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■テオ×クラウス
就寝前のシュヌーシア寮サロン。
生徒代表のクラウスは苦い顔をした。
「次の休日に、無人島でキャンプがしたいだと?」
「うんっ!」
テオは大きく頷いた。
「夏になったからシュヌーシアのみんなでキャンプに行きたいんだ!
やはり夏と言えば眩しい太陽、眩しい海、そしてキャンプ、だからね!」
うふふと楽しそうにテオが笑う。
「日中は海で思いきり遊んで、夜は満天の星空の下、テントで眠るのだよ!」
クラウスは浮かない顔だ。
「まあ、キャンプ自体は構わんが、無人島か。
もし体調不良の生徒が出たらどうする? 先ずはソクーロフ博士に」
「ご相談したら、一緒に来て下さるって!」
「……早いな」
こと娯楽に関して、テオのプロデュース能力は、非常に高い。
そのやる気をもっと勉学に回せないものか、とクラウスは以前より思っている。
「キャンプの開催が決定したら、警備にも声をかけておくよと仰っていたよ!」
ううむ、とクラウスが唸る。
「博士や警備が同行するなら、安全面に問題はないか」
「うんうん! ということで、クラウス!」
テオがクラウスの手を取った。
「クラウスも一緒にキャンプに行こう!」
「それは断る」
「ええっ!?」
テオの声がひっくり返った。
「ななな、何故だい!? 何故なんだい、クラウス!?」
「次の休日は卒業準備にあてたいんだ。もう六月下旬だしな」
テオの右手がギュッと結ばれる。
「だから、俺に構わず、キャンプはお前達で行ってこい。
くれぐれも、参加者の体調管理には気を付けてな」
「で、でも、まだ六月下旬なのだから、卒業の準備なんて、早過ぎるよ」
「そうか? 俺の予定としては、少し遅れているくらいなんだがな」
「では、キャンプ地を無人島から月桂樹の森に変更したら、クラウスも来てくれる!?」
「そんな近場でテントを張って、果たしてキャンプと言えるのか?」
他の生徒達は、二人の遣り取りを離れたテーブルから見守っていた。
中等部三年のシルフェは、それまで黙って紅茶を飲んでいたのだが、
「あー。見てらんない」
シルフェは席を立った。
「ここは俺がクラウスを口説き落とすしかないかっ」
シルフェの側では中等部一年のレオンとラビが宿題をしていた。
ラビが不思議そうに見上げる。
「シルフェ、どうするの?」
「俺の口説きのテクニックってヤツを見せてやる。
後学の参考にしろよ、レオン?」
「……なんで俺に振る?」
シルフェがクラウスとテオの元へ歩いていく。
「アタマの固いクラウスさーん」
クラウスが振り向いた。
「シルフェ、生徒同士はファーストネームで呼ぶ習慣だぞ」
「ははっ。期待以上にガッチガチだな」
「何の話だ?」
「ま、それは置いといて。俺が言いたいのはキャンプの話。
アンタ、さっきキャンプに行かないとか抜かしてたけど、
そりゃちょっと、無責任過ぎんじゃない?」
クラウスの眉がピクリと反応する。
「俺が無責任だと?」
「シュヌーシア全体のイベントなんだからさ、
やっぱ何かあった時の為に『責任者』が必要だろ?
シュヌーシアの最上級生で、生徒代表のクーラーウース?」
「責任者か」
クラウスは腕を組む。
「確かに、必要だな」
テオが乗り出す。
「一緒に行ってくれるの!?」
「仕方ない。お前達の監督責任は俺にあるからな」
「やったあ!」
ジャンプしてテオは喜んだ。
シルフェに駆け寄って、彼の両手を握り、上下にブンブン振った。
「ありがとう、シルフェ! ああ、なんとお礼を言っていいか解らないよ!」
「フフッ。どーいたしまして」
ラビは目を丸くしていた。
「シルフェ、すごーい」
レオンがぼそりと呟く。
「てゆーか、クラウスって案外、チョロいな」
シルフェは肩を竦め、「マジメだから」
「そこ、何をコソコソ話している?」
「ん? クラウスもキャンプに来てくれて嬉しいなーって話。な?」
皆が笑顔で頷いた。
fin
就寝前のシュヌーシア寮サロン。
生徒代表のクラウスは苦い顔をした。
「次の休日に、無人島でキャンプがしたいだと?」
「うんっ!」
テオは大きく頷いた。
「夏になったからシュヌーシアのみんなでキャンプに行きたいんだ!
