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■テオ×クラウス
■過去の拍手お礼
今日のウーティス寮サロンには、シュヌーシア寮のクラウスとテオが来ていた。
ウーティスに遊びに行きたくなったテオが、強引にクラウスを引っ張ってきたのである。
全校の中でも人気のある二人組の登場に、放課後のサロンは俄かに賑やかになる。
生徒代表のクラウスは、高等部一年のシルヴァンに掴まっていた。
嫌そうな顔をしながらも、クラウスは後輩の相手をしている。
「それで、また外出届を提出せずに、遊びに行ったのか、お前は。
何故、そんな簡単な規則が守れない」
「だって、面倒じゃないですか」
「面倒などという問題ではないだろう」
小言を言われる度シルヴァンは楽しそうに笑っている。
「クラウスってば本当にお父さんみたいですよねっ! もっと叱って下さい、お父さん」
「あのなあ」
「そこの人達。もう少し静かにしてくれない?」
隅の席から冷たい毒舌が飛んでくる。
「すみません、アンリ」
シルヴァンが謝る。クラウスは声を潜めた。
「相変わらずだな、あいつは」
「ご機嫌なアンリの方が怖いですよ。想像できます?」
クラウスは機嫌の良いアンリを想像して身震いした。
「……いや」
「でしょう? やっぱりバニラボイスは、ひんやり冷たくないと」
「バニラ?」
「ほら、テオも楽しそうですよ?」
テオはアンリの前で、いつものように感動を言葉にしていた。
「ああ、なんと美しい氷の微笑なのだろう。氷の国のお姫様のようだ」
テオは以前から、この美しい中等部三年生を可愛がっていた。
ミステリアスな家柄、永遠と言われる美貌、小生意気な性格、その全てに心惹かれていた。
アンリは、そんなテオのことが得意ではなかった。
「もう少し離れてくれないかな、テオ。僕、本を読んでるの」
「ああ、その氷、私の手で溶かしてあげたい」
「クラウス。この人、シュヌーシアに連れて帰って」
「アンリ、先輩に噛み付くなよ。すみません、クラウス、テオ」
高等部一年のジョシュアが、友人の代わりに頭を下げる。
「構わないのだよ、ジョシュア。私はこの氷も含めて愛おしいのだから」
ドアがノックされる。頭を下げて現れたのはバトラーだった。
「ご歓談中、失礼致します。もうすぐディナーのお時間ですが、
クラウス様、テオ様は、どうなさいますか?」
生徒代表は掛け時計を見上げる。
「もうそんな時間か。すまない、バトラー、俺達のことは構わなくていい」
「そうだね。私達はお暇するよ、姫君のご機嫌を損ねないうちに」
「充分過ぎる程、損ねたと思うが」
クラウスのマジツッコミが、他の生徒達の笑いを誘っている。
「クラウス! 今日はウーティスで食べていって下さいよ!」
シルヴァンが引き止める。しかし、生徒代表は断った。
「突然ではシェフも困るだろう。また今度な」
「今夜、シュヌーシアはハンバーグ、だものね?」
テオの笑顔からクラウスが目を背ける。
「……関係ない」
生徒達が一斉に笑い出す。
生徒代表は顔をしかめながら、耳を赤くしていた。
皆が一頻り笑ったところで、テオが腰を上げた。
「ではね、みんな。楽しい午後をありがとう。また遊びに来るよ」
「ええ。また来て下さいね、クラウス、テオ」
ジョシュアは先輩達を見送る。シルヴァンは手を振っている。
「お父さーん、いってらっしゃーい。早く帰って来て下さいねー!」
「俺のことをお父さんって言うなっ!」
「今度ウーティスがハンバーグの時にご招待しますからー!」
「呼ばんでいいっ! お、お前ら、笑うなっ!」
「あー、楽しかったっ!」
シュヌーシアへの帰り道。
少々ぐったりしているクラウスの隣で、テオはキラキラと笑っている。
「ウーティス寮も素晴らしいよね! なんと個性的なのだろう!」
「個性的……お前が言うか。個性の塊のくせに。それに、ウーティスは問題児ばかりで疲れる」
「おや。クラウス? 何を怒っているの?」
「怒ってなどいない」
「嬉しいな」
「何が」
「いいや。気にしないでおくれ」
クラウスとテオがシュヌーシアに戻ると、中等部が集まってきた。
小学校を出たばかりの幼い肢体。変声期もまだ迎えていない。
背の低い少年達は、クラウスの傍を通り過ぎて、テオを取り囲んだ。
「テオー。どこ行ってたんだよー!」
中等部が可愛くて仕方がない高等部二年は、自然と優しい笑顔になる。
「すまない。ウーティスの花達を愛でてきたのだよ」
少年達は首を傾げ、顔を見合わせる。
「花? 咲いてたっけ?」
「裏庭の方じゃない?」
「それよりテオ、ご飯食べたら、昨日の続きしよ!」
「ああ、そうだね」
中等部が最高学年の手を取る。
「ね、クラウスも一緒にあそぼ?」
小さい手に握られ、生徒代表は少し戸惑いながら尋ねる。
「遊びって、何をするんだ? お前達」
中等部達は笑顔で声を揃える。
「おままごとー!」
クラウスは頭痛がした。
「……年を考えろ、中学生にもなって。特に、そこの17歳!」
「何を言ってるんだい、クラウス。これも演劇の授業の一環なのだよ?」
「そ、そうなのか?」
「あなた、おかえりなさい。ごはんにする? それとも」
「俺をお父さん役にするなあ!」
