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■アンリ
「だんだん、暑くなってきたね」
たまたま、ハルヤと二人でサロンに居た時のこと。
僕はふいに話し掛けられた。本を読んでいたのに。
「夏が近付いてくるとさ、なんかテオを思い出しちゃうよね」
しかも、意味が解らない。
「僕は思い出さないけれど? これっぽっちも」
苦笑いされる。
「あのー、テオってさ、海とか船とか、好きだったじゃん?
『夏は私の季節なのだよ』って豪語してたし」
「それで? 何が言いたいの? 結論を最後までとっておく、
もたもたした話し方は、日本では良いとされている習慣なのかな?」
「えっ? 俺、もたもたしてた?」
「君だけでなく、ユウタもね」
「そ、そうだったんだ。ごめん。俺、そんなつもりなかったんだけど」
もし、そんなつもりで喋ってるんなら、とっくに、存在を脳内消去している。
「で、あの人がどうかした?」
「ああ、いや、ちょっとテオのこと思い出して、
元気かなあって思っただけだから、結論って言うほどの結論はなくて……」
テオはハルヤのことを、東洋の黒い真珠と呼び、偉く可愛がっていた。
卒業後も思い出して貰えて、あの人も本望だろう。
「どうでもいい話に付き合わせてくれてありがとう」
「あっ」
「何?」
「今日も美しい氷の微笑だね。なんちゃって」
むかつく。
真珠のくせになまいきだ。
fin
「だんだん、暑くなってきたね」
たまたま、ハルヤと二人でサロンに居た時のこと。
僕はふいに話し掛けられた。本を読んでいたのに。
「夏が近付いてくるとさ、なんかテオを思い出しちゃうよね」
しかも、意味が解らない。
「僕は思い出さないけれど? これっぽっちも」
苦笑いされる。
「あのー、テオってさ、海とか船とか、好きだったじゃん?
『夏は私の季節なのだよ』って豪語してたし」
「それで? 何が言いたいの? 結論を最後までとっておく、
もたもたした話し方は、日本では良いとされている習慣なのかな?」
「えっ? 俺、もたもたしてた?」
「君だけでなく、ユウタもね」
「そ、そうだったんだ。ごめん。俺、そんなつもりなかったんだけど」
もし、そんなつもりで喋ってるんなら、とっくに、存在を脳内消去している。
「で、あの人がどうかした?」
「ああ、いや、ちょっとテオのこと思い出して、
元気かなあって思っただけだから、結論って言うほどの結論はなくて……」
テオはハルヤのことを、東洋の黒い真珠と呼び、偉く可愛がっていた。
卒業後も思い出して貰えて、あの人も本望だろう。
「どうでもいい話に付き合わせてくれてありがとう」
「あっ」
「何?」
「今日も美しい氷の微笑だね。なんちゃって」
むかつく。
真珠のくせになまいきだ。
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