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Marginal Prince Short Story
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博士の平日 -10:00pm- 続編
面談が終わったあと、ソクーロフは白い部屋から出た。

「ソクーロフ……」

心配そうな顔をして、声を掛けてきたのは、
マジックミラー越しに面談を見学していた司令官だった。

「なんだ。お前、最後まで見ていたのか?」

「うん。えと……お疲れ」

「別に疲れてはいないさ」

「んじゃ、ソクちゃんちまで送ってくよ」


アイヴィーの車で、学院の宿舎へ向かう途中。
運転席のアイヴィーはミラーを見上げながら、後部座席を伺った。

「ね。ソクちゃんさ、晩メシ、食いっぱぐれてない?」

「ああ。そう言えば、そうだな」

保健室から真っ直ぐここへ来たから、夕食をとるタイミングがなかった。

「これからどう? サク飲みサク飯」

「今からか?」

「うん。ちょこっとだけさ。イイでしょ?」

ね、と言うアイヴィーとミラー越しに目が合った。
窓の外には、暗い海と暗い空が広がっている。ソクーロフはぽつりと呟いた。

「いや。今日は帰る」

アイヴィーは複雑な表情をしながら、そ、と言った。
車の窓は変わらず、夜の海を映している。

ソクーロフは暫し目を閉じる。
誰かの声が、耳の奥で木霊したような気がした。


「はーい。到着でーす」

間延びしたアイヴィーの声でソクーロフは目を開けた。
窓の向こうに見えた景色。
ソクーロフは立腹したというより、呆れた。

「おい」

「なあにー?」

「私は『帰る』と言った筈だが?」

アイヴィーはカラリと笑った。

「あ、ゴメーン。いつものクセで俺んちに帰って来ちゃったー」


fin
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