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Marginal Prince Short Story
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ストリートバスケ2 続編
8対8ですか。イイ試合ですね。
額を袖口で拭いながら、シルヴァンは素直にそう思う。
それほど手を抜いているつもりはないのに、
自分と拮抗した試合ができるなんて。

住所不定でフラフラしていた頃、同じような人種に、
ストリートバスケを挑まれて試合をした時は、
口ばかりで弱い男が本当に多かった。
僕が勝ったら、喧嘩を吹っかけられたりして。
喧嘩でも僕が勝ってしまうと、今度は頭数の多さで攻められ、
袋叩きに遭った時もあったっけ。

あの時の彼等と違い、クラウスは実力が伴っている。
やはり、立派な身体をしているだけあって、
クラウスは身体能力が高いらしい。
久し振りに楽しい試合ができていると感じる。
こんなに小さな島で、珍しい人に会えたものだ。

「おい! 何をボーッとしている。早く始めろ!」

クラウスから声が飛んでくる。次は僕が攻める番だ。
コートの中央に立って、クラウスにボールを投げる。
クラウスから返って来たボールは全て、
手の平に軽く痛みが走る程、強く、真っ直ぐなものだった。
こんなパス、あの頃には一度も受けたことがない。
ゆっくりとドリブルをしながら、ゴールへ向かっていった。

「シルヴァーン! 負けないでー!」

「絶対勝てー!」

先週ここで初めて会った子供達が、
全力で僕を応援してくれる。
同じ学校のテオは二人とも応援してくれているようだが、
やはり、どちらかと言うとクラウス寄りのようだ。
アイヴィーは、と視線を向けると、
彼は紫煙を吹かしていて、声は特に発していなかった。
目が合うと、フラッグ代わりなのか、
やる気なさげに、タバコを左右に振ってくれた。

「よそ見をするなっ!」

ボールがない。一瞬の隙を付かれ、
クラウスにドリブルがカットされていた。
攻守が交代することになり、クラウスがオフェンスとなった。
ゴールに向かって、真っ直ぐに進んでくる。
それに応戦しつつも、シルヴァンは気が散っていた。
今の、この状況が不思議でならないのだ。

シルヴァンがこの試合に勝てば、
自分の希望通り、今夜はアイヴィーの家に外泊することができる。
クラウスが勝てば、シルヴァンの希望を阻止し、
きちんとウーティス寮で眠るよう命じることができる。

そんな下らない勝負なのに、何故この人は、
こんなにも真剣に向かってくるのだろう。
不良の生徒一人くらい、放っておけば良いのに。

けれど、この人は、初めて会った時から、
僕のことを放っておいてはくれなかった。
入学初日、アイヴィーの家に泊まった際も、
「初日から外泊とは何事だ」と大いに怒られ、
翌朝、帰ると約束した時間には、校門前で待ち伏せされていた。

その後、また無断外泊した時も怒られた。
何故だか、彼に怒られることは、ちっとも嫌な気がしない。
むしろ、僕はクラウスに怒って欲しくて、
無断外泊を重ねているんじゃないかと思うくらいに。

どうしてこの人は、僕を怒るんだろう。
どうしてこの人は、僕を放っておかないんだろう。

本当に、可笑しな人ですね、貴方は。

そう思った時、スッとクラウスが視界から消えた。
その直後、背後でボールが布の紐の間を通った音がした。
スポッ、とイイ音が。


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