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Marginal Prince Short Story
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■カーディス×側近
2月15日早朝。
目が覚めた時、私の目に最初に映ったのは、貴方の寝顔だった。

幾度となく目にしている光景だが、未だ慣れない。
王の寝台で目を覚ますことも。
目の前で眠る人が、ロレート公国の国主、カーディス1世であることも。

昨夜、貴方は、側近である私に「今日は2月14日だろう?」と仰った。
毎年のことだ。私が何を言おうと、貴方は無意味な行為を繰り返す。

相手なら、美しく、柔らかな肌を持つ女性を選べば良いものを。
怠惰な貴方は、今年も変わらず、手近な腕を引き、不毛な時間を過ごした。
穏やかな寝顔が憎らしい。

貴方は知らない。
いつ、私の手首を捕らなくなるか、
いつ、気まぐれな戯れが終わるのか、と怯える愚かな私を。

何も語らず私の髪を梳く指に、
傲慢で孤独な貴方の指に、安堵する醜い私を。
貴方は知らないのだ。

「何もしないのか、ラル」

突然の声。いつの間にか、陛下はお目覚めになっていた。

「起きておいででしたか」

「ああ。何時だ?」

「5時56分です」

「まだ早いな」

「ご入浴の準備をして参ります」

私が寝台から出ようとすると、待て、と引き戻された。

「もう少し、ここに居ろ」

どのような理由で、そう仰るのか解らないまま、
従者である私は、はい、と主のお言葉に従う。

主は何も語らない。私も何も語らない。
徐々に寝室に光が差す。白々と夜が明けていく。

そろそろ寝台から出るよう陛下にお声をかけなくては。
そう思った時、陛下は私の髪を無造作に一掴みし、静かに唇を寄せた。

何故、このようなことをなさるのか。

「さて、シャワーでも浴びるか」

そしてまた、何事もなかったかのように、一日が始まる。

「ラルヴィス。何をぼうっとしている。行くぞ」

「畏まりました」


fin
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