×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■闇の家系07 続編
グラント当主から握手を求められ、アイヴィーはその手を握りながら、
「ご丁寧にどうも。今日はお招き頂いてないのに、
自分まで押し掛けて、なんだか、すみません」
「とんでもない。聖アルフォンソ学院のセキュリティの高さを実感しました」
握手はしっかりと握り返された。強過ぎず、弱過ぎもしない、丁度良さで。
「今日は、ジョシュアの為にロンドンまで足を運んで頂き、ありがとうございます。
私がジョシュアの元へ行くことができれば良かったんですが、
それだと余計に、学院の皆さんに負担をかけてしまいそうで」
確かにな、とアイヴィーは心の中で呟いた。
この時期にグラント当主が島を訪れるとなれば、警備組織は厳戒態勢を免れない。
「それで、ジョシュアをこちらに呼ぶことにしたんですが、
それでもこうして、レイナさんに司令官さんまで同行させてしまう結果となり、
関係各位にご迷惑をお掛けして、申し訳ありません。
それに、本来であれば、今回のことがあった時に、
学院にも一報を入れるべきでは、とも思ったのですが、
学院の皆さんやこの子に無用な心配をかけるのもどうかと思いましてね。
ご連絡も差し上げず、司令官さんにはご無礼を致しました」
「ああ、いえいえ」
学院に連絡を入れなかったことを反省はしているらしい。
「それから、ジョシュア」
「はい」
「今回は私が襲撃されたことで、お前の名前を挙げられ、
心ない記事を書かれたことも知っている。
お前は純粋だから、さぞ心を痛めただろう。
私のせいで辛い思いをさせてすまなかったね、ジョシュア」
ジョシュアは首を横に振る。
「いいえ。俺は大丈夫ですから」
「しかし、報道のせいで、私の周りにも、お前を怪しむ者が居てね。
私は、お前にできる芸当ではないことは解っているんだがね」
アイヴィーはそっとラルヴィスの表情を伺う。
ラルヴィスは無言のままだったが、目は怒っていた。
殿下が疑われて腹立だしいのだろう。当主はこう続けた。
「ジョシュアには言っていなかったかもしれないが。
私はね? 昔から、相手が嘘を吐いているかどうか、目を見れば解るんだ。
だから、私から周囲に『本人に会って確かめた』と説明する為に、
私の目を見て、言ってくれないか、ジョシュア。
自分が仕組んだことではない、伯父を貶める理由はない、と」
「はい」
ジョシュアは伯父を真っ直ぐ見上げて言った。
「俺ではありません」
すると、伯父は優しく微笑んだ。
「曇りのない、綺麗な目だ。クリスティーナと同じ」
当主は穏やかな顔をして、ジョシュアを見た。
「お前は大きくなるにつれて似てくるね、あの子に。
クリスも、今のお前と同じように、澄んだ瞳をしていた」
アイヴィーは『クリス』がクリスティーナの愛称だと気付くのが少し遅れた。
愛称で亡き妹を呼ぶ兄の表情は寂しそうだった。
「ありがとう、ジョシュア。
やはり会って話すとよく解るね。お前が黒幕ではないと」
「社長? ご質問が足りないのでは?」
そう言ったのは秘書のヘンリーだった。
「納得がいかないかい? ヘンリー」
当主に尋ねられ、秘書はジョシュアに向かって、頭を下げた。
「ご無礼をお許し下さい、ジョシュア殿下。
殿下を疑う者とは、我が社の一部の人間のことなのです。
彼等を納得させる為に、どうかお聞かせ下さい。
ジョシュア殿下は、グラントが襲撃された当日、
聖アルフォンソ島にいらっしゃったのですよね?」
「はい」
「事件前、島の外部と連絡を取っていませんか?」
「外部……あ、一人の女性とは電話で話しました」
「女性?」
「日本に居る、俺のパートナーです。俺、彼女とは電話をしました。
でも、彼女は今回の事件に関係ありません」
「成程。では、今、仰って頂いたこと、証明することはできますか?」
「証明、ですか……」
「はーい。俺で良ければ、できますけど?」
手を挙げたのはアイヴィーだった。
「……アイヴィー、証明できるんですか?」
その時、一番驚いていたのはジョシュアだった。
「事件前、ジョシュアが島から出ていないことと、
カノジョとしか電話をしていないことは、
うちの警備組織の監視カメラと通信記録が証明できます。
ま、プライバシーの問題で、他の生徒の部分とか見せられないトコはありますけど?」
驚いているジョシュアとアイヴィーの目が合う。
「悪いな、ジョシュア。物的な証拠があったほうが良いって言うヒトが居てさ?
