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Marginal Prince Short Story
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■アンリ
体育の時間が終わった後、
ウーティスの寮生が連れだって、グランドから寮へ向かっていた。
仲良しごっこをしてるわけではなく、単に向かう場所が同じだからだ。

授業中、あれだけ走り回っていた単細胞と日本オタクは今も元気で、
ユウタを追い駆け回して遊んでいる。犬みたい。
眼鏡の日本人は、呆れた様子で彼等の後ろを歩いてた。ああ、ほら、ユウタが息切れしてる。
今日はバスケットボールだったから無理もない。どうして体育が必須科目なんだろう。疲れる。

「アイスティが飲みたい」

そう僕が零すと、隣を歩いているジョシュアが笑顔を見せながら、

「アンリはすぐ紅茶切れになるね?」

「サロンに戻ったら、すぐに淹れて。リーフは」

「マスカット?」

信じられない。

「どうして、解ったの?」

「付き合いが長いから、かな」

だからと言って、数あるリーフの中から、今僕が飲みたいものなんて、言い当てられる筈がない。
手品を見せられたような気分だ。彼は急にクスリと笑った。

「ごめん。そんなに驚かせてしまうとは思わなくて。
先週だったかな? マスカットのフレーバーティ、アンリ、気に入っていただろう?
その時、バトラーが『これはアイスティにしても美味しいですよ』って言っていたから」

聞き慣れた音楽が流れた。ユウタが慌ててポケットに手を入れた。
周りに居る連中も、それが誰から掛かってきた電話なのかまで解ったようで、
ふざけるのをピタッと止めて、音楽の元に集まる。ジョシュアでさえ、そちらに視線を送っていた。
ユウタは携帯電話を耳に当てた。

「もしもし、姉貴? どうしたの? うわあ、ちょっと、みんな~」

群がってる。

「こんにちは! ごきげんいかがですか?」

「ハロー! 元気にしてたかい?」

「ちょ、ちょっと待ってよ、姉貴はまだ俺と話してっ」

「俺に掛けてきてくれたんだろ?」

「僕ですよね? ……え? お姉さん、今なんて?」

あの二人に用があったんじゃないらしい。
そうだろうとは思ったけれど。
彼女が求めてるのは、この僕に決まってる。

「きょ、今日はユウタに用事なんですか!?」

むかつく。
弟のくせになまいきだ。


fin
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