忍者ブログ
Marginal Prince Short Story
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

■アンリ
ミハイルに用事があって、シュヌーシアに訪れた帰り。
どこからか、微かな声が聞こえた。しかも、女性の。
ソプラノ歌手の歌声のようにも、遠くから聞こえる叫び声のようにも感じる。

でも、聖アルフォンソ学院は男子校。教職員を含めても、女性は一人も居ない筈。
まだ聞こえる。本当に小さな声だ。
気になって、声のするほうに向かってみると、保健室に着いてしまった。

窓から見えたのは白衣の背中、一つに束ねた長い髪。
僕の大嫌いな保健教師だ。
スタニスラフ・ニコライエヴィッチ・ソクーロフ。
後ろ姿を見るだけで寒気がする。

しかし、あれは何をしているんだろう。
何もない宙で両手を動かしている。不気味だ。

観察しているうちに、あの手の動きに合わせて、女性の声がするのが解った。
指揮者ごっこ?

彼は生徒によって、カウンセリング手法を変えると聞く。
誰か用のカウンセリングの準備でもしてるのだろうか。僕は彼と最低限しか話さないから、よく知らないけれど。

彼の奥に、箱みたいな物が見えた。
それでやっと解った。
あの箱は電子楽器。名前は、何だったかな。
確か、目には見えない電子の弦を弾いて音を出す、テルミンだ。

彼に、あんな繊細な楽器が弾けるなんて。

不思議な音色。バイオリンやピアノとは違う。
早くここから離れなくちゃいけないのに。足が動かない。

物悲しい旋律が、滲みてくる。

むかつく。
サディストのくせになまいきだ。


fin
PR
カレンダー
06 2026/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
キャラ名、CP名などで作品検索可
アーカイブ
カウンター
バーコード
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]