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■ソクーロフ×アイヴィー+ジョシュア
■カーシャ様、リクエストありがとうございました!
聖アルフォンソ学院、生徒代表室。
今日は警備組織との定期ネットミーティングの日。
ジョシュアは一人で早めに生徒代表室へ来て、
ミーティングの準備をしているところだった。
今日の出席者は三名。
学院の保健教師であり警備の協力者であるソクーロフ博士、
パソコン画面から参加する警備組織司令官のアイヴィー、
それから今年度の生徒代表、自分だ。
ミーティングの準備が終わると、ジョシュアは無意識に窓際に立っていた。
この窓からは月桂樹の森が見える。見えているのは、同じ森なのに、
ウーティス寮の部屋から見える森とは、また違った景色に見えた。
この部屋に呼ばれ、生徒代表に就任した日、
前代表のテオは、この場所に立って、自分を待っていた。
生徒代表になって暫く経っているけれど、
あの時、テオが居た場所に、今、自分が居るのは未だに不思議だった。
生徒代表室の壁一面に飾られている絵画には、歴代の生徒代表達が描かれている。
その中で一番新しい場所にテオが居る。その前はクラウス。
皆、一年間この任務を全うしてきた、立派な生徒代表達。
先輩達と比べて自分はどうだろう。上手くやっていけているだろうか。
絵画を見上げながら思うことは、いつも同じ不安だった。
生徒代表室の電話が鳴った。
ジョシュアはアンティークな受話器を取る。
「はい、生徒代表室です」
「警備のクロイツでございます。ジョシュア様ですね?」
電話をかけてきたのは、警備組織の副司令官だった。
知っている人が相手でジョシュアは少し安心した。
「はい。こんにちは、クロイツさん。どうしました?」
「ミーティング直前のご連絡となり、誠に申し訳ございません。実は――」
「えっ? ――そう、ですか。解りました。
博士にはこちらから知らせておきますね。
はい。いえ。気にしないで下さい。大丈夫ですから。
ご連絡、ありがとうございました。失礼します」
ジョシュアは受話器を置いて、今、受けた連絡事項を頭の中で復唱する。
次に必要なことは、この連絡を博士へ伝えることだ。
時計を見上げる。ミーティング開始時刻は迫っていた。
「博士、まだ保健室に居るかな」
再び受話器を取ろうと思ったところで、
コン、コンと生徒代表室のドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
「失礼するよ」
扉を開けたのは、白衣の保健教師だった。
間に合わなかった。ジョシュアは申し訳ない気持ちになる。
「すみません、博士。今、保健室に電話しようと思ったんですが」
博士は後ろ手に扉を閉め、ゆっくりと中へ入ってくる。
「何か、あったのかね?」
「はい。アイヴィーに急用が入ったそうで、少し遅れるそうです」
「……そう。どのくらい遅れそうなのかな?」
「あと30分くらいかかるかもしれないとのことでした。
俺はここで待っていますが、博士は一度、保健室に戻りますか?」
少し間を置いたあと、博士はこう答えた。
「いや。君さえ良ければ、カウンセリングをさせて貰えないかな?」
「俺の、ですか?」
「そうだよ。そろそろ必要な頃だと思っていたんだ。
もちろん、君の都合が悪いなら、私は保健室に引き揚げるが?」
「ああ、いえ。そんなことは」
「ありがとう。では、向こうのソファに座ろう」
「はい」
それから、20分程経った頃。
パソコンのモニタに金髪の男が映った。
「お待たせー。ゴメンゴメン、遅くなってー」
司令官と言うにはまだ若いこの男が、
聖アルフォンソ島の警備を任されている、アイヴィーという男だった。
「いやー、お喋り好きなお偉いさんから、
急に電話かかってきちゃってさー、なかなか終わんなくてさー、
あのオジサン、いつもそーなんだよーって……」
アイヴィーの目に映ったのは、島への侵入者を自白させる際によく見られる光景だった。
今日、ソファに項垂れて座らされているのは、侵入者でなく、ジョシュアだった。
ジョシュアの傍らには白衣のドクターが立っていた。アイヴィーが叫ぶ。
「わー! ジョシュアがソクちゃんの餌食にー!」
「煩い。今、良いところなんだ。終わるまでお前は待っていろ」
ドクターに睨まれ、少しビビリながら司令官が立ち向かう。
「ちょ、ちょっと、アンタ! 俺が居ない隙にジョシュアに何してんだよ!?」
「生徒代表のカウンセリングだが、何か問題でも?」
「だ、だだだってソレ完全に、懺悔モードじゃん!」
「私の自白術に変な名称を付けるな」
「あー、ジョシュア! 守ってやれなくてゴメン!
