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Marginal Prince Short Story
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■マジプラス ~マージナルプリンスafter story~
■アイヴィー×姉貴(新婚モード) ※ドリーム機能版はこちら

聖アルフォンソ島南西部。海に近い崖っぷちのコテージ。
そこに一台の黒いタクシーが止まる。後部座席の窓からアルフレッドが外を見た。
「車は……よしっ、二台しかないぞ! 敵は居ないな!」
シルヴァンはニコニコしながら敬礼する。
「キャプテン! 出撃するなら今かと!」
ハルヤは苦笑している。
(あーあ。また始まっちゃったよ、海賊ごっこ)
船長アルフレッドは車の中で右手を掲げる。
「乗り込むぞ、野郎ども! 敵に奪われた宝を奪い返すのだー!」
「おー!」
アルフレッドとシルヴァンは、ここまで乗せてくれたドライバーに、
「サンキュ」「ありがとうございましたー」とお礼を言って、タクシーを降りた。
海賊ごっこはまだ続いているようで右手の拳を挙げながらダッシュでコテージに向かっている。
おそらく彼等の右手には見えない剣が握られているのだろう。
「煩くてすみません。ありがとうございました」
ハルヤは、やや恥ずかしそうにドライバーにそう言って、二人を追い駆けた。


「##NAME1##、会いに来たぜ!」
「遊びに来ちゃいましたー! ##NAME1##~!」
「お邪魔しまーす」
アポなしでやってきたデッドプリンスの三人は##NAME1##を驚かせた。
「何か作ってくれなきゃ帰らない」と言われ、ホットケーキを作った。
あっという間に完食した三人は、##NAME1##を囲んで、
食後のインスタントコーヒーを飲んでいる。
アルフレッドは頬杖を突きながら、##NAME1##を眺めていた。
新妻となった彼女の横顔でさえ幸せそうだった。
アルフレッドは大きな溜め息を吐いた。
「ったく、##NAME1##は俺のジュリエットだったのに。
アイヴィーに取られるとは思わなかったぜ」
ハルヤはオリエンタルスマイルを見せる。
「寝耳に水だったよね」
日本人の彼女を見ていたからか、ハルヤの口から思わず母国語が出た。
「あんだって? ネミミミ……? 日本語か?」
「あ、ごめん、突然で驚いたって言ったんだ。
ほんとにビックリしたよ。急に『結婚しました』って言われたんだもん」
シルヴァンが手を挙げる。
「僕は、お二人の仲が進展してることに気付いてましたー」
「ああ!? マジかよ、シルヴァン! 気付いてたんなら俺達にも言えよ!」
「でも、既に時遅しってかんじで、アイヴィーも幸せそうでしたし。
僕達としても、アイヴィーなら許せるじゃないですか、ギリギリ」
「……まあ、ギリな、ギリ!」
「ところでさ、##NAME1##。今、なんか煮物みたいなの作ってる?
さっきから、いい匂いがするんだけど?」
##NAME1##が「はい」と言うと、今食べたばかりの三人が「味見する」とキッチンに向かった。
##NAME1##が鍋の蓋を開ける。ふわっと醤油の香りがした。
アルフレッドは首を傾げていた。
「ん? これ何て料理?」
ハルヤは料理を見つめながら、
「肉じゃがだよ。そうだよね? すごいなあ。美味しそう」
「これが、あの有名なニクジャガですか! 男をメロメロにする代表料理ですね!
僕、ジャパニメーションで見たことありますー!」
「……前から気になってたんだけど、シルヴァンって、どんなアニメ見てるの?」
味見味見、と三人の『味見し隊』にせがまれ、小皿に取ったものを渡した。
味はなかなか好評だったようで、「おかわり」を要求されたが、
このままだと、なくなってしまいそうなのでリビングに戻って貰った。

