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Marginal Prince Short Story
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■ドニ・ドーム
カミーユの夜 続編
その朝、シュヌーシア寮のシェフは、誰かに肩を揺り動かされて起きた。
まだぼうっとする意識の中、目に映ったのは、
ベッドに腰かけて、自分の肩に触れている男の人。

黒いノースリーブにジーンズ姿。
剥き出しになっている褐色の肩には、白いタオルがかかっている。
よく見れば、短い黒髪は僅かに水滴が残っていたし、
シャンプーの爽やかな香りがした。どうやらシャワーから上がったところらしい。

シャワー上がりに自分を起こしてくれた人は、
アルファルド寮シェフ、アラン・ウーだった。

「ん……アランさん?」

周りを見ると、必要最低限の物くらいしかない部屋。
ここはドニの部屋ではなかった。

「あれ? どうして僕、アランさんのお部屋で」

アランは低い声で、ぼそりと呟いた。

「覚えて、ないのか」

「はい」

「酔い潰れたんだ、お前が」

ああ、とドニは思い出す。
昨夜はシェフ三人で旧市街まで飲みに行ったのだと。
お酒は好きなのだが、自分は酔うとすぐに眠ってしまうらしい。

お店に行く前は、今日は飲み過ぎないようにしよう、と思っているのだが、
いざ飲み始めると、先輩シェフ達と飲むのは楽しくて、
気が付いたら朝になっていることが多々あった。

「あ、僕、また酔って寝ちゃったんですか。
すみません。またアランさんのベッドをお借りしちゃって」

アランはベッドサイドに置いてある目覚まし時計を掴み、ドニに見せた。

「時間」

シンプルな目覚まし時計を見ると、早朝4時半を少し過ぎたところだった。

「ああ、もう起きる時間ですね! 朝ごはん作りに行かなきゃ!」

慌ててベッドから出る。その時になってドニは気付く。
多少寝乱れてたいたものの、自分は昨夜飲みに出掛けた時の服を着ていた。

「ドニ」

「はい?」

「平気か?」

「二日酔いですか? 大丈夫みたいです!」

アランは肩にかけていたタオルで頭を拭く。

「そうか」

「じゃあ、僕、行きますね。あ、起こしてくれて、ありがとうございました!」

ドニは部屋を出た。
シェフ達が住んでいるのは、教職員用の宿舎メルキュール館。
廊下の窓からは、早くも眩しい朝陽が差していた。

「よーし。今日も美味しいもの作るぞー!」


fin
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