×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■ジョシュア×アンリ
■アンリと体育館で 場外編
「ジュウゴヤ? それはなんだい? 東洋の黒い真珠」
「十五夜っていうのはね、んー。まあ、平たく言うと、満月のことだね。
秋に見る月は空が澄んでて綺麗なんだよ。
皆で月を見て、月見団子を食べたりするんだ」
生徒代表のテオがウーティス寮サロンに遊びに来ていた。
相手をさせられているのは、たまたま其処に居たハルヤだ。
サロンには他に寮生は居ない。
テオは大好きなオリエンタルの知識をまたひとつ得て感嘆の声を上げる。
「ニッポンにはそんなイベントもあるのかい?
皆で月を愛でるなんて…またなんと神秘的な。
そうだ、キモノは? キモノは着るの?」
「どっちでもいいけど。着た方が雰囲気はあるかなあ」
「ではぜひ開催しよう! ツキミダンゴはドニに作って貰おうかな。
シュヌーシアとウーティスの皆を呼んで、キモノも着て欲しいなあ」
「皆で? そんな盛大にしなくても…」
「おや。東洋の黒い真珠は、私と二人きりが良いの?」
「あっ、いやあ、その…」
「満月と真珠を共に愛でる…ああ、なんと贅沢な忙しさなのだろう。
私は器用ではないから、真珠ばかりに目を奪われてしまいそうだ」
「えーっと。せっかくだからさ、皆を呼んだ方が良いんじゃないかな?」
ハルヤは先と180度違う意見を述べたのだが、
テオは気が付かないのか、よしっ、と立ち上がった。
「そうだね! ではジョシュアに言って、皆に伝えてくれるように話しておこうかな」
「あ、ジョシュアなら部屋には居ないよ」
「出掛けているのかい?」
「いや、さっきアンリと出て行ったから、体育館でフェンシングでもしてるんじゃないかな?」
「えっ? あの二人がフェンシングをするの?」
「あ、うん。時々ね。なんか本格的に試合してるみたいで、二人ともぐったりして帰って来るんだ」
「それは素晴らしい。さぞ気品溢れる優雅な試合なのだろうね。
ぜひ見学したいな。ちょっと行って来るよ」
「うん。いってらっしゃい」
テオの相手が終わったことに安堵して、ハルヤは笑顔で見送った。
テオは機嫌良く「また来るよ、東洋の真珠」と言い残し、
意気揚々とウーティス寮を後にする。
テオの背中を見ていたハルヤはアンリに言われていたことを思い出した。
フェンシングの試合中は気が紛れるから体育館には見に来ないで、と。
しかし、楽しそうなテオを止める術をハルヤは知らない。
「ま、いっか。めんどくさいし」
テオがフェンシング専用の体育館に辿り着く。大きな扉を開けた。
「ジョシュアー、アンリー! 君達の決闘、観戦しても良いかい?」
体育館には誰も居なかった。用具も何一つ残っていない。
「おや…もう終わってしまったのか、残念だな。美しい騎士達を見たかったのに」
体育館から足音が遠ざかっていく。
体育館の用具室から溜め息が2つ吐かれた。アンリの声は掠れ気味だった。
呼吸は荒く、額はしっとりと濡れている。
「…彼、行ったの?」
常はぴしりと身に付けている制服がかなり乱れている。
ジョシュアの制服は一切乱れていない。
「みたいだね…良かった、テオに見付からなくて。
こんなに可愛いアンリは、彼に見せられないよ」
アンリは折り重なったマットの上で座らされていた。
その前にジョシュアが跪いている。
熱い深紅の瞳に見上げられて、アンリは視線を逸らした。
「見付かって困るようなこと、しなければいいのに」
「今日勝ったのは俺だよ? アンリ」
さっきまでフェンシングの試合をしていた。
勝者はジョシュア。最近、連勝記録を伸ばしていた。
試合後、フルーレと呼ばれる剣を用具室に片付けたのはアンリ。
その背後から、今日の賞罰内容を囁いたのがジョシュア。
今まさに用具室では、ジョシュアにとっては褒賞の、
アンリにとっては処罰の時間を過ごしていたところだった。
『敗者は勝者の言うことをひとつ聞く』それが今日の賞罰。
「だからって……ちょっと今度は何するの」
布で遮られた視界。耳元でジョシュアが囁いた。
「良いだろう?」
「勝手だね」
フェンシング専用の体育館。二人の他には誰も来ない用具室。
その決して広くはない、薄暗い場所。
唯一の小さな窓は締め切られ、空気はいつも湿っぽかった。
ジョシュアは再びアンリの前で跪く。
「それじゃ、第二回戦を始めようか。最初はサリュから、ね?」
サリュはフェンシングの試合前に行う挨拶。
アンリの剣に口付ける。優美な眉が歪む。
「んっ…いや…」
「本当に? まだ挨拶をしたばかりだよ。試合はこれから。
フルーレは剣で相手を突く競技だと忘れてしまったのかい?」
「…ジョシュ…アッ」
湿った空間で吐息さえも、艶やかに濡れていく。
声は外には漏れず、用具室の中で僅かに反響する。
フェンシング場外戦、第2ラウンドが始まった。
fin
■アンリと体育館で 場外編
「ジュウゴヤ? それはなんだい? 東洋の黒い真珠」
「十五夜っていうのはね、んー。まあ、平たく言うと、満月のことだね。
秋に見る月は空が澄んでて綺麗なんだよ。
皆で月を見て、月見団子を食べたりするんだ」
生徒代表のテオがウーティス寮サロンに遊びに来ていた。
相手をさせられているのは、たまたま其処に居たハルヤだ。
サロンには他に寮生は居ない。
テオは大好きなオリエンタルの知識をまたひとつ得て感嘆の声を上げる。
「ニッポンにはそんなイベントもあるのかい?