二杯目のコーヒーを飲みながら、四人のお喋りが続く。
「それでー、##NAME1##? いかがです? アイヴィーとの新婚生活は。
彼は仕事から帰ってくるのが遅い日もあるでしょう?」
##NAME1##が頷くと、シルヴァンは手を合わせた。
「淋しい夜はいつでも呼んで下さいね? 僕、飛んできますから♪」
ハルヤがコーヒーを吹きそうになる。ゴホゴホと咳き込みながら、
「ちょ、シルヴァン、な、何言ってんの?」
「だってー、今の##NAME1##、すごくお綺麗ですし。新妻萌えですー♪」
アルフレッドは##NAME1##の手を握っていた。
「##NAME1##! 呼ぶのは俺にしろ! なっ?」
「##NAME1##、僕ですよね♪」
「もう止めなよ、二人とも。ごめんね、##NAME1##」
その後も、##NAME1##とデッドプリンスのお喋りは続いた。
ピンポーンとドアチャイムが鳴った。
ディナータイム前に迎えに来るよう頼んでいたタクシーが来た。
三人は「また遊びに来る」と言い残し、寮へ帰っていった。


警備本部。
アイヴィーは理事会への定期報告書をパソコンで作成しているところだった。
「締まりのない顔ですね」
隣の席から冷たい言葉が飛んできた。
副司令官のラインハルト・クロイツである。
「どうせ奥様のお顔でも思い出していたんでしょう?
これだから嫌だったんですよ。業務に差し支えるようでは困ります」
「ダ、ダイジョブだって。そんなコワイ顔しないでよ、クロちゃん」
「あまり言いたくはありませんが、ご結婚されてから、貴方は変わりました。残念です」
「そう? どこが?」
「私が少し目を離すと職務怠慢気味だった貴方が、
定時で上がれるよう、雑務はテキパキと終わらせるようになりましたし」
「うん……え、良いことじゃない?」
「以前は退勤時刻になっても職場でダラダラしていたのに、
今では、そそくさとお帰りになるし」
「うん……てか、昔から、時間になったらさっさと帰れって言ってたのクロちゃんじゃ……」
「何より、変わったのは、目ですが」
「目?」
「ご自分では解らないでしょうね。私は、貴方が時折見せるあの目が」
「え?」
「いえ。報告書作成中、失礼しました。どうぞ続けて下さい」

パパッと文章を書いて、メール送信。大して時間はかからなかった。
夕方の定期ミーティングは、ネット参加ではなく、生徒代表室まで足を運んだ。

それもサクサク終わり、アイヴィーはソクーロフと共に生徒代表室を出た。
廊下の窓から見える空も夜に近い色になっていた。
「ねえ。ソクちゃん、今夜……あ、いや、何でもない」
「私の顔を見ると、反射的に夕食に誘ってしまう、か」
「ゴメン。ついクセで」
「そう言えば、最近は行っていなかったな。お前が一人暮らしを止めてから」
白衣の内側から出てきたメスが、アイヴィーの頬に当てられる。
「彼女を泣かせるようなことはしていないか?」
「し、してないですから、メスは止めて……」


仕事用の車でアイヴィーは自宅に向かう。
海の側にあるコテージが見えてきた時、窓に明かりが灯っているのも見えた。
一人暮らしの時には有り得なかった風景だ。
些細なことだが、ハンドルを握りながらニヤついてしまう。
クロイツに「締まりがない顔」だと注意されたことを思い出す。
ニヤニヤしながら帰宅するのもヘンかなと思い、
自分の頬に触れ、一度深呼吸してから、ドアを開けた。
すると、そこに##NAME1##が立っていた。車の音で帰ってきたことが解ったのだろう。
おかえりなさい、と言われ、アイヴィーは少し照れながら、
「た、ただいま」


