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■ジョシュア×アンリ ソクーロフ×アンリ
■四面楚歌:周囲が敵ばかりで味方が居ないこと
---------------------------------------------
ジョシュアがアンリの部屋を開けると、
ベッドの中から冷たい視線を投げられた。
その目には、いつもの鋭さはない。
吐息混じりに毒を吐いた。
「何しに来たの…ジョシュア」
「決まっているよ、君のお見舞いと看病に」
アンリは、ジョシュアの後方に居る紳士を睨む。
「バトラー。僕は君に、皆には言うなと伝えたよね?」
「はい…すみません、アンリ様」
「アンリ。俺が無理に聞いたんだ。君が朝食に来ないから」
「ふうん、そう。バトラーは僕より生徒代表殿の意見を尊重するんだ?」
「申し訳ありません」
「バトラーに噛み付くなよ、アンリ」
「何が、可笑しいの…」
「いや、ごめん。良かった。割と元気そうだね、アンリ」
「元気じゃないよ…酷い頭痛だし、熱もあると思うけど」
「ソクーロフ博士には診て貰ったのかい?」
「…誰が、あんなサディストの世話になんか」
「バトラー。悪いけど、博士に連絡して貰えるかな?
『ウーティスまで、おいで頂けますか?』と。きっと来てくれると思う。
博士はアンリのことをいつも気に掛けているからね」
「…宜しいのですか、ジョシュア様?」
「ジョシュア、僕が頼んでいないのに、勝手なことしないで」
「病人は大人しくしていないと駄目だよ、アンリ?
バトラー。彼は俺が見張っておくから、博士に連絡を」
「はっ。畏まりました、ジョシュア様」
「バトラー。また僕より彼の言う事を聞くの?」
「申し訳ありません、アンリ様。失礼致します」
バトラーが部屋を出て行くと、
アンリはその戸口に向かって息を吐いた。
「僕に、二度も逆らうとは。…全く、彼は極めて才のある執事だね」
「俺もそう思う」
「はあ…これから、あの男が此処に来るのかと思うと、余計頭が痛い」
「大丈夫だよ。頭痛は博士が治してくれる」
「ねえ。診察の間…君も、此処に居て」
「え? どうしてだい?」
「僕を、あんなサディストと二人きりにするつもり? 僕は絶対に嫌だ」
熱があるせいなのか、アンリの言動がいつもより子供っぽい。
普段は澄ましている分、ジョシュアは思わず微笑んでしまった。
「解ったよ、アンリ。俺に、ずっと傍に居て欲しいんだね?
良いよ、手でも握ってあげようか?」
「…そんなこと、言ってない」
コンコン、とドアがノックされ、執事が姿を見せる。
「失礼致します。博士にご連絡致しました。すぐにいらっしゃるとのことです」
「ありがとう、バトラー。良かったね、アンリ?」
「ジョシュア…。君が悪魔に見えるよ」
「君は天使に見えるよ、アンリ」
「…それ、もう聞き飽きた」
間もなく、白衣に身を包んだ医師が、アンリの前に現れた。
無駄に重そうな、黒い鞄を手に持っている。
「やあ。アンリ。会いたかったよ」
「ソクーロフ…」
「嬉しいよ、アンリ。君の部屋に呼んで貰えるなんて。
やっと、私に心を開く気になってくれたのかな?」
「僕が呼んだんじゃない…」
「博士。俺がお呼びしたんです。すみません、ご足労頂いて」
「いいや。とても適切な判断だったよ、ジョシュア。
ではアンリ? 早速、お医者さんごっこを始めようか?」
「ごっこ、じゃない…仮にも医師のくせに…」
「可愛いよ、その怯えた目。…もっと近くで見ても良いかい?」
「僕に近付くな」
「近付かなければ、お医者さんごっこはできないよ?」
「だから、ごっこじゃないと…。
ジョシュア、笑ってないで、このサディスト止めて」
「結構仲が良いんですね、博士とアンリって」
「…どうしたらそう見えるの」
「私は光栄だよ、アンリ。では熱でも計ろうか。
さて。どんな計り方が良いかな…?」
fin
■四面楚歌:周囲が敵ばかりで味方が居ないこと
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ジョシュアがアンリの部屋を開けると、
ベッドの中から冷たい視線を投げられた。
その目には、いつもの鋭さはない。
吐息混じりに毒を吐いた。
「何しに来たの…ジョシュア」
「決まっているよ、君のお見舞いと看病に」
アンリは、ジョシュアの後方に居る紳士を睨む。
「バトラー。僕は君に、皆には言うなと伝えたよね?」
「はい…すみません、アンリ様」
「アンリ。俺が無理に聞いたんだ。君が朝食に来ないから」
「ふうん、そう。バトラーは僕より生徒代表殿の意見を尊重するんだ?」
「申し訳ありません」
「バトラーに噛み付くなよ、アンリ」
「何が、可笑しいの…」
「いや、ごめん。良かった。割と元気そうだね、アンリ」
「元気じゃないよ…酷い頭痛だし、熱もあると思うけど」
「ソクーロフ博士には診て貰ったのかい?」
「…誰が、あんなサディストの世話になんか」
「バトラー。悪いけど、博士に連絡して貰えるかな?
