×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■テオ×クラウス
■共にある奇蹟(2) 続編
シュヌーシア寮サロン。
テオ特注の鳩時計が鳴る。サロンで遊んでいた寮生達が時計を見上げた。
鳩代わりのナイチンゲールが深夜を告げている。
クラウスが居なくなってから、初めての就寝時間が訪れた。
「あ、もう、寝る時間だね」
「だな」
「えー。今、いいとこじゃん。ね、もうちょっとだけ」
「止めとけ止めとけ。そんなことしてたら、クラウスがドイツから飛んできちまう」
「俺達を怒る為だけにー?」
「やりかねないな、クラウスなら」
「だろ? 『コラー! お前達ー!』とか言って!」
皆が笑う。笑いが治まるとサロンは、シンとなった。
「んじゃ、今日は寝てやりますかっ」
「寝てやろう寝てやろう」
「うん。そうだよね」
「おやすみー」
ラビの部屋では、レオンが我が物顔でベッドに寝そべり、マンガを読んでいた。
うつ伏せで、時々、足を振っている。
レオンは度々、ラビが持っているシリーズ物のマンガを読んでいく。
ラビは「全部貸してあげるから、部屋に持っていって良いよ」と前から言っているのだが、
レオンは「借りたら返すのが面倒」らしく、ラビの部屋に居座って読むようになったのだ。
ラビはベッドの前に立って、声を掛けた。
「ねえ、レオン。もう寝なきゃいけない時間だよ?」
すると、レオンはマンガを読みながら、壁際に身体を寄せた。
ラビが眠れるだけのスペースが空く。
「ほい」
「そうじゃなくて。ここは僕のベッド」
レオンは顔を上げず、ページをめくる。
「だから、場所、空けてやっただろ? 寝れば?」
「もー。じゃあ、僕は寝るからね?」
ラビはレオンの隣に入る。ブランケットを引き寄せ、仰向けに寝た。
レオンは相変わらず、うつ伏せのまま読書中だ。
二人は会話しなかった。ページをめくる音だけがする。
一分間ほどの沈黙の後、ラビは天井を見ながら呟いた。
「クラウス、もうドイツに着いたかな?」
「着いただろ」
「クラウス、寂しくないかな? 僕達と離れて」
「寂しくないだろ」
「クラウ」
「だー!」
レオンはマンガを閉じる。
「クラウスクラウス言うな! 卒業しちまったもんはしょーがねーだろ!」
「だって、やっぱり、クラウスが居ないと、寂し……」
「また泣くー! お前、昼間、散々泣いてたじゃん!」
普段から泣き虫なラビは、今日クラウスを見送った後も、ずっとめそめそしていた。
今も目は真っ赤である。明日になったら目元は腫れてしまうだろう。
ラビはブランケットで涙を拭いながら、
「なんでレオンは、一回も泣かないの? 悲しくないの?」
「泣いたら、クラウスが帰ってくんのかよ」
ラビはもう一度涙を拭う。
レオンはマンガをサイドテーブルに置いた。頭の後ろで手を組んで、仰向けになる。
ブランケットからラビが顔を出す。
「テオは大丈夫なのかな? テオが一番、クラウスと仲良かったから」
「大丈夫だろ、テオだし」
「でも、僕がテオだったら、大丈夫じゃないよ。
だって、レオンが僕より先に卒業しちゃうってことでしょ?」
ラビの目から見ても、テオが一番大切にしてる友達はクラウスだった。
テオの親友がクラウスだったように、ラビの親友はレオンなのだ。
「僕、レオンが先に卒業しちゃったら、困る」
「俺達は同じ学年なんだから、あいつらみたいにはならないだろ」
「うん。ねえ、僕達、同じ日に卒業できないかな?」
「同じ日?」
「そしたら、どっちかが先になったりしないでしょ? ね、そうしよ?」
「解んねえよ、そんな先のこと。あと五年も先の話だぜ?」
「五年……あと五年しか、ここに居られないんだ……」
「充分だろ。入学から卒業まで六年間もあるんだぜ?」
「僕はもっとレオンと一緒に」
「俺達は六年だけど、あいつらは三年だったんだ」
テオは中等部一年から学院に入ったが、クラウスが入学したのは高等部一年。
二人が共に過ごした時間は三年間。レオンは呟く。
「六年は充分、長いんだよ」
泣き腫らしたラビの目にまた涙が溜まっていく。
「僕、卒業なんてしたくない。ずっとシュヌーシアに居たい」