やはり夏と言えば眩しい太陽、眩しい海、そしてキャンプ、だからね!」
うふふと楽しそうにテオが笑う。
「日中は海で思いきり遊んで、夜は満天の星空の下、テントで眠るのだよ!」
クラウスは浮かない顔だ。
「まあ、キャンプ自体は構わんが、無人島か。
もし体調不良の生徒が出たらどうする? 先ずはソクーロフ博士に」
「ご相談したら、一緒に来て下さるって!」
「……早いな」
こと娯楽に関して、テオのプロデュース能力は、非常に高い。
そのやる気をもっと勉学に回せないものか、とクラウスは以前より思っている。
「キャンプの開催が決定したら、警備にも声をかけておくよと仰っていたよ!」
ううむ、とクラウスが唸る。
「博士や警備が同行するなら、安全面に問題はないか」
「うんうん! ということで、クラウス!」
テオがクラウスの手を取った。
「クラウスも一緒にキャンプに行こう!」
「それは断る」
「ええっ!?」
テオの声がひっくり返った。
「ななな、何故だい!? 何故なんだい、クラウス!?」
「次の休日は卒業準備にあてたいんだ。もう六月下旬だしな」
テオの右手がギュッと結ばれる。
「だから、俺に構わず、キャンプはお前達で行ってこい。
くれぐれも、参加者の体調管理には気を付けてな」
「で、でも、まだ六月下旬なのだから、卒業の準備なんて、早過ぎるよ」
「そうか? 俺の予定としては、少し遅れているくらいなんだがな」
「では、キャンプ地を無人島から月桂樹の森に変更したら、クラウスも来てくれる!?」
「そんな近場でテントを張って、果たしてキャンプと言えるのか?」
他の生徒達は、二人の遣り取りを離れたテーブルから見守っていた。
中等部三年のシルフェは、それまで黙って紅茶を飲んでいたのだが、
「あー。見てらんない」
シルフェは席を立った。
「ここは俺がクラウスを口説き落とすしかないかっ」
シルフェの側では中等部一年のレオンとラビが宿題をしていた。
ラビが不思議そうに見上げる。
「シルフェ、どうするの?」
「俺の口説きのテクニックってヤツを見せてやる。
後学の参考にしろよ、レオン?」
「……なんで俺に振る?」
シルフェがクラウスとテオの元へ歩いていく。
「アタマの固いクラウスさーん」
クラウスが振り向いた。
「シルフェ、生徒同士はファーストネームで呼ぶ習慣だぞ」
「ははっ。期待以上にガッチガチだな」
「何の話だ?」
「ま、それは置いといて。俺が言いたいのはキャンプの話。
アンタ、さっきキャンプに行かないとか抜かしてたけど、
そりゃちょっと、無責任過ぎんじゃない?」
クラウスの眉がピクリと反応する。
「俺が無責任だと?」
「シュヌーシア全体のイベントなんだからさ、
やっぱ何かあった時の為に『責任者』が必要だろ?
シュヌーシアの最上級生で、生徒代表のクーラーウース?」
「責任者か」
クラウスは腕を組む。
「確かに、必要だな」
テオが乗り出す。
「一緒に行ってくれるの!?」
「仕方ない。お前達の監督責任は俺にあるからな」
「やったあ!」
ジャンプしてテオは喜んだ。
シルフェに駆け寄って、彼の両手を握り、上下にブンブン振った。
「ありがとう、シルフェ! ああ、なんとお礼を言っていいか解らないよ!」
「フフッ。どーいたしまして」
ラビは目を丸くしていた。
「シルフェ、すごーい」
レオンがぼそりと呟く。
「てゆーか、クラウスって案外、チョロいな」
シルフェは肩を竦め、「マジメだから」
「そこ、何をコソコソ話している?」
「ん? クラウスもキャンプに来てくれて嬉しいなーって話。な?」
皆が笑顔で頷いた。
fin
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