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Marginal Prince Short Story
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■ソクーロフ×アイヴィー
■カーシャ様、リクエストありがとうございました!
「ちょ、ちょ!? そのお薬、イタ過ぎなんですけどっ!?」

「無論。最も沁みる薬を使っているからな」

「なんでっ! ねえ、なんでっ!?」

「煩い。怪我人は大人しくしていろ」

窓の向こうには青い空と白い雲。
生徒達は午前の授業中という時間、
聖アルフォンソ学院の保健室には、
生徒ではなく、大人が一人来室していた。
青いワイシャツに黒いネクタイをルーズに結んだ、金髪の男だ。

ワイシャツの袖を捲り上げた白い右腕には、
小動物の爪にでも引っ掻かれたような、赤い線状の傷があった。
猫と戯れている間にできた傷ではない。
昨夜の仕事中、無我夢中の客人に付けられた傷だ。

その細く赤い傷口に沿って、医師が消毒薬を塗っていく。
薬の強烈な刺激に、金髪の患者は悶え苦しむ。
長い治療が終わった時には、少し涙目になる程だった。
アイヴィーは捲っていた袖を元に戻しながら、

「イテテテ……もっと痛くないお薬使ってよー。
引っ掻かれた時より、痛かったんですけどー」

「私に文句を言うのか? 負傷したお前が悪いんだろう?」

「悪いの俺かよ……」

「他に誰が?」

「ソ、ソクちゃんがもっと痛くないお薬使ってくれれば」

「ついでに血液検査もするか」

「注射はヤメテ! てか、関係ないでしょ、血液検査は!?」

アイヴィーの腕時計が赤く光る。
島に侵入者が来たことを告げるアラート。職場への呼び出しだ。

「アラま。こんな真っ昼間っから?」

アイヴィーは軽く笑った。

「続く時は続いちゃうんだよねー」

患者が椅子から立ち上がる。
医師は患者を見上げながら、静かに言った。

「行くのか」

「ん。仕事だから」

「あまり無理しないように。
掠り傷とは言え、手負いには違いないのだから」

「ハイハイ。ソクちゃんは心配性過ぎ」

「仕事だからな、患者を案じるのは」

「アハハッ。じゃ、行ってきまーす」

片手を挙げて、保健室を出て行った。


fin
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