? ヤン」
「ん? なあに?」
「生徒代表って、なんか色々大変なんだろ? 辛いことあったら言えよ?」
ヤンは少し笑って、うん、と軽く頷く。
「エドは、いっつも優しいなあ」
俺のことを優しいなんて言うのは、こいつくらいだ。
「うるせーよ」
上空で鳥達も何か喋ってる。ヤンは眠そうな声で呟いた。
「エドと初めて会ったの、ここだったよね」
「ああ、そうだっけか」
それは、俺が聖アルフォンソ学院に入学してから丁度一年くらい。
島での穏やかで単調な暮らしにもすっかり慣れた中等部二年。
14歳ともなれば、気持ちはもう擦れた大人。子供扱いされることが何より嫌で、
いっこ下の中一どもが、やたらガキに見えて、高等部の野郎どもは、やたら大人に見えた時期だった。
俺はガキでも大人でもない気がして、なんとなく落ち着かず、いつも機嫌悪そうに見えたと思う。
『この学院に入れられた理由』も原因だったかもしれない。
俺はあいつらにとって邪魔者だった。
だから、ヘンピな孤島に捨てられた。
そんなことを、うだうだ気にしてた頃だった。
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