皆で月を愛でるなんて…またなんと神秘的な。
そうだ、キモノは? キモノは着るの?」
「どっちでもいいけど。着た方が雰囲気はあるかなあ」
「ではぜひ開催しよう! ツキミダンゴはドニに作って貰おうかな。
シュヌーシアとウーティスの皆を呼んで、キモノも着て欲しいなあ」
「皆で? そんな盛大にしなくても…」
「おや。東洋の黒い真珠は、私と二人きりが良いの?」
「あっ、いやあ、その…」
「満月と真珠を共に愛でる…ああ、なんと贅沢な忙しさなのだろう。
私は器用ではないから、真珠ばかりに目を奪われてしまいそうだ」
「えーっと。せっかくだからさ、皆を呼んだ方が良いんじゃないかな?」
ハルヤは先と180度違う意見を述べたのだが、
テオは気が付かないのか、よしっ、と立ち上がった。
「そうだね! ではジョシュアに言って、皆に伝えてくれるように話しておこうかな」
「あ、ジョシュアなら部屋には居ないよ」
「出掛けているのかい?」
「いや、さっきアンリと出て行ったから、体育館でフェンシングでもしてるんじゃないかな?」
「えっ? あの二人がフェンシングをするの?」
「あ、うん。時々ね。なんか本格的に試合してるみたいで、二人ともぐったりして帰って来るんだ」
「それは素晴らしい。さぞ気品溢れる優雅な試合なのだろうね。
ぜひ見学したいな。ちょっと行って来るよ」
「うん。いってらっしゃい」
テオの相手が終わったことに安堵して、ハルヤは笑顔で見送った。
テオは機嫌良く「また来るよ、東洋の真珠」と言い残し、
意気揚々とウーティス寮を後にする。
テオの背中を見ていたハルヤはアンリに言われていたことを思い出した。
フェンシングの試合中は気が紛れるから体育館には見に来ないで、と。
しかし、楽しそうなテオを止める術をハルヤは知らない。
「ま、いっか。めんどくさいし」
テオがフェンシング専用の体育館に辿り着く。大きな扉を開けた。
「ジョシュアー、アンリー! 君達の決闘、観戦しても良いかい?」
体育館には誰も居なかった。用具も何一つ残っていない。
「おや…もう終わってしまったのか、残念だな。美しい騎士達を見たかったのに」
体育館から足音が遠ざかっていく。
体育館の用具室から溜め息が2つ吐かれた。アンリの声は掠れ気味だった。
呼吸は荒く、額はしっとりと濡れている。
「…彼、行ったの?」
常はぴしりと身に付けている制服がかなり乱れている。
ジョシュアの制服は一切乱れていない。
「みたいだね…良かった、テオに見付からなくて。
こんなに可愛いアンリは、彼に見せられないよ」
アンリは折り重なったマットの上で座らされていた。
その前にジョシュアが跪いている。
熱い深紅の瞳に見上げられて、アンリは視線を逸らした。
「見付かって困るようなこと、しなければいいのに」
「今日勝ったのは俺だよ? アンリ」
さっきまでフェンシングの試合をしていた。
勝者はジョシュア。最近、連勝記録を伸ばしていた。
試合後、フルーレと呼ばれる剣を用具室に片付けたのはアンリ。
その背後から、今日の賞罰内容を囁いたのがジョシュア。
今まさに用具室では、ジョシュアにとっては褒賞の、
アンリにとっては処罰の時間を過ごしていたところだった。
『敗者は勝者の言うことをひとつ聞く』それが今日の賞罰。
「だからって……ちょっと今度は何するの」
布で遮られた視界。耳元でジョシュアが囁いた。
「良いだろう?」
「勝手だね」
フェンシング専用の体育館。二人の他には誰も来ない用具室。
その決して広くはない、薄暗い場所。
唯一の小さな窓は締め切られ、空気はいつも湿っぽかった。
ジョシュアは再びアンリの前で跪く。
「それじゃ、第二回戦を始めようか。最初はサリュから、ね?」
サリュはフェンシングの試合前に行う挨拶。
アンリの剣に口付ける。優美な眉が歪む。
「んっ…いや…」
「本当に? まだ挨拶をしたばかりだよ。試合はこれから。
フルーレは剣で相手を突く競技だと忘れてしまったのかい?」
「…ジョシュ…アッ」
湿った空間で吐息さえも、艶やかに濡れていく。
声は外には漏れず、用具室の中で僅かに反響する。
フェンシング場外戦、第2ラウンドが始まった。
fin
PR