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Marginal Prince Short Story
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ホワイト・レディ6 の続編
L博士は首を傾げました。

「B君。どうして、犯人のことをバカだと思うんだい?」

「どうして? なんでそう聞かれるのか解りませんけど?
研究データ消して、皆に迷惑かけて、
一体、何がしたいんだって思うでしょう、普通」

「うん。確かにチームの皆に余計な手間をかけさせてしまったよね。
ちなみに聞いてみたいんだけど、B君はどういう人物が犯人だと思う?」

「知りませんよ。リーダーに恨みでもあるんじゃないですか?」

「俺かよ!?」

「リーダーの面目を潰したくて、こんなことしてるんだとしたら、
部下の私達はホント、いい迷惑ですけどね」

「おや。C君は、誰から恨みを買っているんだい?」

「俺が恨まれてる前提かよ!?」

「違うの?」

「ち、違うと思う、が」

「先程、ライバル会社も居るということだったからね。
恨まれていないとは言い切れないか」

「マジか……」

「それで、C君。次の対策はどうするつもりなんだい?」

「んー。チーム内で話し合ったところでは、
監視カメラを置いてみるのはどうかって、意見も出てんだけどよ」

「監視カメラか。それも一理あるね。ねえ。S君はどう思う?」

「私ですか?」

「もちろん。C君達は、君の意見を聞きたいんだと思うよ?
私もぜひ聞きたいし。S君はこの事件、どう見たかな?」

「そうそう。Sのプロファイリングを聞かせてくれよ!」

「C博士。それは私の専門ではありませんよ」

「細かいこと気にしないで、お前の見解ってのを言ってみろよ」

「仕方ありませんね。個人的な感想として述べますが、
犯罪としては、非常に手ぬるいと感じます。
もし私が犯人で、論文の発表を完全に阻止したいと考えるなら、
最初から全てのラットか、全ての研究員を抹殺していたでしょうから」

C博士はヒューと口笛を吹きました。

「俺達の抹殺と来たか。おっそろしい奴だな」

「そうかな。私は、実に清々しい意見だと思うけれど」

C博士はニヤリと笑って、L博士を見ました。

「年取って大分落ち着いてきたと思ったが、そうでもねえのか、L?」

「C君。昔の話はもう良いじゃないか」

「悪かったよ。んで? Sには犯人がもう解ってたりするのか?」

「いえ。まだ。DさんとEさんのお話も聞いていないですし」

「ふうん。じゃ、今度そういう機会を作ってやるよ、さりげなくな」

「おや。C君が機会を設けてくれるのかい?」

「任せな。DとEも犯人ではないって証明する為だからな。
もちろん、Lにもしっかり協力して貰うぜ? 
準備が整ったらお前にメールする。必ずSを連れて来いよ?」

「それで良いかい、S君?」

「ええ。ありがとうございます」

「よっしゃ。んじゃ、今日はもう帰るかっ」

そこで、L博士は腕時計を見ました。

「ああ、もうこんな時間か。すまない、S君。
君は早く帰りたいと言っていたのに、すっかり遅くなってしまったね」

「何を言っているんですか、今更」

「ごめんごめん」

「A、B、すっかり遅くなっちまって悪かったな。
二人ともタクシーで家まで送ってってやるよ」

「えっ? そんな悪いですよ。一人で帰れますから」

「いーや。これはリーダーからの命令だ、イヤでも従って貰うぜ?
俺達全員を抹殺したほうが早い、なんて聞いたあとで、
女を一人で帰せるわけねーだろーが。ほら、Bも行くぞ」

店を出たあと、A、B、Cが同じタクシーに乗って帰っていきました。
三人を見送ったSとL博士の前には、次のタクシーが停まりました。

「S君。今夜は私達も一緒に帰ろう?」

L博士に言われて、二人は同じタクシーの後部座席に乗り込みました。

窓からは小さな夜の繁華街。
煌びやかな飲食店が並び、時折酔った声が街の中に消えて行く。
暗いのに明るく、賑やかなのに寂しい光景でした。

「ねえ、S君」

まるで独り言のように、L博士は言いました。

「先程、話していた、推理小説の話なんだけれど」

タクシーの運転手に怪しまれないよう『小説の話』ということにして、
先程聞いた事件の話をしたいんだな、とSは察しました。

「ええ。あの本の話ですね。何ですか?」

「私には、こう思えるんだ。犯人は心の優しい人なんじゃないかって」

L博士がそう考えた理由は、Sにも解りました。

「ひとつひとつの犯行自体は、軽微なものだったから、ですか?」

「うん。なんだか、目に見えるような気がしてね。
犯人が涙を堪えながら、ラットに手をかけている様子が」

「――そうでしょうか?」

「え?」

「あ、いえ。何でもありません」


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