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Marginal Prince Short Story
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ストリートバスケ 続編
クラウスは片手を翳しながら、空へ飛んだコインの行方を追う。
空に吸い込まれるように、高く飛んだコインは、
クルクルと身を翻しながら、またシルヴァンの元に落ちてくる。
パシンと良い音を立てて、シルヴァンは帰って来たコインを受け止めた。

今、コインはシルヴァンの両手に挟まれている。
クラウスが表、シルヴァンが裏に賭けていた。

「それじゃー、オープーン!」

そうっと手を開く。シルヴァンはニッコリと笑った。

「裏でしたー! 僕の先攻ですね!」

長髪の毛先を跳ねさせながら、シルヴァンはコートの中央へ立つ。
後攻となったクラウスはハーフコートの内側へ移動する。

「フン。試合では負けん」

シルヴァンに指を差し、高らかに宣言した。

「この試合、必ず勝って、お前を寮へ連れ戻す!」

「カッコイイよー! クラウスー!
まるで囚われの姫を取り返しに来たヒーローみたいだー!」

歓声を上げたのは、ギャラリーのテオだ。

「う、煩い! お前は静かに見てろ!
おい、シルヴァン、始めるぞ!」

「フフフッ。はーい。じゃー、どなたか審判をお願いできますかー?」

「よし! 審判なら俺がやってるよ!」

浅黒い肌の子供が手を挙げる。その他の子達は点数係を買ってでた。
皆、クラウスとテオが来るまで、
ここでシルヴァンと遊んでいた子供達だ。

「ルールは10点先取したほうが勝ちのワン・オン・ワンな」

ワン・オン・ワンは、ハーフコートで行われる。
試合開始時、オフェンス側はコートの中央、ハーフコートで言えば端に立って、
コート内側のディフェンス側に一度ボールをパスする。
ディフェンスはオフェンスにボールを返す。
戻ってきたボールで試合が始まるのだ。

「じゃー、先攻シルヴァン! 負けんなよ!」

審判から、ところどころ色の剥げたバスケットボールを渡される。

「はいっ! 絶対勝って、今夜はアイヴィーのおうちでお泊まりしまーす!
アイヴィー! 僕を応援して下さいねー!」

「い、いやー、俺はドッチでもイイんですけど……」

「始めっ!」

コート脇に居る子供達は、揃ってシルヴァンを応援している。
フェンス傍に立っているテオは、全力で二人を応援していた。

その近くのベンチでは、アイヴィーがタバコ片手にボールを目で追っていた。
普段、スポーツ観戦している時のクセか、
つい、「ビールでも飲みながら見てえなあ」などと思いながら。

シルヴァン対クラウスのワン・オン・ワンは、なかなか良い試合だった。
先攻のシルヴァンは、長い手足と高い瞬発力が生きるのか、
素早いドリブルで、あっという間にゴール下まで辿り着いた。

クラウスが両手を広げて立ちはだかる。
188cmのシルヴァンには少々負けるものの、
同級生達と比べれば、クラウスも高身長だ。

真剣な眼差しでクラウスに見つめられたシルヴァンは、
ニコリと笑ったかと思うと、すっとシュートの構えを見せた。
反射的にクラウスがジャンプする。
すると、シルヴァンはサッと手を降ろし、
クラウスの腕の下をくぐり抜けて、シュートを決めた。
ギャラリーから大きな歓声が上がる。

シルヴァンのフェイクに、まんまと騙され、
あっけなく先制点を奪われたクラウスは、
奥歯を噛み締め、本当に悔しそうにしていた。
それを見て、思わずアイヴィーは笑みが零れた。
シルヴァンは手を叩いて喜んでいた。

「わお! 入っちゃいましたー! 最初は僕の勝ちですね!」

「次は負けん!」

その言葉通りに、次はクラウスがシュートを決めた。
その後も試合は一進一退で、ギャラリーは大いに盛り上がっていた。

アイヴィーが見るに、二人の戦い方は実に対照的だった。
臨機応変にテクニックを織り交ぜ、
相手を翻弄するタイプのシルヴァンに対し、
クラウスは、ただひたすらに力とスピードで勝負している。
フェイクなど一度も使っていない。
ちょっと不器用なんじゃないかと思う程、相手に真っ直ぐぶつかっていた。

アイヴィーは今の点数を確認する。
スコアボードなどない古い公園なので、
二人の子供達が、手で点数を表示している。
今、8対8。どちらかが、あと一回シュートを決めれば、決まる。
さて、この勝負、どっちが勝つか。


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