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Marginal Prince Short Story
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夏はビールとディーノと××3 続編
マフィアが立ち去ったあと、警備の車が三台到着した。
目許がクールなシルバーの車から降りてきたのが、
ラインハルト・クロイツ。ドイツから引き抜かれた元軍人。
司令官なんかより余程しっかりしてる副司令官だ。

「おや。司令が片付けてくれたのですか」

俺の周りで伸びている侵入者達を見て、副司令官は珍しく褒めてくれた。

「まだお知らせしていなかったのに、仕事が早いですね、司令」

「まあ、たまたまね」

「旧市街でお食事でもされていたのですか」

「う、うん。そんなとこ」

「そうですか。では、私達の出番はないようですし、
あとは塔に帰って、ドクターをお呼びするだけですね」

「ちょ、ちょっと待ったあ!」

「何か?」

今、ソクーロフに会うのはマズイ。絶対マズイ。

「ソクーロフは、あの、喘息で!」

「喘息? ドクターがですか?」

「いやいや、喘息なのはシュヌーシアのヤツで!
今夜は生徒の傍に居たいって言ってて、だから、とにかく、
今日は呼ばないほうが良いんじゃないかなーみたいな!」

「司令。何故それほど挙動不審なのですか?」

「そ、そんなことないよ!?」

「まあ、良いでしょう。ドクターをお呼びするのは明日にします。
マージナルプリンスの看病をして頂くほうが優先事項ですから。
――では、各自、撤収準備」

はい、と部下達が答えた。テキパキと侵入者達を確保し、車に乗せていく。
それを確認し、副司令官がこちらを向く。

「司令は勤務時間外ですし、このままお帰り頂いて構いませんよ」

「あ、そう?」

「ええ。居ても貴方の仕事はありませんし」

「そ、そうだよね」

冷淡とも言える程クールな口調。
本人に悪気はない。これがクロイツのデフォルトだ。
そうだと解るまでに、少し時間はかかったけど。

「では、私達は戻りますので」

「ああ、うん。お疲れ」

「お疲れ様でした」

クールな副司令官が部下達と捕獲した侵入者を率いて、撤収していった。

夏の夜風が俺の傍を通り過ぎる。
さっきまで生温かった筈の夜風が、少し冷たくなっていた。
風を冷たく感じるのは、俺の頬が熱いせいか。
そう思ったら、余計に風は冷たくなった。

「ったく。今日は車だっつったのに」

俺は無意識に口許を手で隠していた。
見た目は真っ黒なのに、舌触りはマイルドで。
ほろ苦いのに、少しだけ甘い後味がクセになる。

「クソッ……完全にビールの味がしやがった」


fin
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