俺がオジサンの長電話に付き合わされたばっかりにー!」
「随分騒がしいが。お前も、私にして欲しいのか? カウンセリング」
「ななな、ンなワケないし! てゆうか、ジョシュア返してよ!
生徒代表がおねんねしてちゃ、俺達、ミーティングできないでしょ!」
「……チッ。もう少し長電話していれば良かったものを」
「舌打ちとかしてないで、早くジョシュア、起こしてよ!」
「あと10分はかかる。お前は指を咥えて見ていろ」
10分後。ドクターに何かを囁かれたジョシュアは、ゆっくりと目を覚ました。
優しい先生の笑顔でドクターはこう言った。
「おはよう、ジョシュア」
「はかせ……」
「気持ち良さそうにうたた寝していたね? ジョシュア」
「えっ?」
「起こしてしまうのが忍びなかったのだが、
ミーティングの開始時間を過ぎてしまったから、起こさせて貰ったよ?」
「俺……眠っていたんですか……すみません」
「良いんだよ。私も彼も急ぐ用事はないからね」
パソコン画面にはアイヴィーが映っていて、ジョシュアを心配そうに見つめていた。
ジョシュアと目が合ったアイヴィーは、軽く右手を挙げる。
「よ、よう、ジョシュア。えと……ダイジョブ?」
「はい……」
「そ、そか。じゃ、じゃあ、ミーティング始めちゃう?
起きたばっかだから、ちょっと休憩してからでもイイけど」
「いえ。大丈夫です。お待たせして、すみません」
「……い、いや、うん」
「では、定期ミーティング、始めましょう」
fin
■カーシャ様、リクエストありがとうございました!
聖アルフォンソ学院、生徒代表室。
今日は警備組織との定期ネットミーティングの日。
ジョシュアは一人で早めに生徒代表室へ来て、
ミーティングの準備をしているところだった。
今日の出席者は三名。
学院の保健教師であり警備の協力者であるソクーロフ博士、
パソコン画面から参加する警備組織司令官のアイヴィー、
それから今年度の生徒代表、自分だ。
ミーティングの準備が終わると、ジョシュアは無意識に窓際に立っていた。
この窓からは月桂樹の森が見える。見えているのは、同じ森なのに、
ウーティス寮の部屋から見える森とは、また違った景色に見えた。
この部屋に呼ばれ、生徒代表に就任した日、
前代表のテオは、この場所に立って、自分を待っていた。
生徒代表になって暫く経っているけれど、
あの時、テオが居た場所に、今、自分が居るのは未だに不思議だった。
生徒代表室の壁一面に飾られている絵画には、歴代の生徒代表達が描かれている。
その中で一番新しい場所にテオが居る。その前はクラウス。
皆、一年間この任務を全うしてきた、立派な生徒代表達。
先輩達と比べて自分はどうだろう。上手くやっていけているだろうか。
絵画を見上げながら思うことは、いつも同じ不安だった。
生徒代表室の電話が鳴った。
ジョシュアはアンティークな受話器を取る。
「はい、生徒代表室です」
「警備のクロイツでございます。ジョシュア様ですね?」
電話をかけてきたのは、警備組織の副司令官だった。
知っている人が相手でジョシュアは少し安心した。
「はい。こんにちは、クロイツさん。どうしました?」
「ミーティング直前のご連絡となり、誠に申し訳ございません。実は――」
「えっ? ――そう、ですか。解りました。
博士にはこちらから知らせておきますね。
はい。いえ。気にしないで下さい。大丈夫ですから。
ご連絡、ありがとうございました。失礼します」
ジョシュアは受話器を置いて、今、受けた連絡事項を頭の中で復唱する。
次に必要なことは、この連絡を博士へ伝えることだ。
時計を見上げる。ミーティング開始時刻は迫っていた。
「博士、まだ保健室に居るかな」
再び受話器を取ろうと思ったところで、
コン、コンと生徒代表室のドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
