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Marginal Prince Short Story
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ソクーロフに看病されちゃった8 続編
真っ白い天井と、真っ白いベッド。
ブランケットから紫煙の匂いはしなかった。

少々清潔過ぎて、薬臭い空気を吸いながら、
アイヴィーは、昨夜は保健室に泊まったのだと思い出す。
カーテンが身に受けている光の具合から、どうやら朝か昼らしいと知った。

昨夜は正直、身体の調子は良くなかった。
それでも、昨日の仕事が終わるまでは持つだろうと思ってた。
だけど、ソクーロフ先生に保健室まで引きずられてきて、
真っ白いベッドに入ったら、重くてだるい身体が、
ベッドに深く沈んでいく感覚がして、そのあとすぐに寝たんだろうと思う。

何か夢を見たような気がするけど、どんな夢だったか思い出せない。
でも、悪い夢ではなかったようだ。今日はすっきり目覚めたから。

昨日までと比べると、体調はかなり回復したのが解る。
それに、久し振りにしっかり眠れたような気がする。

アイヴィーが身体を起こすと、ブランケットがずり落ちた。
次に、目に入ったものは、酷くはだけた自分のワイシャツ。

「ちょ、えっ!? ええっ!?」

何故か第5ボタンまで開いていて、思わずブランケットを引き上げる。

「なんで、なんで、こんなことに!?」

「起きた途端、煩い奴だな」

「うわあっ! ソクちゃん!?」

いつのまにか白衣の先生が傍に立っていた。

「さて。検温するか」

「それより、こ、このはだけ具合は何なんすか!?」

「ん? 解らないのか?」

「えっ!? ええっ!?」

「夜中の保健室で、私がお前にすることなど、決まっているだろう?」

「えええー!? アンタ、それ、ちょっと」

「熱のせいで、随分、汗をかいていたから、タオルで拭いた」

「イヤあああー!」

「失礼な」

「何してんだよ! んなもん、自分でやるわっ!」

「声が煩い。それで、熱は」

医師の手が患者の額に触れる。

「昨夜よりは下がったか。朝食は、食べられそうか?」

「うん、まあ」

「では、それに着替えて、顔でも洗ってこい。私は食事の用意をしてくる」


その後、医師が運んできたものは丸い皿。
中に入っていたのは、クリーム色のドロッとしたものだった。

「これ、オートミール?」

「ああ。シュヌーシアのシェフに頼んで、用意した」

「わざわざ、ソクちゃんがドニにお願いしてくれたの?」

「シュヌーシアのキッチンは、常に病人食の準備が
万全だからな。さっさと食べないと冷めるぞ」

「あ、うん」

「一人で食べられるのか?」

「え?」

「私に、フーフーして欲しいんだろう?」

「だ、誰がだよっ!? もう、からかうなっつの」

患者は自分の手でスプーンを口に運んだ。

「えっ、これホントにオートミール? なんか甘いよ?」

「それは、そういうものだ。口に合わないか?」

「ううん。変わってるけど、ウマイ。なんか、ほっとする味だなあ。
さすが家庭料理が得意なシェフってかんじ」

「食べ終わったら、薬を飲め。そこに置いてある」

「はーい」

「今日は水を小まめに飲むように」

「はーい」

「それから、今日から三日間、お前は病欠だ」

「はーい……って、えー!? 三日も!?」

「私の判断に、何か意見でも?」

「い、いやー、でも、そーゆーことはクロイツに相談してみないと」

「副司令官は了承済みだ」

「俺の居ないところで、全部決まってるんですね……」

「当然だろう。お前が私より立場が上だとでも思ったか」

「……クッ。言い返せない自分を慰めてあげたいっ!」

「お前の代わりは、副司令官を始め、幾らでも居る。
そんな簡単なことが、お前は解らなかったのか? 思い上がりも甚だしいな」

「またズタボロに言いますねえ」

「三日程度、お前が居なくても、組織は回る。
きちんと静養して三日で全快させろ。
ここでまた無理をして、もっと大きな病に繋がっては」

医師は患者を見下ろして言った。

「私が迷惑だ」


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