事前にお前さんのこと、調べさせて貰ってたんだわ。勝手なことしてゴメンな?」
「いいえ……ありがとうございます、アイヴィー」
「礼ならドクターに言いな? あのヒトのアイディアだから」
パチパチと拍手の音がする。
「素晴らしい。ジョシュアは本当に、良い人達に恵まれているね」
拍手をしていたのは当主だった。当主は秘書を見上げる。
「どうだい、ヘンリー? これで君の気は済んだかな?」
「――ええ。ご無礼の数々、申し訳ございませんでした、ジョシュア殿下」
「いいえ。良いんです」
「では、次の話に移ろうか」当主は身を乗り出す。「本当は次が本題なんだ」
「本題、ですか?」
「うん。実は、今回の一件で、私も少し弱気になってしまってね。
やはり私も、いつ、どうなるかは解らないと思い知らされた。
だから、万一の時に備えて、この機会にジョシュアと話をしたいと思ったんだ。
私の身に何かあれば、グラントは次の当主を立てなければならない。それは解るね?」
「……はい」
「これから言うことは、まだ誰とも相談をしていないことで、
私個人の意思なのだがね。この先、私に何かあれば。
私はね、ジョシュアにグラントを継いで貰いたいと思っているんだよ」
ジョシュア、アイヴィー、ラルヴィスは声も出せないでいた。
唯一、「えっ?」と僅かに声を発したのは、秘書のヘンリーだった。
「しかし、現状では、お前をグラント当主に立てることは難しい。
何故なら、お前は既に、ロレートの次期国王に指名されているからだ。
そこで、ロレート公国に伺いたいことがあるのですが。レイナさん?」
ラルヴィスは返事をするのが一瞬遅れる。
「はい。何でしょうか」
「もし私が、近いうち、本当に凶刃に倒れ、死亡した場合の話です。
その場合、ロレートの王子をグラント当主に立てることは可能でしょうか?」
ロレート公国としての答えを求められ、
ラルヴィスは少し俯いたあと、慎重に口を開いた。
「恐れ入りますが、前例がない為、わたくしの口から今すぐにはお答えしかねます」
「そうですか。では、レイナさんのお考えを聞かせて下さい」
「わたくしの考え、でございますか?」
「ええ。ロレートの国王陛下がご健在で、グラント当主が不在という場合でも、
ジョシュアを当主に迎えることは、できないと思われますか?」
「現実的に考えますと、その状況、かつ、殿下ご本人のご意思もあるなら、
グラント当主の座が優先される可能性は、あるかと存じます。
もちろん、それには各所との協議が必要となりますが」
「……本当なんですか、レイナさん。俺がグラントに……」
「殿下。只今、申し上げましたのは、あくまで可能性の一例でございます。
しかし、殿下や陛下のご意思を伺う前に、わたくし個人の考えを口にしたことで、
殿下のお心を惑わせ、申し訳ございません」
「あ、いえ、頭を上げて下さい」
「そうですよ。レイナさん個人のご意見を聞いたのは私なのですから、
レイナさんが謝ることではありません。ジョシュアも余り心配しないでくれ。
私だって、まだまだ元気でいるつもりなのだから」
「はい……」
「けれど、そうか。お前も既にグラントへ戻る意思はないようだね?」
「あ……」と言ったきり、ジョシュアは何も言えなくなってしまった。
「ハハッ。お前は昔から隠し事が苦手だね? 良いんだよ、ジョシュア。
お前はロレートの王子になると決めた時点で、
グラント当主の座を捨てる覚悟をしていた筈だ。
だから、お前はそれで良い。お前の心はロレートにあるべきなんだ」
「……はい。ありがとうございます」
「ではグラントは引き続き、後継者問題に頭を悩ませることにするよ。
候補者の第一位が王子様になるなんて、それこそ前例がなくて、
お恥ずかしいことに、こちらも色々と手探り状態なんですよ?」
「俺のせいで、すみません、伯父さん……」