「失礼するよ」
扉を開けたのは、白衣の保健教師だった。
間に合わなかった。ジョシュアは申し訳ない気持ちになる。
「すみません、博士。今、保健室に電話しようと思ったんですが」
博士は後ろ手に扉を閉め、ゆっくりと中へ入ってくる。
「何か、あったのかね?」
「はい。アイヴィーに急用が入ったそうで、少し遅れるそうです」
「……そう。どのくらい遅れそうなのかな?」
「あと30分くらいかかるかもしれないとのことでした。
俺はここで待っていますが、博士は一度、保健室に戻りますか?」
少し間を置いたあと、博士はこう答えた。
「いや。君さえ良ければ、カウンセリングをさせて貰えないかな?」
「俺の、ですか?」
「そうだよ。そろそろ必要な頃だと思っていたんだ。
もちろん、君の都合が悪いなら、私は保健室に引き揚げるが?」
「ああ、いえ。そんなことは」
「ありがとう。では、向こうのソファに座ろう」
「はい」
それから、20分程経った頃。
パソコンのモニタに金髪の男が映った。
「お待たせー。ゴメンゴメン、遅くなってー」
司令官と言うにはまだ若いこの男が、
聖アルフォンソ島の警備を任されている、アイヴィーという男だった。
「いやー、お喋り好きなお偉いさんから、
急に電話かかってきちゃってさー、なかなか終わんなくてさー、
あのオジサン、いつもそーなんだよーって……」
アイヴィーの目に映ったのは、島への侵入者を自白させる際によく見られる光景だった。
今日、ソファに項垂れて座らされているのは、侵入者でなく、ジョシュアだった。
ジョシュアの傍らには白衣のドクターが立っていた。アイヴィーが叫ぶ。
「わー! ジョシュアがソクちゃんの餌食にー!」
「煩い。今、良いところなんだ。終わるまでお前は待っていろ」
ドクターに睨まれ、少しビビリながら司令官が立ち向かう。
「ちょ、ちょっと、アンタ! 俺が居ない隙にジョシュアに何してんだよ!?」
「生徒代表のカウンセリングだが、何か問題でも?」
「だ、だだだってソレ完全に、懺悔モードじゃん!」
「私の自白術に変な名称を付けるな」
「あー、ジョシュア! 守ってやれなくてゴメン!
俺がオジサンの長電話に付き合わされたばっかりにー!」
「随分騒がしいが。お前も、私にして欲しいのか? カウンセリング」
「ななな、ンなワケないし! てゆうか、ジョシュア返してよ!
生徒代表がおねんねしてちゃ、俺達、ミーティングできないでしょ!」
「……チッ。もう少し長電話していれば良かったものを」
「舌打ちとかしてないで、早くジョシュア、起こしてよ!」
「あと10分はかかる。お前は指を咥えて見ていろ」
10分後。ドクターに何かを囁かれたジョシュアは、ゆっくりと目を覚ました。
優しい先生の笑顔でドクターはこう言った。
「おはよう、ジョシュア」
「はかせ……」
「気持ち良さそうにうたた寝していたね? ジョシュア」
「えっ?」
「起こしてしまうのが忍びなかったのだが、
ミーティングの開始時間を過ぎてしまったから、起こさせて貰ったよ?」
「俺……眠っていたんですか……すみません」
「良いんだよ。私も彼も急ぐ用事はないからね」
パソコン画面にはアイヴィーが映っていて、ジョシュアを心配そうに見つめていた。
ジョシュアと目が合ったアイヴィーは、軽く右手を挙げる。
「よ、よう、ジョシュア。えと……ダイジョブ?」
「はい……」
「そ、そか。じゃ、じゃあ、ミーティング始めちゃう?
起きたばっかだから、ちょっと休憩してからでもイイけど」
「いえ。大丈夫です。お待たせして、すみません」
「……い、いや、うん」
「では、定期ミーティング、始めましょう」
fin
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