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Marginal Prince Short Story
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■ソクーロフ×アイヴィー
聖アルフォンソ学院正門前。
車から降りた途端、初夏の太陽が全身に降り注ぐ。
アイヴィーは片手をかざしながら、青空を怨めしそうな顔で見上げた。

「まーぶしー」

夜勤明けにこの太陽はキツイ。
まだ初夏の筈だが、ここの所、夏本番のような暑さが続いている。
ちょっと前まで寒い寒いと言っていたような気がするのに、
カレンダーは無情にも一日一日、時を進めているようだ。

生徒代表室でのミーティングまで、約一時間。
アイヴィーは早く、太陽のない室内へ行きたかった。
喉も乾いたし、何か冷たいものが飲めて、
ついでに昼寝なんかもできるところに。


「あー、やっぱ涼しー」

聖アルフォンソ学院の中で、常に完璧な温度管理ができていて、
モロモロの都合が良い場所。それは保健室だ。
アイヴィーが保健室に入ると、白衣の先生は机に向かっていて、
何か書き物をしているようだった。

「ソクちゃん、アイスコーヒー飲ましてー。外、暑くってさー」

すると、返ってくるリアクションは、清々しい程の無視だった。

これが「優しい保健室の先生」と評判のソクーロフ博士だ。
無視されたアイヴィーは手の平を天井に向ける。

「ハイハイ。解りましたー。自分でやればイイんでしょー」

ベー、と白衣の背中に向かってベロを出していると、
この人は背中に目があるのかなというタイミングで、
クルリとこちらを向かれた。気まずい。
冷たい眼差しを浴びたアイヴィーは、
思わず両手を挙げ、ホールドアップする。

「あ、スミマセ……」

「私の分も作れ」

「え?」

「アイスコーヒー。作るんだろう?」

「ああ、ハイ……てゆうか、ソクちゃんも飲みたいんなら、
たまには俺の為に作ってくれても良いのにさー。
……ってー、ちょっとソクちゃん?
、急に受話器持って、ドコに電話しようとしてんの?」

「お前の職場に。ここに一人、職務怠慢な上官が居ると」

アイヴィーは、かゆくもない頬をポリポリと掻いた。

「……えっとー。ソクちゃん、
アイスコーヒーは苦めがお好きなんでしたっけー?」

「ああ」

「……畏まりましたー」

アイヴィーはいそいそとアイスコーヒーを作り始めた。


「お待たせしましたー。アイスコーヒーでーす」

カフェ店員と化したアイヴィーがグラスを差し出す。
ソクーロフはコーヒーの色を眺めたあと、グラスに口付ける。
一口飲んだあと、ソクーロフはポツリと言った。

「下手だな」

「作らせておいて下手とか言うなー!」


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