「ああ、いやいや。すまない。ジョシュアの前で言うことではなかったね。
悪かった。気にしないでくれ? お前はお前の道を進みなさい。
あとは私達の問題だからね。――それから、ヘンリー?」
「はい、社長」
「今、聞いて貰った通りだよ? この子は候補から外れる。良いね?」
「ええ。畏まりました」
「さて。急にこんな話をして、皆さんを驚かせてしまい、
すみませんでした。でも……これでひとつ、解ったかもしれません」
「何ですか?」とジョシュア。
「いや。すまないが、今言うのは控えさせて欲しい。
これこそ、容易に口にしてはいけないことかもしれないからね。
しかし、ジョシュアは、なるべく早く学院に帰ったほうが良いでしょう。
呼び寄せておいて、すぐに帰れというのも気が引けますが、
今のロンドンにはあまり長く留まらないほうが良い。
三人用の部屋を用意しております。お二方も今夜はうちで早めにお休み下さい。
明日は朝一番で学院に帰れるよう、こちらで車をご用意致します」
「お心遣い痛み入りますが、帰りの手段は私共で用意しております。
どうぞご心配なく。殿下は我々が必ず、学院までご無事にお連れ致しますので」
「ああ、すみません。そうでしたね。ではお二方にお任せ致します。
ジョシュア。慌ただしい再会になってしまって、すまない。
でも、今日はお前と話せて、本当に良かった。
今度帰ってきた時はゆっくり食事でもしよう?」
「はい。俺も、伯父さんとお話しができて良かったです」
「そうか。ありがとう。では少し早いけれど、おやすみ、ジョシュア」
「おやすみなさい、伯父さん」
→
グラント当主から握手を求められ、アイヴィーはその手を握りながら、
「ご丁寧にどうも。今日はお招き頂いてないのに、
自分まで押し掛けて、なんだか、すみません」
「とんでもない。聖アルフォンソ学院のセキュリティの高さを実感しました」
握手はしっかりと握り返された。強過ぎず、弱過ぎもしない、丁度良さで。
「今日は、ジョシュアの為にロンドンまで足を運んで頂き、ありがとうございます。
私がジョシュアの元へ行くことができれば良かったんですが、
それだと余計に、学院の皆さんに負担をかけてしまいそうで」
確かにな、とアイヴィーは心の中で呟いた。
この時期にグラント当主が島を訪れるとなれば、警備組織は厳戒態勢を免れない。
「それで、ジョシュアをこちらに呼ぶことにしたんですが、
それでもこうして、レイナさんに司令官さんまで同行させてしまう結果となり、
関係各位にご迷惑をお掛けして、申し訳ありません。
それに、本来であれば、今回のことがあった時に、
学院にも一報を入れるべきでは、とも思ったのですが、
学院の皆さんやこの子に無用な心配をかけるのもどうかと思いましてね。
ご連絡も差し上げず、司令官さんにはご無礼を致しました」
「ああ、いえいえ」
学院に連絡を入れなかったことを反省はしているらしい。
「それから、ジョシュア」
「はい」
「今回は私が襲撃されたことで、お前の名前を挙げられ、
心ない記事を書かれたことも知っている。
お前は純粋だから、さぞ心を痛めただろう。
私のせいで辛い思いをさせてすまなかったね、ジョシュア」
ジョシュアは首を横に振る。
「いいえ。俺は大丈夫ですから」
「しかし、報道のせいで、私の周りにも、お前を怪しむ者が居てね。
私は、お前にできる芸当ではないことは解っているんだがね」
アイヴィーはそっとラルヴィスの表情を伺う。
ラルヴィスは無言のままだったが、目は怒っていた。
殿下が疑われて腹立だしいのだろう。当主はこう続けた。
「ジョシュアには言っていなかったかもしれないが。
私はね? 昔から、相手が嘘を吐いているかどうか、目を見れば解るんだ。
だから、私から周囲に『本人に会って確かめた』と説明する為に、