fin
■過去の拍手お礼
今日のウーティス寮サロンには、シュヌーシア寮のクラウスとテオが来ていた。
ウーティスに遊びに行きたくなったテオが、強引にクラウスを引っ張ってきたのである。
全校の中でも人気のある二人組の登場に、放課後のサロンは俄かに賑やかになる。
生徒代表のクラウスは、高等部一年のシルヴァンに掴まっていた。
嫌そうな顔をしながらも、クラウスは後輩の相手をしている。
「それで、また外出届を提出せずに、遊びに行ったのか、お前は。
何故、そんな簡単な規則が守れない」
「だって、面倒じゃないですか」
「面倒などという問題ではないだろう」
小言を言われる度シルヴァンは楽しそうに笑っている。
「クラウスってば本当にお父さんみたいですよねっ! もっと叱って下さい、お父さん」
「あのなあ」
「そこの人達。もう少し静かにしてくれない?」
隅の席から冷たい毒舌が飛んでくる。
「すみません、アンリ」
シルヴァンが謝る。クラウスは声を潜めた。
「相変わらずだな、あいつは」
「ご機嫌なアンリの方が怖いですよ。想像できます?」
クラウスは機嫌の良いアンリを想像して身震いした。
「……いや」
「でしょう? やっぱりバニラボイスは、ひんやり冷たくないと」
「バニラ?」
「ほら、テオも楽しそうですよ?」
テオはアンリの前で、いつものように感動を言葉にしていた。
「ああ、なんと美しい氷の微笑なのだろう。氷の国のお姫様のようだ」
テオは以前から、この美しい中等部三年生を可愛がっていた。
ミステリアスな家柄、永遠と言われる美貌、小生意気な性格、その全てに心惹かれていた。
アンリは、そんなテオのことが得意ではなかった。
「もう少し離れてくれないかな、テオ。僕、本を読んでるの」
「ああ、その氷、私の手で溶かしてあげたい」
「クラウス。この人、シュヌーシアに連れて帰って」
「アンリ、先輩に噛み付くなよ。すみません、クラウス、テオ」
高等部一年のジョシュアが、友人の代わりに頭を下げる。
「構わないのだよ、ジョシュア。私はこの氷も含めて愛おしいのだから」
ドアがノックされる。頭を下げて現れたのはバトラーだった。
「ご歓談中、失礼致します。もうすぐディナーのお時間ですが、
クラウス様、テオ様は、どうなさいますか?」
生徒代表は掛け時計を見上げる。
「もうそんな時間か。すまない、バトラー、俺達のことは構わなくていい」
「そうだね。私達はお暇するよ、姫君のご機嫌を損ねないうちに」
「充分過ぎる程、損ねたと思うが」
クラウスのマジツッコミが、他の生徒達の笑いを誘っている。
「クラウス! 今日はウーティスで食べていって下さいよ!」
シルヴァンが引き止める。しかし、生徒代表は断った。
「突然ではシェフも困るだろう。また今度な」
「今夜、シュヌーシアはハンバーグ、だものね?」
テオの笑顔からクラウスが目を背ける。
「……関係ない」
生徒達が一斉に笑い出す。
生徒代表は顔をしかめながら、耳を赤くしていた。
皆が一頻り笑ったところで、テオが腰を上げた。
「ではね、みんな。楽しい午後をありがとう。また遊びに来るよ」
「ええ。また来て下さいね、クラウス、テオ」
ジョシュアは先輩達を見送る。シルヴァンは手を振っている。
「お父さーん、いってらっしゃーい。早く帰って来て下さいねー!」
「俺のことをお父さんって言うなっ!」
「今度ウーティスがハンバーグの時にご招待しますからー!」
「呼ばんでいいっ! お、お前ら、笑うなっ!」
「あー、楽しかったっ!」
シュヌーシアへの帰り道。
少々ぐったりしているクラウスの隣で、テオはキラキラと笑っている。
「ウーティス寮も素晴らしいよね! なんと個性的なのだろう!」
「個性的……お前が言うか。個性の塊のくせに。それに、ウーティスは問題児ばかりで疲れる」
「おや。クラウス? 何を怒っているの?」
「怒ってなどいない」
「嬉しいな」
「何が」
「いいや。気にしないでおくれ」
クラウスとテオがシュヌーシアに戻ると、中等部が集まってきた。
小学校を出たばかりの幼い肢体。変声期もまだ迎えていない。
背の低い少年達は、クラウスの傍を通り過ぎて、テオを取り囲んだ。
「テオー。どこ行ってたんだよー!」
中等部が可愛くて仕方がない高等部二年は、自然と優しい笑顔になる。
「すまない。ウーティスの花達を愛でてきたのだよ」
少年達は首を傾げ、顔を見合わせる。
「花? 咲いてたっけ?」
「裏庭の方じゃない?」
「それよりテオ、ご飯食べたら、昨日の続きしよ!」
「ああ、そうだね」
中等部が最高学年の手を取る。
「ね、クラウスも一緒にあそぼ?」
小さい手に握られ、生徒代表は少し戸惑いながら尋ねる。
「遊びって、何をするんだ? お前達」
中等部達は笑顔で声を揃える。
「おままごとー!」
クラウスは頭痛がした。
「……年を考えろ、中学生にもなって。特に、そこの17歳!」
「何を言ってるんだい、クラウス。これも演劇の授業の一環なのだよ?」
「そ、そうなのか?」
「あなた、おかえりなさい。ごはんにする? それとも」
「俺をお父さん役にするなあ!」
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