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Marginal Prince Short Story
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古傷2 続編
「――八、九、十人かな、こっから見えんのは」

小型無線機を通して、司令官の声が警備本部に響いている。

「まだ十名居ましたか」

副司令官のラインハルト・クロイツは、
即座にデータを打ち込み、部下に指示を飛ばしながら、
ヘッドセットのマイクを通して、海辺に居る司令官と話していた。
現在、司令官は島の東南側にて、侵入者十名を肉眼で確認しているのだ。

「今日は頭数の多さで攻めてきたようですね」

「ん。その分、一人一人が弱いって暴露してるようなモンだけどね」

今夜は現場に出ているのが司令官。
本部の中央司令室で全体の指揮、及び情報収集担当が副司令官だった。
本来であれば、立場上、ポジションは逆。
だが、『司令官が現場、副司令官が指揮』のほうが適材適所であるのは、
自他共に明白だったので、このフォーメーションになることは多かった。

それは、司令官が「俺が行くから、ここはクロちゃんお願い」などと言って、
司令官としての業務を放り出し、本部を飛び出して行くからだ。
組織のトップに立つ者が、自ら率先して現場に出たがる。
おかげで副司令官は、すっかり司令官の業務に慣れた。
現在の司令官は本当に変わっている、副司令官は常々そう思っていた。

「司令。あと八分程でそちらに三名到着します。合流後に侵入者の捕獲を」

「いや、俺一人で行けるよ」

この日、司令官は珍しく副司令官の指揮に逆らった。
副司令官は納得できず、言い返した。

「十名居るんでしょう? 無理せず、そこで待機を」

「ヘーキヘーキ。んじゃ、行っちゃいまーす」

司令、と呼び止めるより先に通信は切られた。


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