『ウーティスまで、おいで頂けますか?』と。きっと来てくれると思う。
博士はアンリのことをいつも気に掛けているからね」
「…宜しいのですか、ジョシュア様?」
「ジョシュア、僕が頼んでいないのに、勝手なことしないで」
「病人は大人しくしていないと駄目だよ、アンリ?
バトラー。彼は俺が見張っておくから、博士に連絡を」
「はっ。畏まりました、ジョシュア様」
「バトラー。また僕より彼の言う事を聞くの?」
「申し訳ありません、アンリ様。失礼致します」
バトラーが部屋を出て行くと、
アンリはその戸口に向かって息を吐いた。
「僕に、二度も逆らうとは。…全く、彼は極めて才のある執事だね」
「俺もそう思う」
「はあ…これから、あの男が此処に来るのかと思うと、余計頭が痛い」
「大丈夫だよ。頭痛は博士が治してくれる」
「ねえ。診察の間…君も、此処に居て」
「え? どうしてだい?」
「僕を、あんなサディストと二人きりにするつもり? 僕は絶対に嫌だ」
熱があるせいなのか、アンリの言動がいつもより子供っぽい。
普段は澄ましている分、ジョシュアは思わず微笑んでしまった。
「解ったよ、アンリ。俺に、ずっと傍に居て欲しいんだね?
良いよ、手でも握ってあげようか?」
「…そんなこと、言ってない」
コンコン、とドアがノックされ、執事が姿を見せる。
「失礼致します。博士にご連絡致しました。すぐにいらっしゃるとのことです」
「ありがとう、バトラー。良かったね、アンリ?」
「ジョシュア…。君が悪魔に見えるよ」
「君は天使に見えるよ、アンリ」
「…それ、もう聞き飽きた」
間もなく、白衣に身を包んだ医師が、アンリの前に現れた。
無駄に重そうな、黒い鞄を手に持っている。
「やあ。アンリ。会いたかったよ」
「ソクーロフ…」
「嬉しいよ、アンリ。君の部屋に呼んで貰えるなんて。
やっと、私に心を開く気になってくれたのかな?」
「僕が呼んだんじゃない…」
「博士。俺がお呼びしたんです。すみません、ご足労頂いて」
「いいや。とても適切な判断だったよ、ジョシュア。
ではアンリ? 早速、お医者さんごっこを始めようか?」
「ごっこ、じゃない…仮にも医師のくせに…」
「可愛いよ、その怯えた目。…もっと近くで見ても良いかい?」
「僕に近付くな」
「近付かなければ、お医者さんごっこはできないよ?」
「だから、ごっこじゃないと…。
ジョシュア、笑ってないで、このサディスト止めて」
「結構仲が良いんですね、博士とアンリって」
「…どうしたらそう見えるの」
「私は光栄だよ、アンリ。では熱でも計ろうか。
さて。どんな計り方が良いかな…?」
fin
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