二人で夕食を食べた後。アイヴィーは伝言を思い出した。
「あ、そだ。あのね? さっきソクちゃんに言われたんだ。
今度一緒に飲みに行かないかって、##NAME1##ちゃんと俺とソクちゃんの三人で。
##NAME1##ちゃん、どーする?」
「行く!」と##NAME1##が即答する。
「ちょ、ちょっと、##NAME1##ちゃん。そんな嬉しそうにしなくても……」
アイヴィーは少しいじける。
「前から思ってたけど、##NAME1##ちゃんって、
ソクちゃんのこと好きだよね……でも、イチバンはっ」
俺でしょ!? そう言いそうになった自分を止めた。
何、妬いてんの、俺。結婚してくれたんだからイチバンは俺に決まってんじゃん。
アイヴィーはそう思い直し、明日の話をした。
「それよりさ! 明日、俺、休みだから、一緒に出かけたいんだけど……イイ?」
##NAME1##が頷く。
「ヨカッタ。でね? 明日はちょっと早起きして、市場に行かない?
##NAME1##ちゃん、まだ行ったことないでしょ?」


翌朝。いつもより早起きをして、市場に出かけた。
すごい活気である。市場のおじさんやおばさんは、
アイヴィーの姿を見ると、声をかけてくれた。みんな、アイヴィーを知っているようだ。
「らっしゃい! おっ! 新婚のアイヴィーじゃないか!」
「そちらがウワサの嫁さんかい? 可愛いねえ」
「アイヴィーを貰ってくれてありがとな、お嬢さん!」
「結婚する気がなさそうだったのに、こんなべっぴんさんを捕まえてるなんてなー!」
「毎度あり! ついでにコレも持っていきな! 結婚祝いだよ!」
「よし、うちからも結婚祝いだ。持ってけドロボー!」
市場を出る時には、アイヴィーも##NAME1##も大荷物になっていた。
いったん、駐車場に戻り、車のトランクに荷物を入れた。
今日二人が乗ってきたのは、シルバーグレイの車、アストンマーチン・V12ヴァンキッシュ。
アイヴィーが所有する三台の中で一番のお気に入りだ。
荷物を車に預けた後は、彼がよく利用するカフェでブランチ。
そこでも二人はカフェ店員のお兄さんに「結婚おめでとう」と言われ、
##NAME1##が頼んだカフェラテにはハートのラテアートが描かれていた。


夕暮れ時。二人は車に乗り、海沿いの車道を走っていた。
「##NAME1##ちゃん」
呼ばれて、助手席から隣を向く。
ハンドルを握る彼の背景に海が広がっている。まもなく夕陽が海に沈む。
「今日は朝から一日付き合ってくれて、ありがとね。
俺、##NAME1##ちゃんと一緒に歩けて、超楽しかったよ」
私も、と##NAME1##が言う。
「でも、みんなに新婚だ新婚だーって声かけられちゃったね。
もしかして、ちょっと騒がし過ぎた? 嫌だったかな?」
嫌な筈がない。島の人達は、アイヴィーが好きなのだ。
彼が結婚したことをみんなが喜んでくれた。
##NAME1##は、今日一日、とても誇らしかった。
多くの人に好かれている彼が。
そして、そんな彼が選んだのが自分だという奇跡さえも。
あまりにもたくさん、擦れ違う人々や、お店のご主人に「おめでとう」と言われたので、
まるで島中に祝福されたような気持ちだった。
##NAME1##は、皆さんに祝って貰えて嬉しかったと彼に伝えた。
「そっか、ヨカッタ」
オレンジ色の太陽が海に落ちていく。
「俺ね、ホントのこと言うと、今日は、みんなに自慢したかったんだ」
##NAME1##は「何を?」と尋ねる。
「あ、ソレ聞いちゃう? もちろん『俺は##NAME1##ちゃんと結婚したんだぞー!』ってコト。
俺、島のみんなに、##NAME1##ちゃんを見せびらかしたかったんだ、俺のお嫁さんを!」
ひひひ、と笑った。


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