忍者ブログ
Marginal Prince Short Story
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

夏はデンジャラスに水着に白衣2 続編
薄暗い倉庫。湿った匂いと埃っぽい匂いが入り混じっている。
コンクリートの上には歪んだ眼鏡のフレームと、砕けたレンズが散らばっていた。
一人の男が、その破片のひとつを拾い、花びらを見るような目で愛でながら、

「少々、手荒な真似を致しました。どうか、ご容赦下さい。
これ以上、貴方に傷を付けるつもりはありませんので」

彼は最初からロシア語で話していたし、
破片を持っている左腕には、ロシアンマフィア特有の、
ダークブルーで彫られたタトゥーが見えた。

「今は窮屈でしょうが、直に私の仲間が準備を終え、ここに参ります。
それまで今暫くご辛抱頂けますか?」

彼の前方には、白衣の男がコンクリートに転がされていた。
身体は縄で縛られ、白衣は砂で汚れ、擦り切れている箇所もあった。
眼鏡に覆われていない眼差しは爛々としている。
相手に合わせて、同じロシア語で話しかけた。

「私を交渉材料に、学院の生徒を差し出させるつもりかい?」

唇の右側から血を流しながらも、獲物を前にしたかのような表情で、

「死ぬ前に、誰を狙っているのか、ぜひ伺いたいね」

見上げられた男は笑っていた。

「よろしいですよ。お話ししましょう」

一歩ずつ近付いて来る。

「私どもにとっても、人脈と情報は財産でしてね?
ある筋から聞いたのですよ。素晴らしい才能と、
技術を持った鬼才が居ると。しかし、彼は高過ぎる能力故に、
組織を追われたというじゃありませんか?」

眼鏡を失った男は黙ったまま、目を凝らす。
語る男は笑みを深くしていた。

「そして、現在は、小さな島へ身を寄せ、保健室の先生をしていらっしゃると。
ずっと、探していたのですよ?」

捕らえた男の顎を右手で持ち上げる。
左手に持っていた破片で、頬をなぞる。

「私が欲しいのはガキなどではなく、貴方ですよ、ドクター」

破片で描いた通りに、赤いラインが浮かび上がった。

「すみません。もう傷は付けないと申し上げましたのに。
つい、傷を付けたくなってしまうのです」

男は満足そうに微笑んでいた。

「貴方があまりにも、美しいので」


PR
カレンダー
06 2026/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
キャラ名、CP名などで作品検索可
アーカイブ
カウンター
バーコード
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]