私の目を見て、言ってくれないか、ジョシュア。
自分が仕組んだことではない、伯父を貶める理由はない、と」
「はい」
ジョシュアは伯父を真っ直ぐ見上げて言った。
「俺ではありません」
すると、伯父は優しく微笑んだ。
「曇りのない、綺麗な目だ。クリスティーナと同じ」
当主は穏やかな顔をして、ジョシュアを見た。
「お前は大きくなるにつれて似てくるね、あの子に。
クリスも、今のお前と同じように、澄んだ瞳をしていた」
アイヴィーは『クリス』がクリスティーナの愛称だと気付くのが少し遅れた。
愛称で亡き妹を呼ぶ兄の表情は寂しそうだった。
「ありがとう、ジョシュア。
やはり会って話すとよく解るね。お前が黒幕ではないと」
「社長? ご質問が足りないのでは?」
そう言ったのは秘書のヘンリーだった。
「納得がいかないかい? ヘンリー」
当主に尋ねられ、秘書はジョシュアに向かって、頭を下げた。
「ご無礼をお許し下さい、ジョシュア殿下。
殿下を疑う者とは、我が社の一部の人間のことなのです。
彼等を納得させる為に、どうかお聞かせ下さい。
ジョシュア殿下は、グラントが襲撃された当日、
聖アルフォンソ島にいらっしゃったのですよね?」
「はい」
「事件前、島の外部と連絡を取っていませんか?」
「外部……あ、一人の女性とは電話で話しました」
「女性?」
「日本に居る、俺のパートナーです。俺、彼女とは電話をしました。
でも、彼女は今回の事件に関係ありません」
「成程。では、今、仰って頂いたこと、証明することはできますか?」
「証明、ですか……」
「はーい。俺で良ければ、できますけど?」
手を挙げたのはアイヴィーだった。
「……アイヴィー、証明できるんですか?」
その時、一番驚いていたのはジョシュアだった。
「事件前、ジョシュアが島から出ていないことと、
カノジョとしか電話をしていないことは、
うちの警備組織の監視カメラと通信記録が証明できます。
ま、プライバシーの問題で、他の生徒の部分とか見せられないトコはありますけど?」
驚いているジョシュアとアイヴィーの目が合う。
「悪いな、ジョシュア。物的な証拠があったほうが良いって言うヒトが居てさ?
事前にお前さんのこと、調べさせて貰ってたんだわ。勝手なことしてゴメンな?」
「いいえ……ありがとうございます、アイヴィー」
「礼ならドクターに言いな? あのヒトのアイディアだから」
パチパチと拍手の音がする。
「素晴らしい。ジョシュアは本当に、良い人達に恵まれているね」
拍手をしていたのは当主だった。当主は秘書を見上げる。
「どうだい、ヘンリー? これで君の気は済んだかな?」
「――ええ。ご無礼の数々、申し訳ございませんでした、ジョシュア殿下」
「いいえ。良いんです」
「では、次の話に移ろうか」当主は身を乗り出す。「本当は次が本題なんだ」
「本題、ですか?」
「うん。実は、今回の一件で、私も少し弱気になってしまってね。
やはり私も、いつ、どうなるかは解らないと思い知らされた。
だから、万一の時に備えて、この機会にジョシュアと話をしたいと思ったんだ。
私の身に何かあれば、グラントは次の当主を立てなければならない。それは解るね?」
「……はい」
「これから言うことは、まだ誰とも相談をしていないことで、
私個人の意思なのだがね。この先、私に何かあれば。
私はね、ジョシュアにグラントを継いで貰いたいと思っているんだよ」
ジョシュア、アイヴィー、ラルヴィスは声も出せないでいた。
唯一、「えっ?」と僅かに声を発したのは、秘書のヘンリーだった。
「しかし、現状では、お前をグラント当主に立てることは難しい。
何故なら、お前は既に、ロレートの次期国王に指名されているからだ。
そこで、ロレート公国に伺いたいことがあるのですが。レイナさん?」
ラルヴィスは返事をするのが一瞬遅れる。