レオンは天井を見上げたまま、静かに言った。
「無理だろ」
→
■共にある奇蹟(2) 続編
シュヌーシア寮サロン。
テオ特注の鳩時計が鳴る。サロンで遊んでいた寮生達が時計を見上げた。
鳩代わりのナイチンゲールが深夜を告げている。
クラウスが居なくなってから、初めての就寝時間が訪れた。
「あ、もう、寝る時間だね」
「だな」
「えー。今、いいとこじゃん。ね、もうちょっとだけ」
「止めとけ止めとけ。そんなことしてたら、クラウスがドイツから飛んできちまう」
「俺達を怒る為だけにー?」
「やりかねないな、クラウスなら」
「だろ? 『コラー! お前達ー!』とか言って!」
皆が笑う。笑いが治まるとサロンは、シンとなった。
「んじゃ、今日は寝てやりますかっ」
「寝てやろう寝てやろう」
「うん。そうだよね」
「おやすみー」
ラビの部屋では、レオンが我が物顔でベッドに寝そべり、マンガを読んでいた。
うつ伏せで、時々、足を振っている。
レオンは度々、ラビが持っているシリーズ物のマンガを読んでいく。
ラビは「全部貸してあげるから、部屋に持っていって良いよ」と前から言っているのだが、
レオンは「借りたら返すのが面倒」らしく、ラビの部屋に居座って読むようになったのだ。
ラビはベッドの前に立って、声を掛けた。
「ねえ、レオン。もう寝なきゃいけない時間だよ?」
すると、レオンはマンガを読みながら、壁際に身体を寄せた。
ラビが眠れるだけのスペースが空く。
「ほい」
「そうじゃなくて。ここは僕のベッド」
レオンは顔を上げず、ページをめくる。
「だから、場所、空けてやっただろ? 寝れば?」
「もー。じゃあ、僕は寝るからね?」
ラビはレオンの隣に入る。ブランケットを引き寄せ、仰向けに寝た。
レオンは相変わらず、うつ伏せのまま読書中だ。
二人は会話しなかった。ページをめくる音だけがする。
一分間ほどの沈黙の後、ラビは天井を見ながら呟いた。
「クラウス、もうドイツに着いたかな?」
「着いただろ」
「クラウス、寂しくないかな? 僕達と離れて」
「寂しくないだろ」
「クラウ」
「だー!」
レオンはマンガを閉じる。
「クラウスクラウス言うな! 卒業しちまったもんはしょーがねーだろ!」
「だって、やっぱり、クラウスが居ないと、寂し……」
「また泣くー! お前、昼間、散々泣いてたじゃん!」
普段から泣き虫なラビは、今日クラウスを見送った後も、ずっとめそめそしていた。
今も目は真っ赤である。明日になったら目元は腫れてしまうだろう。
ラビはブランケットで涙を拭いながら、
「なんでレオンは、一回も泣かないの? 悲しくないの?」
「泣いたら、クラウスが帰ってくんのかよ」
ラビはもう一度涙を拭う。
レオンはマンガをサイドテーブルに置いた。頭の後ろで手を組んで、仰向けになる。
ブランケットからラビが顔を出す。
「テオは大丈夫なのかな? テオが一番、クラウスと仲良かったから」
「大丈夫だろ、テオだし」
「でも、僕がテオだったら、大丈夫じゃないよ。
だって、レオンが僕より先に卒業しちゃうってことでしょ?」
ラビの目から見ても、テオが一番大切にしてる友達はクラウスだった。
テオの親友がクラウスだったように、ラビの親友はレオンなのだ。
「僕、レオンが先に卒業しちゃったら、困る」
「俺達は同じ学年なんだから、あいつらみたいにはならないだろ」
「うん。ねえ、僕達、同じ日に卒業できないかな?」
「同じ日?」
「そしたら、どっちかが先になったりしないでしょ? ね、そうしよ?」
「解んねえよ、そんな先のこと。あと五年も先の話だぜ?」
「五年……あと五年しか、ここに居られないんだ……」
「充分だろ。入学から卒業まで六年間もあるんだぜ?」
「僕はもっとレオンと一緒に」
「俺達は六年だけど、あいつらは三年だったんだ」
テオは中等部一年から学院に入ったが、クラウスが入学したのは高等部一年。
二人が共に過ごした時間は三年間。レオンは呟く。
「六年は充分、長いんだよ」
泣き腫らしたラビの目にまた涙が溜まっていく。
「僕、卒業なんてしたくない。ずっとシュヌーシアに居たい」
レオンは天井を見上げたまま、静かに言った。
「無理だろ」
→
PR