「はい。何でしょうか」
「もし私が、近いうち、本当に凶刃に倒れ、死亡した場合の話です。
その場合、ロレートの王子をグラント当主に立てることは可能でしょうか?」
ロレート公国としての答えを求められ、
ラルヴィスは少し俯いたあと、慎重に口を開いた。
「恐れ入りますが、前例がない為、わたくしの口から今すぐにはお答えしかねます」
「そうですか。では、レイナさんのお考えを聞かせて下さい」
「わたくしの考え、でございますか?」
「ええ。ロレートの国王陛下がご健在で、グラント当主が不在という場合でも、
ジョシュアを当主に迎えることは、できないと思われますか?」
「現実的に考えますと、その状況、かつ、殿下ご本人のご意思もあるなら、
グラント当主の座が優先される可能性は、あるかと存じます。
もちろん、それには各所との協議が必要となりますが」
「……本当なんですか、レイナさん。俺がグラントに……」
「殿下。只今、申し上げましたのは、あくまで可能性の一例でございます。
しかし、殿下や陛下のご意思を伺う前に、わたくし個人の考えを口にしたことで、
殿下のお心を惑わせ、申し訳ございません」
「あ、いえ、頭を上げて下さい」
「そうですよ。レイナさん個人のご意見を聞いたのは私なのですから、
レイナさんが謝ることではありません。ジョシュアも余り心配しないでくれ。
私だって、まだまだ元気でいるつもりなのだから」
「はい……」
「けれど、そうか。お前も既にグラントへ戻る意思はないようだね?」
「あ……」と言ったきり、ジョシュアは何も言えなくなってしまった。
「ハハッ。お前は昔から隠し事が苦手だね? 良いんだよ、ジョシュア。
お前はロレートの王子になると決めた時点で、
グラント当主の座を捨てる覚悟をしていた筈だ。
だから、お前はそれで良い。お前の心はロレートにあるべきなんだ」
「……はい。ありがとうございます」
「ではグラントは引き続き、後継者問題に頭を悩ませることにするよ。
候補者の第一位が王子様になるなんて、それこそ前例がなくて、
お恥ずかしいことに、こちらも色々と手探り状態なんですよ?」
「俺のせいで、すみません、伯父さん……」
「ああ、いやいや。すまない。ジョシュアの前で言うことではなかったね。
悪かった。気にしないでくれ? お前はお前の道を進みなさい。
あとは私達の問題だからね。――それから、ヘンリー?」
「はい、社長」
「今、聞いて貰った通りだよ? この子は候補から外れる。良いね?」
「ええ。畏まりました」
「さて。急にこんな話をして、皆さんを驚かせてしまい、
すみませんでした。でも……これでひとつ、解ったかもしれません」
「何ですか?」とジョシュア。
「いや。すまないが、今言うのは控えさせて欲しい。
これこそ、容易に口にしてはいけないことかもしれないからね。
しかし、ジョシュアは、なるべく早く学院に帰ったほうが良いでしょう。
呼び寄せておいて、すぐに帰れというのも気が引けますが、
今のロンドンにはあまり長く留まらないほうが良い。
三人用の部屋を用意しております。お二方も今夜はうちで早めにお休み下さい。
明日は朝一番で学院に帰れるよう、こちらで車をご用意致します」
「お心遣い痛み入りますが、帰りの手段は私共で用意しております。
どうぞご心配なく。殿下は我々が必ず、学院までご無事にお連れ致しますので」
「ああ、すみません。そうでしたね。ではお二方にお任せ致します。
ジョシュア。慌ただしい再会になってしまって、すまない。
でも、今日はお前と話せて、本当に良かった。
今度帰ってきた時はゆっくり食事でもしよう?」
「はい。俺も、伯父さんとお話しができて良かったです」
「そうか。ありがとう。では少し早いけれど、おやすみ、ジョシュア」
「おやすみなさい、伯父さん」
→
PR